大規模災害時の報道ヘリコプター等の課題

「熊本地震災害」は10日を過ぎてもなお大きな余震が続く中で、被災された皆様やこれを体を張って支援される自衛隊・消防・警察・海上保安庁・DMAT等の医療チーム・救援物資の配送チーム等の救急救助・救援活動をされている関係機関の皆様に心より感謝申し上げたいです。
一方で、ここ数日新聞やTV各局の被災地での取材行動の在り方がネットで盛んに指摘され始めました。災害初動での緊急情報の伝達と言う目的を終えて、避難所のプラーベートに立ち入るような報道であったり、二次災害が心配される中での泥の中での救助活動を事細かく空撮してしまう。災害時の混乱をあざ笑うかのような報道に被災者は「いい加減にして欲しい」と悲鳴を上げ始めているのです。阪神淡路大震災、新潟県中越地震、岩手・宮城内陸地震、東日本大震災などの教訓も活かされていないのではないでしょうか？初動に於けるヘリコプター救助活動等は、関係機関が行う捜索救助活動を最優先させて、報道機関の情報収集は一歩外から観るようにし教訓が活かされてきたと思っていました。ところが、あまりにも横暴な報道関係者の取材に閉口した被災者が立ち上がったのです。報道機関の被災地上空からの取材は、大規模災害になればなるほど、可能な限り地域ごとに一機が「代表取材方式」で撮影し、救助活動や救援活動を邪魔しないことを最大限配慮して行動する事が必要であると思います。東日本大震災では、仙台地区などでの初動救助活動を優先させるための「NOTAM}が発出されました。今回はどうだったのか確認はしておりませんが、NOTAMで処置するまでもなく、報道機関は自主的に大規模災害時の「代表取材への移行」をルール化して適用できるようにしておく必要があると感じています。

熊本地震災害での救援航空機情報センターを

熊本地震災害が拡大して、郡部では中山間地直下地震特有の鉄道・道路網寸断の状況が生起しています。新潟県中越地震、岩手・宮城内陸地震の様相に似てきました。こうした広域災害では、ヘリコプターなどによる救急・救助、孤立住民の避難、孤立地域への医薬品や食料など物資の輸送、災害地域の地形の調査等多岐にわたる任務が集中します。報道によれば、ドローンを使った情報収集も行われているようです。有人ヘリコプターによる二次災害を防止し、効果的な空中からの各種連携ある行動を可能にするように、災害対策本部で、現地で最も多く活動するが自衛隊が一元的に局地の低空域航空情報を掌握して任務調整ができるようにすべきだと思います。JAXAが開発して一部消防・防災やDr.ヘリコプターなどで実用化しようとしているD-netなどを情報センターに備えて関係機関が飛行情報を共有できるようにして安全を確保して頂きたいと願っています。写真は岩手県久慈市で行われた総合防災訓練でJAXAの担当者が情報共有の検証をした際の画像です。

中山間地の直下地震特有の道路・鉄道輸送の遮断への対応

新潟県中越地震や岩手・宮城内陸地震などで多くの教訓を得たことは、鉄道・道路網などの寸断で被災者が孤立化することへの対応でした。
熊本地震でも殆ど鉄道・道路網は期待できなくなっていますから、宅配便なども小型ヘリコプターで各機関が連携して任務を分担して個人へも届けることができれば・・。郵政民営化に伴い民間企業だから・・とか、クロネコヤマトは民間だから・・等と言って防災関係機関によるヘリコプター輸送を懸念する現場を理解しない人もいるかと思いますが、『要救助者が今何を望んでおられるのか』を基本に検討すれば自ずと答えは出ていると思います。遠方から家族を気遣って送った貴重な品物をできるだけ早くあらゆる手段を講じて届けるのは今一番必要なことだと思います。
空港までは必要であれば自衛隊の輸送機で運搬し、そこからは各種ヘリコプターで現地へ配送するシステムを早期に構築すべきだと思います。阪神淡路大震災時は、ストーブや新聞・医薬品・生理用品なども要求があれば直ちに八尾空港(陸自航空隊）の格納庫に保管した物資をそれぞれの避難所近くのヘリポート迄配送しました。その総量は、道路交通網が回復するまでの約二週間くらいで約900tにも及んだのです。熊本地震は阪神淡路大震災よりもっと広域ですから、その必要性は大きいと思っています。自衛隊・消防防災など関係機関が速やかに一元的な運航統制を行って効果的な被災者支援を行うことを願っています。写真は東異本大震災の際無線中継所へ発動発電機と燃料を空輸する小型ヘリコプター（OH-6)です。被災状況の把握、救助活動、病人けが人の搬送などの他にも現場で欲しいものは色々あると思っています。それに如何に安全かつ迅速に対応できるかが求められていると思います。

