Blue Sky Love Sky

空を愛する者として各地を歩いた際の航空機の写真災害時の活用法などを掲載しています。現場の意見などコメントをください。

1月18日午後の神戸長田付近の状況

2016-01-17 01:37:17 | 趣味・航空機
阪神淡路大震災が発生してほぼ一日が経過した18日午後に任務を行った東部方面ヘリコプター隊の要員が撮影した写真です。まだ長田町付近は数本の煙が見える程度で、この時点で空中消火活動を開始すれば、相当延焼を防げた可能性があると今でも思っています。当時兵庫県には空中消火活動をするように提案し、ヘリコプター15機程度をその準備に当たらせました。須磨海浜公園などの駐車場を給水拠点として使用すれば、連続消火活動が可能だと思われたからでした。中部方面ヘリコプター隊長以下が万全を期すべく現地調査を繰り返して19日には開始できる態勢が整っていました。しかし、当時の兵庫県知事は空中消火活動はしない・・。との決断であり、不本意ながら空中消火チームの待機を解除したことを思い出します。その後空中消火について消防庁消防研究所と協力して木更津などで大型機や中型機による空中消火活動の効果について検証しましたが、あくまで初期消火の段階ですが、迅速に集中して大型ヘリコプターによって5トン程度の水をほぼ連続した状態で投下すれば都市災害においても効果があるとの結果が出ました。もちろん中型ヘリでは1機当たりの水量が少ないですが、できるだけ連続して投下するようにすれば効果が期待できると思っています。山林火災でも長年実施した経験を持つ陸上自衛隊のヘリコプターによる空中消火活動をできるだけ初期段階で運用できるように訓練しておくべきだと思います。また海外では、大型固定翼機による山林火災や都市火災での空中消火を行っています。わが国には、海上自衛隊が保有しているUS-1を改造して消防飛行艇にしようとする研究も行われていましたが、いまだに実現していません。SF-2にパワーアップされて装備されつつありますので、これを消防飛行艇に改造して消防庁などが運用できればと考えています。首都直下地震などでは火災によって、死亡者が拡大し、避難も困難になる恐れがありますので、ぜひ初期消火の段階でのヘリコプターや固定翼の空中消火活動が実施できるように体制を整えてほしいと願っています。

阪神淡路大震災から21年

2016-01-17 00:51:26 | 趣味・航空機
早いもので21年目を迎えました。当時の八尾空港には陸上自衛隊の多数のヘリコプターが集結したほか、海上自衛隊や航空自衛隊のヘリコプター、政府がチャーターした朝日航洋などのヘリコプターが集結して運用されました。冬の早朝5時46分に発生した地震の時刻は、夜明け前で暗い状況でした。八尾駐屯地では、隊内で起居する隊員を非常呼集して直ちに観測ヘリコプターOH-6Dや多用途ヘリコプターUH-1Jを逐次エプロンに出すとともに、市内の宿舎にいるものなどの非常呼集をして準備しました。暗闇での航空機の搬出は、数人で安全を確認しながらの搬出となります。観測ヘリコプターOH-6Dの準備を優先して市内の宿舎から自転車で駆け付けた操縦士が到着して飛行前点検をし、エンジンをスタートさせたのが6時半頃だったと思います。気温も低く気象状況もまだ十分に集まっていなかったので、飛行のための情報収集と暖機運転をしながら離陸を待たざるを得なかった。離陸した最初のOH-6Dは、広範囲の被害状況を全体的に把握するのが目的であり、八尾ー神戸ー淡路島ー神戸ー伊丹の経路を飛行した。しかしながら、当時冬型が強まっており、淡路島の北東部は小雪で飛行高度は相当低くなったため、八尾空港との無線連絡が途切れがちとなり、直接情報を詳しく入手するのが難しい地点もあった。八尾から神戸に向かう途中、パイロットから阪神高速道路が倒れ、橋が落ちているところがある・・と聞いた時は、被害の大きさが尋常ではないと思ったものだ。また都市災害で一番気になる火災の発生であったが、地震発生直後の偵察ではまた煙が数本見える・・程度であった。何とか早く被害状況を把握して上級司令部へ報告させようと伊丹へ着陸させたことを思い出します。ビデオ撮影を準備して期待したのですが、個人用の小さなカメラでしかも撮影要領などの問題もあり、期待した成果が得られなかったと聞き残念に思った次第です。当日の午後には、王子陸上競技場に大型ヘリコプターで降着し、管制要員を置いて野外飛行場管制をさせる準備を行い、17日夕方からの任務の飛行管制をできるようにしました。この時に管制官が考えてくれた野外飛行場管制要領が、大規模災害時の救援航空機の安全確保のためのマニュアルとして平成8年3月に運輸省から出されたものとなります。このマニュアルは今でも使われています。写真は災害発生3日目の1月19日ころの八尾空港です。二本の滑走路の一本を閉鎖して、航空機の駐機場や物資の搭載エリアとして使っていました。写真でお判りでしょうが、B滑走路の両脇には陸上自衛隊のUH-1が並んでいます。B滑走路の北側は、チャーターされたヘリコプターや外来機が駐機していました。隣接する八尾駐屯地のエプロンにも多数の航空機が並んでいるのが見えると思います。多数のヘリコプターを100日間も連続して運用するためには、八尾での各部隊の整備能力と各方面航空隊など差出部隊から交代部隊が整備した航空機を提供したから可能でした。航空燃料は地下タンクに保有していましたが、数日後には底をついてくるのが予期されたため、速やかに大型タンクローリーでの直納をしてもらって難を逃れました。燃料などの補給や整備能力が連続長期運用の可能性を決める重要なポイントです。

