百姓のお正月は春節です。今年は1月29日。2月4日の立春まではお正月休みと言うところでしょうか。12月下旬の冬至から立春までは、日も短く、寒くて野良での農作業はできません。立春になりますと、日も長くなり、ビニールトンネル、ハウスなどうまく利用すれば、明野地区でもアブラナ科などの野菜栽培は可能です。今年は明野三作目。2年間でだいぶこの地方のことや、畑の特徴などがわかってきました。今年こそ昨年を大幅に越える収穫を画策中です。今年の旧正月は天気もよく、風もなく素晴らしい。なにやら今年の豊作を予感させてくれます。写真は明野の西にそびえる南アルプス。左側は鳳凰三山、右は甲斐駒ケ岳。北岳など主要な高い山々は向こう側で見えません。いつ見ても素晴らしく広々した眺めです。
1月29日春節。明野から見た八ヶ岳。信州諏訪から見た八ヶ岳は、雪も多く厳しい感じですが、明野からは雪も少なく、なだらかに見えます。中腹にもやが見えますが、これは高根方面で芝焼きをしているためと思われます。芝焼きは春先の非常に重要な農作業です。土手の枯れ草を焼き、越冬している害虫の卵などの駆除、枯れ草を燃やすことにより、その灰が土手草の肥料になります。よく根が張り土手が崩落するのを防ぎます。また、土手草は畑に入れて肥料にもします。雲ひとつない快晴、風も弱く、まことに旧正月にふさわしい良いお日柄です。
旧正月の1月29日仕事始め。西側のハウスに昨年同様、春大根を入れる予定。13メートルの長さの畝を6本作りました。この冬は大変寒く、厳しく乾燥しているため立春2月4日播種予定にしました。昨年は1月24日に播種しました。このハウスは10月から休ませてありましたので、土はふわふわで色も濃く臭いもよく、肥えた感じです。このように準備をして戸を閉めておきますと、地温も上がり芽だしもうまく行きます。肥料は昨年トマトを作りましたのでその残り肥と肥料屋さんが持ってきたサンプル堆肥を秋に入れましたので、播種時には何も入れないで様子を見ようと思います。もし、不足の様子が見えたら追肥でやるつもりです。寒いときの大根は肥料が少なくてよいそうです。また、「ヨトウ」などの虫の幼虫も見られず、いい具合です。昔は春大根の栽培は非常に難しかったようです。アブラナ科は芽が出たあと寒さにあたると、花芽が発生しトウ立ち(抽苔)してしまいます。そうなると大根は固くやせて食べられません。種屋さんが研究、開発した春大根はこのトウ立ちが非常に遅い品種です。また、ハウスの中は昼間30度くらいになりますから、花芽が出来ても高温にあたると花芽が引っ込んでしまうそうです。収穫は4月末、約250本収穫予定です。葉つき春大根は直売所の明野サンヒルで高値で引き取ってもらえます。
昨年11月中旬に収穫し、「田無柿むき隊」の応援もいただき、晩秋の天候にも恵まれ、ついに立派な干し柿が出来ました。10個入りのパックに詰めて出来上がり。なんとか白い粉もふき、軟らかく甘い干し柿が出来ました。虎屋の羊羹より美味しい。天然の食感、甘味にはかないません。冬のお茶請けに最高です。長い時間と手間をかけた一品です。工業生産のように、ポイポイ出来てくるわけではありません。時間をかけ待たなくいては良いものは出来ません。食べ物を作るということはそういうことだと思います。ファーストフードとは本質的に違います。
干し柿の最終段階になりました。ひもからはずし、中が均一のなるように良く揉みほぐします。これが大変な作業で、糖分で手はガビガビにはなるし、指はいたくなるしで大変です。わらを敷いて日陰干しをします。広い場所があれば広げて干しますが、800個を並べる場所もありませんので、重ねて干しました。表面に浮き出た糖分が乾いて白い粉を残します。見た目もきれいな干し柿になります。