熊本空港の閉鎖対応を

熊本地震は、大規模な地震の連続で災害の規模が拡大している。被災地の皆様に心よりお見舞いを申し上げます。自衛隊はじめ関係機関の救助部隊を増強するとの報道がありました。大規模地震災害では、地上の鉄道・道路が寸断されることから、救助部隊の拠点は空港周辺に置くのが良い場合が多いと思っています。地震の被害が拡大し、岩手宮城内陸地震災害にも似てきているように感じます。
現場の状況を観て選定する必要があると思いますが、熊本空港が管制塔等空港ビルに被害が出て閉鎖するとの報道もあり、周辺の福岡や佐賀・長崎・北九州等熊本地区への救援が容易な空港周辺に部隊の拠点を置くことを勧めたいと思います。災害時の救援航空機の安全確保マニュアルに基づいて、広い公園など屋外広場を利用する救助前進拠点での運航統制も東日本大震災や岩手宮城内陸地震の際の教訓を活用(陸自がレーダーサービスした）して迅速かつ安全にすべての機関が効果的に運用できるようにして欲しいものです。熊本空港が停電のため運航できないとの報道もありますが、そうだとすれば、九州電力や自衛隊が保有する大型電源車を速やかに運用して空港機能は可能な限りオープンすべきですね。

熊本空港の滑走路閉鎖

空港のターミナルが地震の被害を受けて危険になったため、空港を閉鎖するとの報道。東日本大震災で仙台空港が被災したことを思い起こした。同時に、大規模災害時の空港の役割の重要性から、管制塔は使えなくても、軽易な車両化した移動管制機能を補強して空港の使える部分を最後まで使う必要があると思った。東日本大震災の際、仙台地区にある陸上自衛隊霞目飛行場管制塔も大きな被害があり、管制塔を使っての航空管制は無理と判断して、飛行場の見張りの良い場所で簡易の管制装置を使って必要最小限の航空管制をして安全を確保しながら飛行場の使用を継続していました。一晩中停電した飛行場でのオペレーションをして多くの人命を救助しています。熊本空港の滑走路が使えるうちは、自衛隊機などについては、安全確保ができる範囲の空港使用を認めるべきでしょう。

平成28年熊本地震

内陸直下型地震であり、大きな被害が出ていることに心を痛めています。そのような中にあって、自衛隊や消防防災・警察など防災関係機関が初動から迅速に対応されていることに感謝したいと思います。鉄道や道路網が寸断されている現状では、空路からの物資の搬入などが不可欠な地域もあると思います。余震が続く中での活動ですが頑張って欲しいと投げっています。
また、長い目で見ると、内陸型の直下地震がこの20年くらい西日本に多いことを懸念する論調もあります。その一つが産経新聞が書いた『「一過性のものではない」専門家指摘 南海トラフ巨大地震につながる内陸地震続発 西日本中心にこの２０年 』と出した記事でしょう。来る巨大地震の前触れではないかとの意見も多いので、阪神淡路大震災以降の大規模地震災害の教訓を活かすべくしっかりした教訓の収集が重要になると思います。引き続き救助活動などを続けるとともに、教訓をしっかり残してほしいものです。

熊本で震度7の地震

夜に発生した地震であり、慌てずに確実に安全確認をしながら少数機でも良いから正確な情報収集をして欲しい。その情報に基づいて必要であれば、夜間にあっても初動の救助活動を展開することになるでしょう。明日の早朝からの組織的な救助活動を容易にするために必要な情報収集をしっかりされることを願っています。