凡々たる、煩々たる・・・

タイトル、変えました。凡庸な人間の煩悩を綴っただけのブログだと、ふと気付いたので、、、。

トラブルの芽

2013-01-07 09:59:04 | 日々の雑感
 不器用な私が、様々な人々の複雑な関係に巻き込まれてダメージを受けた経験から、気づいた諸々を書きとめている。

 今日はその一つ。思い出したこと。

 私はある公的施設の専門職として勤務していた時期がある。管理職は市の課長職。私は委託を受けて、専門職として施設内の事業企画や市民研修、職員研修を中心に行う業務である。管理職ではないが、私が勤務していた当時、その施設で働く臨時職員6人の統括的なことも、なんとなく行わねばならない立場だった。机の位置も一番奥に、6人の人を見渡す配置である。6人の人たちはシフト勤務に縛られ、臨時職員という待遇でありながら、施設の鍵を預かる。私は鍵も持たない。彼女たちよりも遅く出勤し早く帰る仕様であり、勤務日も特に定められていない。
 臨時職員という軽い扱いでありながら、鍵を持たせ、施設のオープンからクローズまで、彼女たちに責任を負わせてしまう仕様はいかがなものかと思う。しかも、「ここに職を得たと思うな」と言い含められ、期限6カ月のアルバイト待遇である。
 市職員は、何かがある時にしか来ない。せめて引き継ぎのための会議は必要だとかけあって、彼女たち全員と私との定期会議を認めさせたが、「彼女たちに会議が要るのか?」と最後まで不本意だったらしい女性の市職員もいる。

 まぁ、自分たちの制度設計のまずさを棚に上げて、こちらにばかり努力と忠誠と便宜を要求してくるのは、市職員の常だけれども、たいがい私も頭に来ていて、結構たてついて市の職員(特に女性)からは嫌われていたようだ。権威を守りたい人からは、たいてい嫌われる。

 その頃、気づかなかったが、後で「あ、そうか」と思ったことがある。6人のうち1人の人が年齢も高く、元高校教師で、他の5人が一目置いていた人だった。後の方では、私には頼もしい右腕になってくれて、その職場を二人とも離れてからも、自分が移った他の公的施設の講師に呼んでくれたりして交流が続いた。
 が、当時は他の5人の人から、その人の悪口を聞くことが多かった。1人張り切っていて自分たちを指導しようとするだの、一人で決めてしまうだの、評判が悪かった。
 また、一人の若いスタッフが子どもが小さいため夜のシフトを引き受けられない、ということがあり、他のスタッフはなるべく夜の勤務を交代してあげていたが、そのようなことは困るとこの年長の人は市に注進していたとかで、市の方はそのためにその若い人だけ更新せずに辞めさせたことがある。

 そうしたことで、その人への不信感はなんとなく漂い、私もその若い人を辞めさせる方向に持っていった、という一事だけは理解できず、その人を見る目に一点の曇りがあった。

 が、後でいろいろつなぎ合わせてわかったことがある。その人は、市がその施設をオープンさせるときに、市の1人の担当の女性職員がその人を専門職にと話をふっていたふしがあるのだ。が、私は、その女性職員よりもっと上司にあたる女性幹部から招聘を受けていて、市の部長クラスにも話が通っていた。それで、表向き公募に応募した形だが、すでに私がその職に就くことは内定していた。
 私も当初、その人は私の職に就きたいのかなと訝ったことはあった。言動にそれらしい感じを持ったのだ。が、その専門分野に関しては、私から見ればその人は素人同然であるので(もちろん、優れた人であることは確かだと思うが)、一緒に仕事をする間に、その人は私の右腕となって協力してくれるようになった。専門というものは、ちょっとかじったくらいではわからない奥の深いものであるのだが、私が守備範囲とするところは誰でも取りつきやすい分野なので、入口あたりにいて、わかった気になる人は多い。市の女性職員もそうだ。それで、その女性職員は地域住民であるその人を専門職に、と考えたのだろうが、上層部がわけのわからない私という人間を連れてきたので、違和感があったのだろう。

 結局、その人は、他の6人の臨時職員と同じスタッフとなった。ただ、ここからは私の想像が働くが、おそらく件の女性職員から、その人は「皆のリーダーとしてよろしく」あたりのことを言われたのではないかと思う。それは、他の、似たような事例に遭遇し、そこからもめごとが起こっているのを見たために推察することなのだが。

 特に、その人は、当時の市長とつながりのある人で、首長格とつながっている人というのを、公務員は恐れてさえいる。市民の中でも別格である。私のようなよそものは全くその事実にひるまないが、その人は何かにつけて、そのために特別扱いだったのではないかと想像される。もちろん、ご本人はその上に胡坐をかくようなことはなく、ただ、期待にこたえるために頑張っていただけだろう。そういう、真面目でガンバリズムの人なのだ。

