明野友愛農場

農業日記ー新規就農事情
  山梨県北杜市明野町浅尾にて

干し柿の皮の利用法

2005-11-29 08:24:42 | Weblog
干し柿を作るとき大量の柿の皮がでます。これを乾燥させますと、皮は甘くなります。これをタクアンなど漬物の甘味に使います。一緒に漬け込みますと、品の良い甘さになります。漬物にはザラメ砂糖などを入れますが、比べ物にならないくらい美味しい甘さをかもし出します。先人の知恵です。我が家の漬物には必ず柿の皮を入れます。

干し柿の様子

2005-11-29 08:19:40 | Weblog
だいぶ表面が乾燥してきました。だいぶ軽くなりました。まだ黒くはなりません。表面につるしているひもが食い込まないように位置を変えたり、カビは出ていないか見たり、手をかけませんと、よく出来ません。田無柿むき隊の皆さん。順調ですよ~。

干し柿の化学

2005-11-29 08:14:52 | Weblog
渋柿の渋の本質はカキタンニンです。たんぱく質に良く結合しますので、口に入れると口の中のたんぱく質とすぐ結合して収斂し、渋味となります。これは水で洗っても落ちません。ご飯を一口食べてかんでいますと、取れます。このカキタンニンの構造は1970年に入ってようやく決定されました。分子量は1万以上。甘柿にも入っていますが、ある酵素が入っていて渋が不溶性になり渋を感じさせないだけだそうです。要するに柿渋が不溶性なら渋く感じないわけです。渋柿の渋抜きの方法は、いろいろ経験的に昔から行われていました。アルコールに漬けて、暖めて密閉すれば渋は抜けます。微温湯に4~5日入れておくだけでも甘くなります。なぜか。熟してきますと柿の中にはエチルアルコールが産生され、それが果肉内のデヒドロゲネースにより酸化されアセトアルデヒドに変わります。このアセトアルデヒドがタンニンを酸化させ不溶化させ渋味を感じさせなくなるわけです。渋柿にアルコールを漬けることは、この反応を促進させるためです。微温湯に入れるのもこの反応が起こるようです。湯に入れることで無呼吸による果肉内に炭酸ガスがたまり、アセトアルデヒドが発生しやすくするようです。干し柿は皮をむきます。果肉が空気に触れタンニンが酸化され黒くなり、果肉表面を硬くし薄皮が出来ます。中はアセトアルデヒドにより不溶性のタンニンが出来てきます。このとき表面を黒くさせないために硫黄を薫蒸し亜硫酸ガスを発生させ、柿の表面の水分で亜硫酸とし表面の酸化を防いで黒くさせず、防カビ作用をします。私は黒いほうが好きですので、薫蒸はしません。風乾させ果肉内の糖化をします。柿の内部が十分やわらかく熟し、表面の皮も出来ましたら(この間約50日)、取り込んで2,3日積んでおくと、表面に糖分がにじみ出てきて、汗をかきます。次に表面を乾燥させるため、広げてじっくり乾燥させます。何度もひっくり返したりして面倒見ます。表面の糖が析出して白い粉が吹いたようになります。出来上がりです。最後の乾燥はわらなどしいて、裏面も同じように乾燥するようにします。ここが難しい。出来上がりの干し柿は、甘さも絶品。冬の楽しみです。