鎮守の杜から
葛木御歳神社神職が、神道についてや、日々感じたことなどを思いつくままに綴った私的なページです。
 



季刊誌「あかい奈良」が廃刊になりました。
とても格調高い素敵な季刊誌でしたので、
少し残念です。
しかし、跡を引き継ぐ「まほろびすと」が創刊されます。
今後はこちらも楽しみにしますね。

さて、その最終号(55号)に御歳神社が掲載されました。
「記紀の迷い道 かつて水穂の国だった日本の農耕の神様は、今どこに?」
ということで、取り上げられました。
現在御歳神社で神社復興に取り組んでいることにも触れて頂き、
嬉しい限りです。

戦後の高度経済成長の中で、
幾分取り残されてきた感のある一次産業。
その主幹ともいうべき「農耕」は、古代においては
紛れのない中心産業でした。

今の経済大国日本の中で、長い間顧みられることの少なかった第一次産業が
このところ、少しずつ見直されてきたように感じています。

生活の利便さ追求一辺倒に突き進んできたこの国が、
かつては「瑞穂の国」として穏やかな農村、山村、漁村の広がる国であったこと。
進みすぎた経済規模、不況、天変地異の中で、
私たちのDNAに刻まれた原風景への郷愁が、呼び戻されてきたのではないでしょうか。

農耕儀礼としての「祭り」も存亡の危機かもしれません。
途絶えた祭りも数多くあることでしょう。
しかし、そこを忘れては、私たちはあまりにも傲慢になってしまうのではないか。
そんな危機感が原風景への憧憬となって、今、再び現れてきたのかもしれません。

私は、稲の神さまであられる御歳神さまのおそばで
そんな事を考えていられる幸せを思います。


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