うろキョロ散歩

楽しくお散歩をするのが唯一の趣味。
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蝦夷地別件(上・中・下)

2008年05月25日 | ブックスタンド
船戸与一著 新潮文庫刊

内容(「BOOK」データベースより)
時は18世紀末、老中・松平定信のころ。
蝦夷地では、和人の横暴に対する先住民の憤怒の炎が燃えあがろうとしていた。この地の直轄を狙い謀略をめぐらす幕府と、松前藩の争い。ロシアを通じ、蝦夷に鉄砲の調達を約束するポーランド貴族―。
歴史の転換点で様々な思惑が渦巻いた蝦夷地最大の蜂起「国後・目梨の乱」を未曾有のスケールで描く、超弩級大作。

感想
『蝦夷地別件』には、18世紀末、北の大地で血とプライドを守るために立ち上がったアイヌの蝦夷地最大の蜂起「国後・目梨の乱」の裏に蠢くロシアの策動、江戸幕府の謀略、松前藩の姦計が極めて巧妙なプロットで描かれている。
過酷な労役を課し、手当たり次第に女を奪い、理不尽な取引を強要する。
圧倒的な力の差を背景に傍若無人に振る舞う和人から北の大地を取り戻すため、その手段を求めてアイヌは海を渡る。
商人と組み、蝦夷地が生み出す利権を独占する松前藩。
権益と国防を理由に蝦夷地の直轄化を謀る江戸幕府。
松前を支えるひとりの志士は体制死守のために手段を選ばず奔走し、幕府が放ったひとりの間諜は指令を果たすため、自ら導火線と化す。
アイヌに接触するポーランド人。
アイヌからの搾取を強める松前藩。
鎖国体制の綻びに危機感を募らせる幕府。
そして、鬱積した憤懣を滾らせるアイヌ。

この物語は、歴史の闇に葬り去られた一民族の最後のインティファーダが刻まれた詳細なドキュメントであり、また、有史以来の民族淘汰の歴史に絡む大国・権力の干渉の過程を記したひとつのテキストでもあるのだ。

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6 コメント

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アイヌ民族 (もうヘトヘト)
2008-05-25 13:48:51
北海道の生まれですが、アイヌ民族の事を考えると申し訳ない気持ちはあります。
日本は、単一民族ではないと言う事を自覚する必要がありますね。
日本人は、何でも都合の悪い事は蓋をしてしまう。。。
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歴史の中で.. (地理佐渡..)
2008-05-25 16:04:55
こんにちは。

数ある日本の歴史の中でも、
蝦夷地のことや琉球のことは
意外と大きくは取り扱われな
いですよね。
幕府の支配が結構過酷であっ
たことなんかは知るよしもな
いでしょうね。
あっ、もちろん当方も表面的
知識しかなかったしだいです
が..。

読み始めると面白そうな感じ
ですねぇ。
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臭い物に蓋 (もみじ)
2008-05-25 16:06:29
人種問題、人権問題、政治資金、公金横領、警察の不正義みんな臭い物に蓋ですね。
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Unknown (渋谷WEST)
2008-05-25 17:03:22
臭いものに蓋をすることで得する人、損する人、いろいろいるんでしょうね。得する人が多ければ蓋をするのが民主主義?
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佐渡地理さんへ (もみじ)
2008-05-26 08:34:17
人種差別は日本だけの物ではありません。
世界中のどんな国にもあると思います。
日本での3代差別は「アイヌ、琉球、部の民」でしょうね。
この本はその中のアイヌに対する問題をアイヌの蜂起を見ています。
ぜひ読んで頂きたいと思います。
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渋谷WESTさんへ (もみじ)
2008-05-28 11:09:37
厳しいご指摘ですね。
臭い物に蓋をして得する人は権力者・お金持ち・高級官僚などではないでしょうか。
情報公開して得するのは私達一般市民だと思います。
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