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about him

俳優・勝地涼くんのこと。

『恋うたSP カムフラージュ』(2)-1(注・ネタバレしてます)

2012-09-11 14:36:07 | 他作品
・壁に「chakura」と書いた紙が留めてあるのを映して、「チャクラくん?」という問いかけから話が始まる。子供の頃の実在しない友達の存在を大人になった今も恥ずかしがることなく語るところがヒロインさくらの天然乙女キャラを印象づける。
ローサちゃんのほんわかした外見はさくらの役柄にまさにぴったりですね。

・ハンディカメラで映してるかのような微妙に(あざとくない程度に)揺れる画面。仲の良い友人同士の気の置けない席という雰囲気が醸し出されています。

・向かって左に話しかけながら右の男性(周作)にあれ取ってと指で催促されてグリッシーニ?を取って口にくわえさせてやるさくら。
お互いに気安いその態度と、さくらがそのまま普通に左の男性(祐樹)との会話に戻ってることで、こんなやりとりが二人の間で日常茶飯事であること、つまり彼女と周作が恋人同士なのがわかるようになっています。

・他にも(子供時代に)いろいろ不思議なものを見たという話に「天狗ってほんとにいたんだ」と反応する祐樹と「さくらさんてすごいんですね」という後輩の女の子(百合)。百合の言葉はいかにも実がなくて内心引いてるんだろうなと思わせます。
「バカみたいだろ24にもなって」「子供のころの話ですー」「ま、そういうとこが好きなんだけどー」。何他人の前で堂々デレてるんだかこの二人は。そんな周作をちょっと複雑そうな表情で見つめる百合。さっそくに三角関係が匂わされています。

・「だって現実ばっか見てる女ってつまんねえし」と言いつつ「サイコロサイコロ」と百合に顔を近づけ「百合ちゃんいい匂い」とデレ顔になる周作。さくらへのラブっぷりをアピールした直後にこれ。「香水、好きなんです」と答える百合。
今度はさくらが複雑そうな顔で二人を眺めている。そしてそれを気遣うように見る祐樹。4人の複雑な関係性(その元凶は可愛い女と見ればデレる周作にある)が最初の数分でわかるようになっている。
さくらは「何どさくさにまぎれて近づいてんのよ」と冗談ぽく笑ってクッション投げつけていますが(百合も周作にまんざらでもなさそうなだけに)、内心平気ではない、でもそれを冗談めかしてごまかしてるのがありありですね。

・祐樹の携帯が鳴る。少し前に祐樹がさりげなく時計を気にする場面があったので、この電話を待ってたんだろうなとわかる。
周作が「お、ラブコール」と冷やかすのを否定してないので本当に恋人からなんでしょうが、ちょっとごめんと席を立つ時の彼の表情は彼女から電話が来たにしては嬉しそうな感じではない。友人たちの手前照れてるのかすでに関係が冷えてしまってるのか。それはラストで明かされるわけですが。

・百合は「あたしそろそろ帰らないと」と言い、じゃあおれ送ってくよと周作も立とうとする。「え、周作も帰っちゃうの ?」とさくらはびっくり顔。今まで4人でやってたゲームが自分の会社で出そうとしてるゲームとかぶらないのが確認できたので明日の会議で報告できるからと答える周作。
要は仕事の上での調査に恋人と友人たちに協力してもらったということのようですが、これでもう用は済んだといわんばかりの顔はさくらに対して失礼というか情がないというか。
「そう・・・」と残念そうに言いながらもそれ以上引き止めないさくらの諦めのよさがちょっと切ないです。

・「百合ちゃんもありがとう。急に誘ってごめんね」とさくら。「4人がベストだからさ。助かったよ」と周作。「周作が襲ってきたら容赦なく殴っといて」とジェスチャーつきでさくらが言うと「襲わねえよばーか」と答えつつも周作は百合の両肩を押して歩く。
不必要なスキンシップの多さが単に冗談なのかそれ以上の助平心があるのかこの時点では微妙ですが、さくらの態度からするに浮気癖のある男のようなので後者だろうと察しがつきます。

・周作と百合をカメラが追う形で玄関で携帯をしまう祐樹を自然に映す。周作は玄関前で「あ、そうだ」と振り返ると笑顔でいきなり「おめでとう」とさくらに言う。
なんのこと?という顔色の彼女に「今日は祝交際1年半記念。おれの中で最長記録達成~!」と一人で万歳&拍手する。一年半が最長ということはつまり女と長続きしない→周作の浮気が原因で別れるパターンが多いのだろうと連想させる。

