Blue Sky Love Sky

空を愛する者として各地を歩いた際の航空機の写真災害時の活用法などを掲載しています。現場の意見などコメントをください。

霞の目飛行場に集結した各機関のヘリコプター

2011-06-29 11:15:06 | 趣味・航空機
3月11日1446分頃発生した東北地方太平洋沖地震(M9.0)による災害の特徴は、わが国観測史上最大規模の地震が約6分間にわたって連続して発生し、長さ約450km幅約200kmの断層破壊による津波による被害が甚大であったことにある。避難者は最大時約45万人であり、今もなお避難所での耐乏生活を強いられている人も多い。

初動において自衛隊をはじめ消防・警察・海上保安庁・国土交通省等関係防災機関は、迅速に機動力を発揮し、孤立した被災者の捜索救助能力を持つヘリコプター等を東北地区に集中させた。この度の災害で東北地方の空の玄関であった仙台空港及び航空自衛隊の松島基地が甚大な被害を受けたため、唯一残った仙台地区の飛行場となった陸上自衛隊の霞の目飛行場に初動対応のために全国から各機関のヘリコプター等が集中した。霞の目飛行場も収容能力を超え、福島・花巻・山形空港等周辺の空港が初動の救助部隊やその後の救援物資の集約場所として大きな役割を果たした。

大規模災害時の広域防災拠点等の重要性が再認識された。自衛隊の飛行場は、元来多数機(マス)運用を前提にした航空部隊が展開し、補給整備をすることが可能なように整備されているため、最大64機の自衛隊及び各機関のヘリコプター等を収容し、一時は救助した被災者約900名の天幕などでの避難生活を受け入れていた。一方わが国の空港は、滑走路と定期便を離発着させるために最小限のエプロンしか持たないため、定期便の他に防災関係のヘリコプター等を多数収容することは困難であった。空港を広域の防災拠点として活用する考慮がされていないことに原因があると思う。救援物資等の集約拠点としての役割も、倉庫や荷さばき場としての考慮がされていないため、一時に大量の物資を受け入れることは困難であるからである。阪神淡路大震災の際は、関西空港が完成したばかりで、以前使用していた大阪空港の国際線ターミナルが救援活動の拠点の一つとして使えたのが大きかった。

首都直下地震の被害想定は、東日本で会い震災の教訓を基に、見直しが始まろうとしているが、現在見積もられているデータでは、死者42000名、家屋倒壊(全壊)は970000件に及ぶと見積もられ、被害総額は、112兆円にも及ぶ。減災に大きく影響する初動の捜索・救急救助などのために全国から集中する自衛隊や関係機関の活動拠点を確保することは極めて重要である。この観点から自衛隊の飛行場や空港を全て最大限に活用できるように防災基本計画等を見直す必要があると考えている。被災して復旧や復興にかける経費は莫大であり、可能な限り日頃から準備を拡充して被害を最小限に抑える努力が重要であろう。首都直下地震の場合、自衛隊の飛行場は、館山、木更津、霞ヶ浦、下総、入間、立川、厚木等多いが、それぞれ、大型ジェット機や輸送機に適する場所、ヘリコプターに適する飛行場などと区分して、被害想定に見合う運用が可能なように関連する防災計画を見なおしておく必要があろう。

原発上空の温度調査をするCH-47

2011-06-26 13:46:52 | 趣味・航空機
福島原子力発電所の原子炉は、津波被害を受けた後、3月12日に発生した水素爆発などによって大きなダメージを受けた。炉心部や燃料保存のための冷却装置への冷却水の循環が出来なくなったため、ヘリコプターや消防車からの応急放水、引き続き、大型の給水装置を使用しての冷却が続けられた。防衛省は、中央即応集団隷下の第1ヘリコプター団のCH-47に技術研究本部が計測機材を搭載(高度3000Ftで約170m×約130mの範囲が撮影できるサーモグラフィー搭載)し、3月20日以降ほぼ2日ごとに、原子炉建屋及び炉心周辺の温度調査を続けた。そのデータについては、4月26日までの状況が防衛省HPで公表されている。有人機による調査でのデータは原子力発電所安定化のために多いに役立てられていると信じているが、米国製の無人機でも調査をしていることから、有人の調査活動は、もう行われていないかもしれない。
防衛省(技術研究本部)の報道資料からは、測定の結果(データ)の評価が殆ど公表されていないので、調査活動がどのように貢献しているのかは良くわからない。有人の調査と無人機の調査で反映させる施策に等が異なり、使用目的が異なるのであれば、別だが、狙いは、原子力発電所の炉心周辺及び建屋の冷却状況・冷却効果の確認や、特異な部位での温度上昇箇所の早期発見であろう。
無人機(UAV/UGV)の方がより低高度(施設近傍)で局部を観察できる場合もあるが、搭載する機材が貧弱で効果が少ない場合もある。有人機の高精度の観測は、一定の間隔で必要かもしれないが、隊員への影響の拡大を大いに考慮すべきである。隊員の被曝線量の累積値はしっかり管理されていると聞いているが、無人機で可能なものは無人で行うようにするのが原子力災害等特殊災害対処の基本的な考え方であろう。
写真は、CH-47に搭乗して懸命に調査活動を行う技術研究本部及びヘリコプター団等の隊員で、機体の天井に日の丸が掲げられているのが緊張感を物語っている。上空での被曝を恐れず任務を行う隊員諸氏に感謝している。

