〈奥宮への道〉
福井県勝山市平泉寺町。平泉寺白山神社。
前日は、大嵐であった。
激しい雨に断念して翌朝参拝することにした。
まだ少し雨が残るが、時折日差しも見えた。
見事な苔は、たっぷりの水分を吸って美しい。
なだらかな石畳の階段が私たちをいざなう。
〈一の鳥居〉
〈二の鳥居〉
ああ、この空気。
何?この静謐な清浄さに満ちた空気。
原始のこの地上であるような清らかさと
包み込むような優しさを持つ空気。
神はこうやって、人々の訪問を待っていてくださったのかとふと思った。
苔と石の道を進むほどに、満たされる空気。
私がこのようになんの準備もなく、足を踏み入れていいものだろうかと
少々ためらわれる。
〈苔の斎庭〉
一の鳥居の先に「御手洗の池」があった。
今は禊できそうな場所ではないが、この奥へ入るのには、この池の水で清めたいと思った。
〈御手洗の池〉
満たされる圧倒的な自然の雄大さとおおらかな優しさに身を包まれる幸せ。
自身は小さきものであるけれど、確かにこの自然の一部なのだという安堵感。
〈光差す〉
木々の間からの光を受けて、本殿奥まで参拝した後、白いものが舞い降りてきた。
「雪!」
あられ混じりの雪が私の体の上にも降り注ぐ。
まとわりつくものを洗い流し、清めてくれる美しいもの。
心がうれしさで震える。
自分でも説明できないけれど、涙がはらはらと流れ落ちる。
夢かもしれない。幻かもしれない。
でも、同じ空気を同じ心持ちで共有している友人たちがいた。
友人たちがいてくれるから、私の感動も増幅される気がした。
幸せをぎゅっと詰め込んで、いつまでも持っていよう。
この、静謐なる空気を少しは体に取り込めただろう。
また、明日の為に。。。