・「じゃあお邪魔しました」と丁寧に笑顔で挨拶して祐樹も家を出る。まあ一人だけ女の子の部屋に居座るわけにも行かないですし自動的に帰らざるをえない格好ですね。
夜の公園を歩く百合と周作。百合が一発でゲームのルール覚えたのはすごい、「可愛いだけじゃなくて頭もいい」と褒める周作は百合の頭をなでる。恋人以外の女の子に対するには明らかにスキンシップ過剰と思えますが、百合も嫌がってない、むしろ喜んでる感じさえあります。
その頃ラジオを聞きながら部屋の植物を手入れしていたさくらは携帯を出して周作からのおやすみメールを読み、へらへら笑う彼の顔を思い出しながらなごんだ笑顔になる。こんな甘ったるいメール書きながら一方で彼女の後輩にちょっかい出してるんだからなあ。

・翌日?さくらの会社。「何回教えればわかるんだ君は」「近頃の若いのは頭が悪いなあ」と上司に叱責される百合(後ろ姿)。昨日周作に頭がいいと言われてたばかりなのでコントラストがちょっと可笑しくもある。
心配そうにそちらを見るさくら。ちょうど上司に電話がきたので百合は解放されたものの「失礼します」と頭を下げる声が涙こらえてる感じです。目をつけられてるというか、しょっちゅうこうやってあの上司に怒鳴られてるんでしょうね。

・さくらの向かいの席に座る百合。二人がプライベートでも仲いいらしいのは席が近い気安さもあるのか。「あんな言い方しなくてもいいのにね」「いいんです。慣れてますから」と会話を交わす。
百合の肩越しにさくらを映すアングルなので百合はカメラに背中を向けてるのですが、彼女のデスクに置かれた鏡に映りこませる形で百合の表情もしっかり捉えています。「またおうちに遊びに行ってもいいですか」と百合が尋ねる場面では、百合が正面に来るアングルに変わりますが、さくらの席にも四角い鏡があってさくらの顔が映りこむ仕掛けになっている。
若い女の子のデスクに鏡が置いてあるのはごく自然だし、それを利用して向かい合って座るどちらの表情変化も逃がさない。上手い、そしてお洒落感のある演出だと思います。会話が一段落するところで苦虫噛みつぶしたような上司の顔が百合の鏡に(百合の顔が正面にくるアングルですが彼女の鏡は両面とも鏡面になってるので映りこみが可能)映るのも面白いオチです。

・またさくらの家でゲームをしてる4人。先日はスーツだった祐樹も今日は私服。百合はカタン(ゲームの名前らしい)にはまってゲーム目当てで来たことになってるらしい。
「今日もいい匂いだし」「今日は柑橘系なんです」。また匂いを嗅ぎに百合に近づく周作。周作は百合にばかり話しかけ百合も笑顔で受け答えしている。二人がいい雰囲気すぎてさくらと祐樹があぶれた感じになっています。

・「煮物系の匂いもしない?」とさくらに話しかける(気を使ってる)祐樹。ああちょっと料理してたから、と席を立っていくさくら。「こいつの作る料理全部甘いの。おれを糖尿病にさせる気かってくらい」。
喋りつつキッチンに立つさくらを周作が追っていき後ろからちょっと抱きしめる。百合にちょっかい出しつつもさくらにもこまめにスキンシップする。プレイボーイらしい処世術というか。作ってくれるだけいいという祐樹の発言は彼が遠距離恋愛してることの伏線ですね。

・「おれは結婚するなら肉じゃがが上手い人がいいな」と言って戻っていく周作。周作に限らず恋人・奥さんに求める要件として“おいしい肉じゃがが作れる”を挙げる男性は多いみたいですね。家庭的、素朴のおふくろの味というイメージなんでしょうか。

・その背中に「あたしは結婚するなら誠実な人がいいな」と声をかけたさくらは、周作の隣に行き意味深な笑顔。結婚相手に誠実な人、優しい人をあげるのもやはり女性の常套句。世間話の中で当り障りない台詞として使われる場合も多々ありますが、本心からそう思ってる人も多いでしょうね。
まあ現在百合にちょっかい出したりしてる周作に、しかもその百合が目の前にいる状況でこの台詞ですから、冗談ではすまない毒が篭っているような気もします・・・。「プロポーズ ?」と笑う周作に右手振り上げて見せるあたりはいかにも他愛ないじゃれあいですが。