仙台市近傍にある陸自霞の目飛行場の価値

2011-06-09 09:18:29 | 趣味・航空機
3月11日14時46分頃発生した地震と津波による被害は甚大で、「東日本大震災」と命名され、いまもなお捜索と復旧・復興のための取り組みが懸命に行われている。発災直後の地震と約1時間後に押し寄せた大津波によって、東北地方のs空の玄関であった仙台空港や航空自衛隊松島基地は使用不能となった。このため、仙台市近傍にある唯一の「陸上自衛隊霞の目飛行場」が初動の救助活動や国の行政機関、DMATなどの医療チームの受け入れ場所となり、大きな役割を果たした。
関東においては、首都直下地震や東海地震を想定して、立川に広域防災基地が整備されており、飛行場は陸上自衛隊が維持管理し、近傍に内閣府の非常時の前方指揮所にもなる施設や国立病院機構の被災者救助拠点病院が併設されている。また飛行場には、警視庁・東京消防庁・海上保安庁等の航空基地が併設されており、約1500mの滑走路では、定期的に航空自衛隊の中型輸送機C-1の離発着訓練を含めて日頃から訓練・運用が行われている。また立川飛行場(広域防災基地)の周辺には、血液センターや食料備蓄倉庫、災害救援物資の備蓄倉庫等があり、緊急時にはヘリコプター等航空機でいち早く被災地へ輸送可能な状態で管理されている。
仙台地区周辺では、ここまでは整備されていなかったが、宮城県を中心にして、自衛隊はじめ警察・消防・海上保安庁・国土交通省等との連携訓練が推進されており、今回の災害初動から多くの機関がこの飛行場(滑走路約700m)を活用できたと言える。まさに自衛隊と自治体が連携して日頃からの訓練と良好な人間関係を構築していたことの成果であった。
霞の目飛行場のデータによれば、3月末までの1ケ月の管制回数は、約5000回にも及び、通常の5倍もの航空機が集中したことが分かる。日単位で見ると、発災初日の3月11日は徹夜の救助活動もあり、自衛隊と警察・消防防災等を合計して約300回、12日がピークで530回を超える航空機の離発着があり、この状態は約1週間継続している。3月11日から17日の間に霞の目を使用した警察・消防・海上保安庁・国土交通省・Drヘリ・民間チャーター機の総数は、述べ116機に及んだ。地震や津波で孤立した被災者を救助する手段として、『ヘリコプターの重要性』が改めて認識されるデータであろう。今後東日本大震災の教訓として、改めて大都市周辺に存在する自衛隊の飛行場などの重要性が認識され、危機管理の際の国民保護の拠点として一層整備されていくことを期待している。
陸上自衛隊東北方面航空隊は、発災直後(15分後離陸)直ちにヘリコプター映像伝送機を飛行させ、地震による仙台市周辺の被災状況を小雪が降る悪条件下で貴重な情報収集を行った。特に大津波の襲来を刻々と伝え、関係機関や報道機関で極めて重要な災害情報として繰り返し報道された。その後津波で孤立した大勢の被災者を徹夜で連続15回出動させ、ホイスト救助を行って、169名の命を救っている。暗夜小雪の舞う中を暗視ゴーグルを使用して救助活動をしたとも言われている。この内容は別途記述することとする。写真は札幌市消防局のBell412が孤立した被災者を救助して霞の目飛行場に着陸し、被災者を自衛隊員と協力して搬送している風景である。阪神淡路大震災の教訓から始まった自治体消防等と自衛隊の連携訓練は、このような救助活動はもちろん、燃料の補給等後方支援の分野にまで拡大して検討が進み、訓練も行われてきた成果であろう。