凡々たる、煩々たる・・・

タイトル、変えました。凡庸な人間の煩悩を綴っただけのブログだと、ふと気付いたので、、、。

猫のこと

2009-12-23 21:57:56 | 
14年間、一緒に暮らした猫が死んだ。
わけがわからない。
なぜ、あの子がここにいないのか。
なぜ、あの子がこの世に存在しないのか。

わけがわからない。
なぜ、こんなことが起こるのか。

嘗て、自分が癌だとわかったときは、自分の死について考えた。自分の死という実体は、自分には無関係だと思った。生とは、未来に向かう意志だと思った。私にとって、私の生とは、未来を指向する意志でしかない。だから、死は、それを失うことだと思った。

が、愛する者の死は、もっと様々な感情を呼び起こす。それは、私の外部で起こり、私はそのことを客観的な事実として、受け止める立場にある。私は、「実体」を目撃する。猫がどれくらい、意識的に生きたのかは、想像の域を出ない。快・不快の原則に則った行動原理で生きていたのだろうと、私は想像している。しかし、それでも、猫に仮託した思いは、それほど、淡泊ではなかった。私の情動を乗せて、いつも猫の姿を目に入れていたようだ。そして、猫は、その私に、変わらぬ受動性で、応えていた。
 小さくて、無心で、無抵抗で、とても優しい存在としてあった。何も言わずに、そっと寄り添ってくる存在だった。どれほど、その存在に慰められただろう。どれほど、生活を優しく彩ってくれただろう。
 なのに、病気の猫に対して、私は無力だった。ごめんよ、ごめんよ、何もできなかったね、ごめんよ、と、亡骸に泣きつくだけ。無力だった私を責めるでもなく、ただ、そういう事実であることを、そのまま示して、猫は生きるのをやめた。ただ、そういう事実があるのだ、と、あらゆる解釈を無意味にして、あの子はさっさと逝ってしまった。




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