・苦笑しながらちゃぶ台に逃げ、「さくらかかってこい」などと行ってる周作にさくらは最初笑ってますが、周作の左手が百合の右手に上に置かれているのに気づき表情がこわばる。これ周作が一方的にアプローチしているのではなくて、手を置かれるに任せている百合も合意済ってことですからね。
祐樹も気づいてるらしく座るさくらを気遣うような目で見ています。こういうちょっとした表情が勝地くんは本当上手い。

・また祐樹の携帯が鳴る。「じゃあおれそろそろ」と席を立つ祐樹に「教育されてんな。彼女ロンドンなんだろ。リンダちゃんだっけ」「あおい」「ぜんぜんちがうじゃん」とさくらがつっこむ。何気ないやりとりの中で祐樹が遠距離恋愛中なのをはっきりと示してます。

・祐樹が立ったのをいい潮とばかり「じゃおれ百合ちゃん送ってくわ」と言い出す周作にさくらは驚いた顔。先日に続いて夜は二人で過ごすものと思ってたら、というパターンですね。下心みえみえというか、さくらと一緒にいるより百合優先なのかはっきりしすぎてるというか。
同じくあんまりだと思ったらしい祐樹が「おれ送ってくからさ。おまえ、さくらちゃんの片付け手伝ってあげなよ」と声をかける。ストレートに周作の仕打ちを責めずに彼に残るよう促してるのは、さくらの気持ちを思いやってるからですね。

・電話しながら外に出る祐樹の背中に「おまえじゃ頼りないんだと」とへらへら笑顔で言い「あ、祐樹に片付け手伝ってもらいなさい」とさくらの頭をポンポン撫でる周作。
あくまで百合を送る予定を崩さず、逆に祐樹の方を残そうとする。さくらにしてみれば自分より百合を取ったのみならず他の男とさくらを二人きりにしても全然平気という、二重にショックな言い草です。

・「百合ちゃん帰ろ」と促す周作に、「あ、はい、失礼します」と百合も遠慮がちな声だが逆らわない。電話を終えて戻ってきた祐樹は(残れと言ったにもかかわらず)周作まで出ていくのに驚くが「あとはまかせたぞ」と肩を叩かれしょうがないなという顔になる。
あとで周作の彼女で自分にグチらないのはさくらだけ、と話してることからしても、こんなのは珍しいことじゃないんでしょうね。ショック顔で立ち尽くしていたさくらが笑顔を作ってお手上げポーズしてみせるのが健気です。

・夜の公園を歩く周作と百合。「カタンじゃないんです」「え」「はまったのはカタンじゃなくて」。足を止めて周作を見つめる百合。先日、そして今日の周作の態度で向こうも十分脈ありと見切ったうえでの告白タイムですね。
相手はいかにも浮気性の男、自分に色目使ってるとはいえ明らかに一過性の遊び相手としか見てないのはわかりそうなもの。まして職場の親しい先輩の彼氏という条件の悪さなのに、百合の方はどういうつもりで周作にコナをかけたのだろう。彼女の方もあくまで遊びでさくらには彼女の人の良さを幸い隠し通すつもりだったか、そうした計算が一切働かない(周作の本心も見えない)くらい周作に本気で「はまっ」てしまったのか。後の展開を見るに後者っぽい気が。
この後百合はさくらから周作を奪うべく悪辣といっていい手段を弄するわけですが、そこまでやれば確実にさくらと気まずくなるし、そうなれば会社にも居づらくなるかもしれない。百合が仕事ができない、やたら上司に怒られてる設定なのは、彼女がこんな会社いつでも辞めていい気持ちでいる→会社の先輩であるさくらと決裂してもさほど問題じゃない、という心理が百合の内にあることを示唆してるのかもしれません。

・キッチンで片付けするさくらは周作からのお休みメールを受信する。テーブルに座ってる祐樹は「それにしてもすごい量だよねー」と部屋の観葉植物を見回し、さくらはそれぞれの木の名前と特徴を語る。
いちいち名前をつけてやってるのも、それを普通に人に語ってしまうのもやっぱりだいぶ不思議ちゃんな子ですね。祐樹ならバカにしなさそうと思ったのかもですが、彼でさえちょっと返事に困ってるみたいに見えます。