沖縄サミット

2016-01-04 18:33:18 | 趣味・航空機
日本でのサミットは、従来東京で行われるのが通常でしたが、沖縄サミットは初めて東京を離れての開催でした。木更津からの多数のヘリコプターを沖縄に展開するだけでも課題がありました。航続距離の短いヘリコプターでは、九州から一挙に沖縄まで飛行できないのです。当時の政府専用輸送ヘリコプターであったピューマは飛行時間は問題ありませんでしたが、西風が強い場合は徳之島あたりで燃料補給を必要としていました。随員などを輸送し、予備機を兼ねてピューマに随伴するCH-47JAを2機編成し、そのチームを3個作りました。沖縄での大規模な整備をしないようにするため、木更津を出発する際には、時間交換部品などがすべて交換されて、最低限50時間の飛行が可能な特別整備を終了した機体をピューマ3機の他にCH-47JAを約10機程度揃えて沖縄に向かいました。緊急時の連絡を兼ねたLR-2も準備しての大移動でした。幸いに天候が良くてすべての航空機を一挙に推進することができました。

サミット前半年くらいに一度すべての乗員を沖縄の現地研修に行かせて、主要国首脳が宿泊するだろうと予想される各ホテルに隣接するヘリポートを確認させ、障害物については、外務省・自治体・ホテルなどと調整して除去することにしました。そしてひと月前には試験飛行を兼ねてサミットで使用する全てのヘリポートへの離着陸を確認させました。試験飛行で確認して残った課題を速やかに整理して解決して、本番に臨んだものです。特にすべての任務中に無線やレーダー監視が行われていることを前提として、航空自衛隊や嘉手納の米軍などの協力を得ました。また無線を常時確保するために、通信専門部隊を特定の地域に数多く配置して無線障害がないことも確認しました。また混雑した那覇空港での任務遂行のため、旧国際線ターミナル一帯を各国の首脳が到着しヘリコプターに乗り換える地域として指定し、制服を着た隊員を警備・誘導などのために那覇空港や各ホテル隣接ヘリポートや会議場ヘリポートなどに配置して運用しました。隊員の識別を容易にし、任務意識を高くするため、専用の識別帽を被っての任務をさせたものです。

伊勢志摩サミットも離島で行った沖縄での運用と似たようなところもあると思います。参考に出来るところは当時の報告書を見て参考にしてほしいと願っています。伊勢志摩サミットの場合大きく異なるのは、対テロ警備が格段に要求されることから、洋上での運用が多用されるでしょうから、海自の大型ヘリコプター搭載護衛艦などを配置してのレーダー監視や緊急時の病院機能などを持たせておく必要があろうかと思います。詳細は書けませんので、事前の検討会を重ねて最善の処置を取られることを願っております。航法については別に記述します。

伊勢志摩サミットの年

2016-01-02 13:19:47 | 趣味・航空機
今年は五月下旬に伊勢志摩サミットが行われ、ヘリコプターなどを保有する関係機関は総動員で準備されていると思います。テロ対策などもこれ有り、洋上ルートを多用し、海自の護衛艦などとの連携も欠かせないように思います。臨時のRNAVルートを設定して天候の急変にも対応できるような措置が望まれます。沖縄サミットを担当しましたが、自衛隊と警察は情報を完全に共有してそれぞれの行動を律する必要があると感じました。洋上では当然海上保安庁との連携も欠かせませんでした。そのために、外務省・防衛省間の連携はもちろんですが、現地の陸上自衛隊・県警・海上保安庁の指揮所にそれぞれ連絡要員を相互に派遣して状況把握をしておりました。近年はIT技術が進化していますから、画像情報での情報共有まで簡単に可能だろうと思います。近年のテロは、秘匿性をもって瞬時に大きな装備をもって攻撃することが考えられますので、第一線の警察・海上保安庁・税関等だけでなく、後方には自衛隊が一定の準備をしていると思います。AH-64Dなども情報収集能力が高いので、海上自衛隊の艦艇の情報とともに連動させて広範囲の情報をカバーして安全確保をして欲しいものです。