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科学とは未来の預言者である。この本は2008年から2009年に渡って、瀬名秀明さんと最相葉月さんの往復書簡で、今、起こっている現象を冷静に客観的に観察、考えてみる。
そこでは、10年後に起こったウィルスについて警鐘を鳴らしている。2009年に数年前に雲南省やベトナムで鳥インフルエンザの感染が確認され、その時動物を宿主とするウイルスはインフルエンザだけではなく、果物を食べるコウモリを宿主するニパウィルス感染症は、その当時小規模な流行を繰り返していると。しかし「先進国の人も感染するインフルエンザには多額のお金が投資されるのに、75%という高い致死率でも、発生地が途上国で、しかも犠牲者が少ないとなれば、興味を持ってもらえない。このまま見て見ぬふりをするのでしょうか」と・・・コロナが中国で起こったことが悲劇、また自分たちに降りかかってこなければ何も動かない。ここで「新型ウィルスは私たちの世界を映す」と瀬名さんは預言している。
それと、前半ではロボットと人との関わりについて述べている。AIロボットの自主判断の範囲をいかに限定するのか、また科学の情報は、発明・発見者をほごしつつ、いかに多くの人がその果実を享受できるために、話し合いと協力を厭うのは、未来に逆行すると・・・。
ほんと、科学や世の中の動きが早くなりすぎて、全ての面で人間を追い越し、主人公不在、人間不在の世の中になっていくようで・・危惧されますな。