・「世話大変じゃない?」という祐樹の質問に「この一年半浮気だらけで」。さらっというさくらに驚いた顔で祐樹が「浮気?」というと「植木」と言うさくら。聞き違いだったのかはぐらかされたのか微妙な返事の仕方ですが、「一年半植木だらけ」ってなんか日本語変だし一年半と言えば周作との交際期間なので、“周作の浮気に悩むたびストレスで植木を買ってしまう”が正解でしょう。

・夕方のオフィス。上司がデータ入力中のさくらを指差し「それ今日中だからちゃんとやっとけよ」というのに「はいわかりました」に機嫌悪そうに返事するさくら。いつも誰にでもニコニコと人の良さそうな印象のさくらですが、案外嫌いな人間はきっぱりしてる部分もありますね。
向かいの席の百合が荷物片付けてるのを見て「え、もう百合ちゃん終わったの」。「はい」とにっこりする百合。その気になればできるんじゃん。
百合の携帯がメール着信ボイスを鳴らし、真面目な顔でメールを読んでた百合はこぼれるような笑顔になって携帯閉じたあと「じゃあ私今日用事あるんでお先に失礼します」とさくらに挨拶する。視聴者的には明らかに周作からのメールだな、今から会う予定があるから大急ぎで仕事終わらせたんだなとわかる行動です。
ここまではわりあい鋭く二人の浮気サインを見つけてきたさくらは、ここでは全く他意のない笑顔でお疲れさまと返している。まあこれまでは全部周作側の浮気サイン(見え見え)でしたからね。百合の方は後の両親ネタでもわかるように相当狡猾です。

・家のパソコンで肉じゃがレシピを見るさくら。周作に作ってあげようという健気な女心です。でも途中でパソコンが動かなくなってしまう。「パソコン壊れちゃって。助けてー」携帯で電話するさくら。
当然相手は周作ですが「いやー行ってやりたいのは山々なんだけどさーまだ会社で」。ここでバックが真っ暗な画面になり話してるさくらだけ丸枠白抜きに。続いてもうひとつ白抜きの画面で会社でメールを受けてた百合の姿が表示され、メール着信ボイスの音も鳴る。
つまりは周作が話す背後で、さっきと同じ特徴的な百合のメール着信ボイスが聞こえてることを示す演出。さくらもそれに気付いた様子。ついに二人が自分に内緒で会うようになった、しかも周作は仕事だと嘘をついている。会社でトラブルがあったと周作は言い訳並べてるのがなおさくらの傷口を広げてます。
ところでこの着信ボイスですが、百合は電話ごしにさくらに聞こえてるのわかってるんじゃないでしょうか。かなり特徴的な音だし、後ろ暗い立場としては鳴り出した時点で即座に切るか音が届かない場所へ逃げるかしてしかるべき。むしろわざと音鳴らして自分が周作と一緒にいることをさくらにアピールしてる、そのために目立つ音を設定したんじゃないかとさえ思えてきます。
後でさくらに仕事押しつけてさくらの家で(彼女に気付かれるように)周作と逢引きしたしたたかさからして、そのくらいやりそうなんだよなー。

・「あ、祐樹呼べよあいつSEじゃん」。悲しい顔のさくら。先日の「祐樹に片付け手伝ってもらいなさい」と同じく、自分の彼女を他の男と二人きりにしても平気という態度全開ですからね。それだけ祐樹を信頼してるという言い方もできますが。祐樹これまでにもこうやって周作の彼女のフォロー押し付けられてきたのかな。

・翌日?浮かない顔で巨大な鉢植えを抱えて公園を歩くさくら。家から持ってきたのか新たに買ってきた分なのか。後者だとするとやはり鉢の大きさと傷心のレベルは比例するんでしょうか。浮気確定にかなりへこんだんでしょうね。
いちいち名前も付けるくらいだから単なる衝動買いでなくちゃんと愛情を持ってるはずなのに、全然嬉しそうな顔にならない、なれないさくらが可哀想です。

・ベンチに座って隣りに置いた鉢に缶の中身(水?)を注いでると「何してんの」と声がして自転車に乗った祐樹がやってくる。なんとグッドタイミング。
まあ完全な偶然じゃなくて、もともとさくらに植物渡しに来たようなので、彼女の部屋に向かう途中公園を通り道に使ったらちょうどさくらがいた、という流れだったんでしょう。

