読んで、観て、呑む。 ~閑古堂雑記~

宮崎の某書店に勤める閑古堂が、本と雑誌、映画やドキュメンタリー、お酒の話などを、つらつらと綴ってまいります。

【閑古堂アーカイブス】椎名誠さん生誕記念、私的ベスト椎名本

2013-06-14 22:23:04 | 本のお噂
きょう、6月14日は椎名誠さんのお誕生日でありました。
ご年齢を確認して驚きました。1944年生まれの69歳!とはいえ、とても70を目前にした方とは思えない若々しさを保っておられます。いいなあ。こういう歳の重ね方をしたいものですよねえ。
椎名さん、あらためておめでとうございます。いつまでも変わらずお元気でいていただければと思います。

わたくし、高校を卒業してからしばらくのあいだ、椎名本ばかり読んでいた時期がありました。特に、『さらば国分寺書店のオババ』などにみられた、「昭和軽薄体」と称されていた独特の文体には、一時期ずいぶん影響されたものです。また、焚き火やビールが大好きになったのも、間違いなく椎名さんからの影響です(笑)。
そんなわけなので、わたくしは勝手に、椎名さんを「心の師」として尊敬しているのであります。

実に数多くの著作がある椎名さんですが、まずわたくしが好きなのは『あやしい探検隊』シリーズですね(わたくしの手元にあるのはすべて角川文庫版)。

それまでずーっとインドア派だったわたくしに、アウトドアの楽しさを教えてくれたシリーズでした。
特に好きなのは、シリーズ初期の『わしらはあやしい探険隊』や『あやしい探検隊 北へ』。第一次あやしい探検隊「東日本なんでもケトばす会」、略称「東ケト会」に集っていた、それぞれ個性的なメンバーとのキャンプの顛末記はすごく面白くて魅力的でした。ちなみに、東ケト会メンバーの中でわたくしが一番好きだったのは「陰気な小安」氏でした(笑)。

あと、秀逸なSF小説の数々も忘れてはいけません。
特に、最終戦争後の未来をそれぞれ違うテイストで創造した『アド・バード』(集英社文庫)と『水域』(講談社文庫)、それに『武装島田倉庫』(新潮文庫)の3作は良かったですね。独特の造語感覚で描かれた未来世界や、さまざまなクリーチャーなどの描写もこたえられないものがありました。
その中でも、わたくしが特にお気に入りなのは『武装島田倉庫』です。殺伐としたところがありながら、ある種のノスタルジーも感じさせる未来世界がなんだか魅力的でした。一部のキャラクターを再登場させたスピンオフ短篇もあります。


そして、椎名さんの著作の中で特にお気に入りなのが、実は『発作的座談会』シリーズ(本の雑誌社、角川文庫)なのであります。
古い友人である沢野ひとしさん、木村晋介さん、目黒孝二さんとの対談をまとめたシリーズです。わたくし、単行本と文庫版、両方持っております(笑)。

「寝る前に読む本」「派手と地味はどっちがトクか」「茶わん蒸しはおつゆかおかずか」「美しい昼寝とは何か」「コタツとストーブ、どっちがエライか」などなどの、どーでもいいといえば実にどーでもいい話を、実に実に真剣にやっているのがすごく楽しいのですよ。ページの下のほうに付された註釈(おそらくは目黒さんによるものか)も可笑しいですね。
わたくし、気分が塞いだときにはこのシリーズを読み返しております。笑いながら読むうちに気がラクになってくるのでありまして、いやあ、ずいぶん助けられましたねえ。
こういう、バカ話を一生懸命できるような仲間が欲しいものだなあ、としみじみ思うのでありますよ。

申し訳ないことに、最近は興味の範囲がずいぶんと拡がってしまったこともあり、なかなか椎名さんの著作をフォローしきれておりません。
こうして過去の著作を振り返っていたら、買い逃していた椎名さんの著作をいくつか買っておきたい気持ちになってきました。
サイフの中身と相談しつつ、また少しずつ椎名本を買っていこうかな。

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