![]() | Bootleg (新鋭短歌シリーズ) |
クリエーター情報なし | |
書肆侃侃房 |
☆☆☆
「借り家短歌会」の際に、“まちライブラリー”でお借りした本。
なかなか参加できないのと、読むのが後回しになったりして、
読み終えるのも、返却も遅れ気味で、焦って読んだ一冊。
でも、“まちライブラリー”の沢山ある短歌集の中からパラパラと
みかえしながら選んだのですが、帰ってみると、「短歌タイムカプセル」
の目次で、しっかりとマーカーを引いてある“土岐友浩”さん。
私の、歌に関する好みが固まりつつあるようです。
音楽、本棚、ホットケーキ、タルト、ドーナツ、など、お菓子好きの私には
いつも口にしているものばかり、親近感んで気にいってるのか・・・・。
例によって気に入った歌は・・・・
まっさらなノートのような思い出が音もなく降りこぼれる僕に
牛乳を電子レンジであたためてこれからもつきあってください
ふたりともすることがない一日にホットケーキを切って重ねる
本棚が足りなくなって生活のところどころに本はあふれる
夕焼けに塗りつぶされた一両の電車に乗ってお祭りに行く
ふたりではさびしいということが言えなくて花火を見て月を見る
てのひらを風にかざしているようにさびしさはぶつかってくるもの
よく揺れるバスと電車を乗り継いで海の見えない駅に降り立つ
生活というのはわからないけれどあなたと水を分かち合うこと
夕食を終えてしばらくしたあとに普通の服で見に行く蛍
ゆびさきに春の砂糖をつけながらドーナツの輪をちぎる仕草は
夏風邪が長引いていて起きているアクエリアスを水で薄めて
勧めようとしている本を読み返す傘とかばんを近くに置いて
太字・・・前回の“短歌タイムカプセル”と重複して気に入った歌です。