・植物と散歩だとさくらは説明し、「この子は期待の大型新人ふとしくん」。やっぱり新しく買ったんですね。自転車から降りた祐樹は「ちょうどよかった。じゃあこの子も一緒に」とハンドルに下げていたビニール袋を差し出す。
中身はもう少し小型の鉢植え。「可愛いー」とさくらは嬉しそうに袋から取り出す。「もらったんだけど自分には合わないから」「じゃあこの子はおしゃれ系だからリカちゃん」。もうその場で名づけてます。

・何か落ちてるのに気づいたさくらが拾い上げるとレシート。よく見ると花屋のものだとわかる。祐樹はあわてた顔で、やや強引にレシートを奪って話をごまかす。やっぱりもらったというのは口実で、祐樹が彼女にプレゼントしたくて途中で買ってきたんですね。きっとさくらのイメージで、現在部屋にあるのともかぶらないように、とか考えて選んだんでしょう。
「それにしてもおっきいの買ったね」という祐樹にさくらはまた暗い顔になって「今回のはおっきいよ」。やはり傷心レベルに応じてるんですね。相手が後輩というのが一番のポイントでしょうか。

・さくらの部屋。さくらは植物の世話をし、祐樹はパソコンの前で修復作業。無事に動くように。彼氏が浮気してるとはいえ、そして彼氏自身の推薦とはいえ祐樹を女一人の部屋にあげちゃうわけですね。
さらにここで「祐樹くんまだ時間ある?よかったらつきあってほしいんだけど」なる爆弾発言を。「え?」と口を開いたまま固まる祐樹。「肉じゃがの味見」とさくらが言うと少しして「ああー、うん、肉じゃがね」と笑顔になって立ち上がる。まあベタなやりとりではあります(笑)。「まだ時間ある?」と切り出した時点で予測ついた展開ですし。

・二人は席について肉じゃがを食べる。祐樹は渋い顔で「んー、何か足りない感じだね」。しばらく考えてるとさくらが[あ!」「肉入れるの忘れちゃった」。ナイスボケですね。まあ意外とやりがちというか私にも経験が(笑)。
鉢を取りあげてキッチンに持っていくのへ「あ、じゃあついでに隠し味とか入れてみたら」「なんだろ」「味噌とか」。二人でキッチンに並び、祐樹は笑顔で隣りのさくらを見ている。こういう二人で料理を作る、料理作る彼女を微笑ましげに見ている、なんて光景はさくらと周作の間にもあるんでしょうか。

・さくらが味噌をいきなり大量に鍋に入れるのを見て「わ」と目を見開く祐樹。試食して「ぜんぜん隠れてない」とちょっと困った顔。あれだけ入れりゃあね。
首かしげながら食べるさくらに祐樹はからかうような笑顔で「さくらちゃん、もしかして味、わからない ?」。この問いかけをきっかけに、さくらが小さい頃に母が出て行き父子家庭だったという話へ。父は甘くさえすれば喜ぶと思ってた、自分の時間削ってご飯用意してくれてるんだから甘すぎるとは言えなかった、それを食べつづけてたら味がわからなくなったのだと。子供のときからそんな食生活でよく健康を害さなかったもの。
「なんか心配になる」「何が」「いやその、何も言わない感じが」。相手の気持ちを思って我慢し続けてたら自分が辛いことさえわからなくなってしまった。そのことで自分の心身が傷つく可能性もあるというのに。味オンチという設定を使ってさくらの恋愛における(歪んだ)スタンスとその背後にある悲しさを示した、秀逸な仕掛けだと思います。

・「さくらちゃんくらいなんだ。周作の彼女でおれにグチいってこないのって」「そこまで明るいと逆に気になるっていうか」。我慢してるうちに味がわからなくなったのと同様、さくらは自分の心の痛みがわからなくなってる、少なくともアウトプットができなくなってるのではないか。そのしわ寄せがやたらに植物を買うという行動に表れてることもすでに祐樹は気付いたでしょう。
これまでにも彼がグチを言ってきた女の子たちに同情から惹かれてしまうことがあったのかは不明ですが、さくらの場合この「グチいってこない」ことが祐樹が彼女を気にかける、惹かれる要因になったのは間違いないでしょう。そういう彼がさくらがグチを言わない事情(思いのほかシリアスな)を知ってしまって・・・ますますさくらに心が傾いていくのは当然ですね。