 しかし、その人を自分たちと同じ横並びのスタッフの一人と思っている(思って当然なのだが)他の5人のスタッフは、その人の何か特別な振舞い方が気に入らない。「一人で張り切っている」「皆を指導しようとする」「偉そうである」などと不満を溜めていく。
 似たようなことが他の職場でもあるのを知ったので、おそらく、この時のスタッフ同士の不和はこれが原因だろうと想像するのだ。

 要するに、担当者の勇み足だ。自分には権限がないと職務階層上はわかっているだろうが、下級公務員は担当となると、何か特別な権限を持ったかのように市民や非正規職員に向かって、指示的になる。市民や非正規職員を相手にする担当窓口となると、自分が市を代表していると考えてしまう。そして判断を誤り、市民を怒らせたり、非正規職員の不満を募らせたりする。また、そのような自主判断をしない人は、今度は、何一つ、自分には判断ができないとして、即答を避け、すべて上司の指示待ちになる。

 公務員の組織の問題性であるのだろうが、何も自分では判断しない人も困るし、自己判断で自分の偏りを押し付けてくる人も困る。

 私はその件の女性公務員に嫌われていたらしい。辞めさせられることになった若いスタッフの雇止め理由が納得がいかないとして、話し合いを要求したら、その時の課長は、課員全員を引き連れて、会議の場にやって来た。その時から明らかに件の女性職員に嫌われ、いやがらせをされた。
 私が専門職員として市の会議に出る時、その施設は市役所とは離れていて、私は自転車が得意ではなく移動をどうしようかと思案していたら、人事異動で新たにやってきた課長か係長の男性か、どちらかが公用車で迎えに来てくれるようになった。それはずっと続いたが、私もそれを当たり前と思う気持ちはなく、恐縮してはいた。が、いつも時間を見計らってちゃんと来てくれるので、有難く車に乗せてもらっていた。ある日、会議の前になっても、(たいていは課長か係長が○時頃に迎えに行きますと連絡をくれる)連絡がない。送迎がないのであれば早い目にバスで移動しないといけないので、確認の電話を市役所に入れた。すると、その女性職員が出て、確認をしようと用件を切り出したとたん、「誰でも自腹を切って移動しています。市役所でも職員はみなそうしています。それは服務規定に書かれています」とまくしたてた。

 服務規程はないだろう、と唖然とした。「迎えに来い」と言っているのではなく、今日は迎えがあるのかどうかを確認したかっただけなのに、と私も不快になった。それで、すぐに市役所の人事に電話を入れて、今こういうことを職員に言われたがそのような服務規定はあるのか、と尋ねた。当然のことながら、「そのような服務規定はありません、公務で移動するときは交通費が支弁されます」との返事。そこに、あわてたらしい課長から電話が入り、「すぐに迎えに行きます」とのことだった。
 これも後でわかるのだが、課長と件の女性職員とはとても仲が悪いらしいということだった。女性職員は以前からその部署の担当で古いので、経理を握っているとかで、課長もその経理の中身を把握できていなかったそうだ。課長が、私に予算を示さないで企画をせよと言うので、予算もわからないで企画はできない、と文句を言ったことがあるが、裏にはそのような事情があったようなのだ。

 実は、公務員と仕事をすると、こういうややこしいことがある。下級公務員ほど、ややこしい動き方をする。担当職員の勇み足で、私たちのような外部職員や非正規職員などは、そのとばっちりを受ける。
 外形的にはわかりにくいのだが、この担当職員の私情、価値観、牽強付会の言い分などが、そこに関わる人を翻弄し、トラブルの原因になっていることが多々あると私には見える。そうして無自覚であることが最大の問題だ。

 指示系統は守られねばならない。守れないような無理な指示、あるいは自分の重大な価値観に抵触すると思える指示に対しては、自分の立場を賭けて闘うしかない。闘うと言っても、別に喧嘩をするのではなく、その指示に対してきちんと自分の意見を言い、考え直してもらうよう提言したり、自分は何を問題と感じているのかを明示した上で協議してもらう。それでもうまくいかない時は、屈服して職務を全うするか、職を辞するか、を決断するしかない。
 が、自分の立場を守りながら、微妙に上からの指示を改竄したり、味方を作って自分の思う方向に恣意的に向けようとしたり、隠密な動き方をするから、話がややこしくなる。
組織は明示された指示系統に基づいて動くものであり、私的に動かしてはならないものなのだ。

 が、あちらこちらで、もめている。このようなもめごとは不毛だ。組織を機能不全に陥らせる。

 

 




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