読んで、観て、呑む。 ~閑古堂雑記~

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口蹄疫を描いたドラマ『命のあしあと』、宮崎映画祭で上映および、全国で地上波放送されます。

2013-08-29 22:34:20 | 宮崎のお噂
今週の27日。宮崎に深く大きな痛みを与えた口蹄疫の終息が宣言されてから、3年という節目を迎えました。
その節目を踏まえ、あさって31日(土)、口蹄疫をテーマにNHK宮崎放送局が製作したドラマ『命のあしあと』が、現在開催中の第19回宮崎映画祭で上映されます。加えて、同じ日には全国向けに地上波放送もされます。



『命のあしあと』は、実際に口蹄疫の被害を受け、家畜を殺処分された畜産農家の方々などへの取材をもとに製作されたドラマです。脚本は『あぐり』や『3年B組金八先生』などのドラマを手がけた清水有生さん。今年1月にBSで放送されたあと、宮崎県、そして九州沖縄地区では地上波放送されました。
主人公の畜産農家夫妻を演じるのは、陣内孝則さんと高岡早紀さん。家族同様に手塩にかけて育ててきた牛たちを奪われ、殺処分されてしまう悲しみと苦悩を熱演しています。他には原田夏希さん、大地康雄さん、泉谷しげるさん、そして宮崎県出身の温水洋一さんといった面々が脇を固めます。
わたくしは宮崎県での地上波放送のときに視聴しました。実際の口蹄疫の被害は、ドラマよりもさらにさらにひどいものであったと思います。それでも、これまで十分に伝えられることのなかった畜産農家の悲しみや、殺処分にあたらねばならなかった獣医師たちの苦悩の一端を思い知らされ、観ていて胸が詰まりました。そして、悲しみから這い上がろうとする主人公に、口蹄疫を乗り越え宮崎牛を2年連続日本一へと育て上げた、多くの畜産農家の方々の存在を重ねました。
ともすれば、われわれ地元の人間からも薄らぎがちになる口蹄疫の記憶。それをあらためて忘れることなく心に刻むためにも、ぜひとも多くの方に観ていただければと願います。

宮崎映画祭での上映は午前10時30分から12時30分まで。会場は宮崎市役所横の宮崎市民プラザ・オルブライトホール(定員500名)。本編59分に加えスペシャルプログラムも上映予定です。また、出演の温水洋一さんをゲストに迎えてのトークショーも開催されます。このプログラムのみ入場無料で、日本語字幕および副音声つきの上映となります。
そして地上波放送は「宮崎発地域ドラマ」として、総合テレビで午後4時から5時までの放送です。
会場に足を運べる方も運べない方も、どうぞお見逃しなく!


【関連オススメ本】

『ドキュメント口蹄疫 感染爆発・全頭殺処分から復興・新生へ』
宮崎日日新聞社著、農山漁村文化協会、2011年

宮崎県を襲った口蹄疫の被害の実態を、農家や県民の立場から徹底的に取材し、伝え続けた地元新聞社が、終息の1年後にまとめあげた貴重な記録です。発生から終息までの詳細なドキュメントに加え、国や県の対応や報道のあり方まで含めた検証により、口蹄疫禍の全体像が描き出されます。
地元の人間としては、読んでいるとあのときの重苦しい日々が鮮明に思い出されてつらいところがありますが、それでも記憶をつなぐためにしっかりと読んでおきたい一冊です。

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