・しばらく沈黙があって「少しは・・・」とさくらが言いかけたところで祐樹の携帯が鳴る。取り出したものの出るのをためらう祐樹に「なーんちゃって。ほら鳴ってるよ。」と出るよう促す。「何かあれば友達にでも相談するからさ。チャクラくんとか」「チャクラくん?」と聞き返した祐樹はこの間の会話を思い出したか「ああ、チャクラくん・・・」と納得する。
この時さくらは何を言いかけたのか。そして想像の友達であるチャクラのほかに相談したりグチったりできるような人間の友達はいないのか。普段なら百合が(彼女か当事者でなければ)相談相手になりえてたのか。・
・・たぶん無理なんでしょうね。親も含めて“他人”に自分の内心を吐き出すすべを知らない。彼女が架空の友達を作りあげたのも、24になってまだその友達が過去のものになりきってないのも、自分の分身にしか心を開けない彼女の欠落ゆえなのですね。不思議ちゃん設定も存外奥が深い。

・部屋を出た祐樹はドアを閉めたところで一つため息をつく。「チャクラくん・・・か」。呟きつつ帰っていく後ろ姿。この直後に「チャクラくん」が登場するので、ベタながらも祐樹=チャクラだろうと私含め多くの視聴者が信じてしまったことと思います。さくらがグチを吐けるのがチャクラくんだけなら自分がチャクラくんを装おうと祐樹が考えてもおかしくない状況がそろってますから。
「チャクラ」という名は幼かったさくらが自身の名前を少しずらして思いついたものでしょうが(子供時代は舌が回らなくて自分をそう呼んでた可能性もある)、番組公式サイトによると祐樹の名字も「笹倉」で「チャクラ」に通じる音を持ってるんですね。このあたりも祐樹=チャクラと誤認させるための仕掛けでしょう。

・さくらが植木の剪定してるとパソコンのメール受信音(ぽい音)が。「また壊れた?」 見るとメールソフトが開いた状態になってて一番上に「久しぶり」というタイトルのメール。「僕とおしゃべりしよ」とありリンク先に飛ぶとチャット状態に。相手はチャクラと名乗る。
気持ち悪くなって電源切ると携帯メールが。それは周作からのごめんね愛してるメール。「まさかね(タイミング的に自称チャクラは周作なのかも?)」と電話をかけてみると「何、眠いんだけど」と不機嫌な声。「あのさ、変なメールが来てね」「チャクラくんからでさ」。相談しようとするが「おやすみ」「友達いないからって変なサイトいってんじゃないぞ、ただでさえおまえは騙されやすいんだからさ」とひどいことを言う。眠くて(たぶんすでに寝てたところを起こされて)いらいらしてるのも、空想の友達からメールが来たなんて言われて夢か妄想と思っても無理ないところではあるんですが。
しかし少し後で祐樹に周作には味オンチになった事情を話していないと言っていたので、さくらが他人に本心を打ち明けられない、そういう意味では本当の友達がいないことを周作は知らないだろうに。さくらは明るく人当たり良く表面的には友達いくらもいそうな雰囲気なんですが。
まあ休日もいつも植物と公園にいるイメージなので本当に周作のほかは遊び相手さえいないのかも。あの不思議ちゃんぷりで引かれがちなのかもしれません。

・上の台詞に続いて「ま、そんなとこも可愛いんだけどさハニー」と不機嫌なりに甘ったるいフォローを入れるあたりはさすがにプレイボーイの面目躍如な周作。
「・・・騙されてるふりしてるだけかもよ」とぼそりと言い返すさくらを、おまえはそんなに器用じゃないだろと苦笑気味に流す。たぶん本気でさくらには百合とのことを気付かれてないと思ってるんでしょうね。まして百合が何気に周作と自分の浮気沙汰がさくらにバレるよう振る舞ってる―そうすることでさくらと周作を別れさせて周作を完全に自分の物にしようとしてる―などとは考えてもみない。
自分は女の子の間を上手く立ち回ってると思いがちな、いかにもなおめでたいタイプのプレイボーイですね。もしかしてこれまで付き合ってきた女に対しても、はっきり別れ話を突きつけられるまで浮気がバレてるとは思わずに来たのかもしれません。

・会社で上司の目を気にしながらさくらはメール確認。周作から今日は会えないという内容のメールが。百合を見るとなんか嬉しそうな顔をしてる。これだけでもう事態を察したらしく、悲しげなさくらの顔を鏡に映す形で捉える。
そして場面は変わり、夕暮れの公園を植物の入った手提げを持って歩くさくら。仕事帰りに買ったってことでしょう。どんどん病んでく感じです。

・さくらの部屋。「また、増えてる?」という祐樹(なぜか普通にいる)に「新人ラッシュ」と答えるさくら。祐樹はまた肉じゃがの味見。私服ですが次の休日ってことでしょうか。
「どう?やっぱりまだ甘い?」「ちょっとだけ」。指で“ちょっと”を示す祐樹の仕草が可愛いです。気遣いで「ちょっと」って言ってるんだろうな。ずっと試食してたら今度は祐樹の味覚がおかしくなりそうです。

・「周作は知らないの?味、わからないって」「ただでさえ変な子だって思われてるし」。あれだけ味付けが甘い、糖尿病にする気かとか言われながら、冗談ぽく応酬する形でさえ味オンチのことを話していない。味覚障害は深刻な病気や栄養素欠乏が原因の可能性もあるので、“味覚障害という病気”となればむしろその分変な子とは思われなくなる気もするんですが。
まあああいう軽い男に父との事情だの病気だのと重い話をすると引かれそう、それ以前にまともに受け取ってさえくれなさそうな感触はありますけど。

・ふとパソコンに目を留めたさくらは「それが、変なメールきたんだよね」といきなり話を変える。「だれから」「チャクラくん」。祐樹はちょっと驚いた顔に。
「名前が一緒だっただけの悪質な出会い系だよね」とさくらは笑う。先の周作の反応もあり、空想の友達からメールが来たなんて言ったら引かれるかと口に出してから心配になったんでしょうね。
しかし祐樹は「すごいじゃん !」 そんなことってほんとにあるんだ、と妙にテンションが高く、本物の「チャクラくん」から来たメールだと信じているかのよう。導入部の「天狗って本当にいたんだ」同様、さくらの不思議体験をごく肯定的に受け止めてくれる。周作と対極の反応で、彼の方がずっとさくらとお似合いだと示しています。現時点では状況的に「悪質な出会い系」の可能性の方が高いでしょうけどね。

・そんな話をしながら肉じゃがをもう一口食べる祐樹。「無理しなくていいよ」とさくらは言うが、これはこれでおいしいと完食してしまう。なんかさくらが父親の料理を食べ続けて味オンチになったのもこんな流れだったんじゃないかなあとまたまた祐樹の味覚が心配になってしまいます。

・祐樹が帰ったあとまたチャットに入室するさくら。相手はまた「チャクラだよ」しか言わない。「なんでこんなこと」ときいても「君と、お話したいから」。どう考えても不気味だ。もう一度自称チャクラに接触する気になったのは、祐樹が本物と思ってるようなプラスの反応を示した影響でしょうか。

・居酒屋で並んで飲む周作と祐樹。「なんでさくらちゃんが植木を買い続けてると思う?」「おまえが女の子にちょっかいだすたびに増えてる」。
まだ付き合いの浅い(そういえば周作と一年半付き合ってるはずなのに導入部が初対面のようだった。周作は何かにつけ祐樹を引っ張り出し、これまでの彼女ともおおよそ引き会わせてる感じなのに)祐樹が早々に見抜いたことに言われなければ気付けない。指摘されてもまだ「ああー」と平気で笑ってる。さくらがいかに傷ついてるかなんてどうてもいいみたいです。

・甘えすぎだ、このままじゃ部屋がジャングルになるぞという祐樹に、浮気はあくまで浮気、自分なりのルールでさくらは特別扱いしてるという周作。「帰る場所はさくらのところ。これ大前提」「おれはさくらが大好きなんだよ」。
これ案外本音なんだと思います。さくらに愛情がないわけでなく、自分なりのやり方でちゃんと愛してるのに、それを汲み取れないならさくらの理解力不足なんだという理屈。だからさくらがストレスで植木をがんがん買い込もうと、そのことで責任を感じたりはしない。祐樹の言うとおり「甘えすぎ」なんですよね。
「大好きなんだよ」と言ったあとにへらっと笑うのも彼の反省のなさを表しています。しかし百合にしても過去の女の子たちにしても、こういう男にあっさり引っ掛かっちゃうんですよねえ。
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