Blue Sky Love Sky

空を愛する者として各地を歩いた際の航空機の写真災害時の活用法などを掲載しています。現場の意見などコメントをください。

昭和38年豪雪災害のこと

2012-01-28 09:54:41 | 趣味・航空機
 昭和37年12月末頃~昭和38年2月にかけて主に新潟県から京都府北部の日本海側を襲った記録的豪雪(新潟県長岡市では318cm)による災害であった。この年は、九州地方でも記録的な積雪を記録し、鹿児県でも30cmを超える積雪が記録された。当時国鉄上越線、北陸線の長距離列車は18日間も運休した。石川県の白峰村などは、約2ケ月間、陸の孤島となる地域もあった。この災害で、陸上自衛隊航空科部隊は、当時の主力機であったH-19での救助活動を行っている。悪天候の中を新潟・福井・金沢へH-19×各1機を推進し、救助活動を実施している。激しい雪の中での飛行は、命がけであり、2度の天候の急変で雪雲の中に入ってしまい、恐ろしい経験をした・・と当時のパイロットN[氏が語っている。中でも孤立した池田村から妊婦を緊急空輸し、無事に赤ちゃんが生まれた時は、我が事のように喜びを共にし、平成16年9月に機会があって当時生まれた通称「ヘリ子ちゃん」との再会を果たしている。この再会劇は、地元の新聞でも紹介された。写真は、38年1月福井城址を基地に救助活動を行うH-19(N氏提供)である。
 北陸・上越・東北地方の豪雪のニュースを聞くたびに思い出す記事である。今年は、陸上自衛隊航空部隊創設60周年を迎えるため、創設期のころから、実際に行動した人たちの回想を集めているが、その中にも記録されている。近年は装備も改善されてはいるが、大自然の脅威は人智を超えており、過去の先人の教訓を生かして安全に活動してほしいものである。北海道で飛行隊長をしていた頃、戒めとして大切にした言葉があった。『大自然の脅威には勝てず、ただ克つのみ』・・大自然の脅威(天候気象)には、十分な地域研究と気象情報の変化予測などを十分行って克服することの重要性を戒めたものであった。装備が改善されてなんでも出来ると過信すると、大自然からのお叱りを受けるかもしれない。大自然の中で空を飛び任務をする者は、やはりそれだけの謙虚さと神にもすがる従順な気持ちが大切だと思う。今年も厳冬で雪害が心配されている。高層気象や地形特性などを十分に勉強して、大自然の猛威に克てる術を磨いておきたいものである。

都心上空に軽飛行機で発煙描画

2012-01-13 10:01:06 | 趣味・航空機
1月12日昼過ぎに軽飛行機3機が爆音を響かせながら東京上空で数度にわたって空中に「333」の数字を描画していました。写真はたまたま四谷駅付近で見つけてシャッターを切ったものです。かつて東京上空に5機の軽飛行機で「POCARI・・・」という清涼飲料の宣伝のために描かれたものを見たことがありますが、都心上空で見たのはあれ以来のことでした。昨日のニュースを探してみると、人気映画シリーズ「ALWAYS 3丁目の夕日’64」のPRイベントの一つであったようです。「333」の数字の意味は、よく分かりませんが、なんでも東京タワーの高さ333mを表現したものだとか・・。今年の初夏にンスカイツリーが公開されますが、その時には、「634」を描くのでしょうか?
空中に数字を描く方法は、いろいろありますが、今回のようなアナログ文字を飛行機の運動によって描くもの。そして飛行機は編隊を組んだまままっすぐに飛行して、デジタル文字を自動発煙噴射する方法(以前行われた清涼飲料のPRはこの方法)に大別されます。
前者は発煙のための機材のコストは減りますが、操縦するパイロットの技量が問われるものです。東京オリンピックで航空自衛隊のジェット機で五輪のマークを描いたものが代表例でしょう。ヘリコプターで描画したものもあります。陸上自衛隊航空学校の教官選抜チームが創立50周年記念で描いた「50」の文字描画も有名です。コストや安全などばかり気にしてロマンを忘れた日本人も多いですが、日本人特有の匠の技術を磨き、厳しい訓練を積み重ねる風土も持ち続けたいものです。厳しい訓練ができている人は安全確保のすべを知っています。匠の技術を持ちえない人は、簡単に匠の世界を揶揄して「オタク」と表現する風土があるのは、間違いだと思っています。
もともと空中に浮かんで任務を行う航空機の操縦などには、安全確保や任務遂行上必要な技量は保持しなければ何もできません。オートパイロットの能力に頼って自らを磨かない人は、とっさの機転が効かないし、苦難からの脱出などクライシスコントロールが必要な場合に差が出てくることを理解してほしいものです。日頃の継続した厳しい訓練の重要性はそこにあります。

明けましておめでとうございます

2012-01-03 09:25:04 | 趣味・航空機
明けましておめでとうございます。昨年は、南西諸島周辺の不安定化や東日本大震災、台風による大規模水害などが連続して発生し、関係機関の皆様には、ご苦労も多い年でした。国民の一人として、心より感謝申し上げます。

今年は、北東アジア一帯がさらに不安定化し、世界金融不安の中でのわが国の再生を図るために改善方向に向かって始動する年かもしれません。ここ10年、財政再建のために制限してきた人材育成や装備の充実強化について、東日本大震災という国難を経験して、改めてその重要性が理解され、多くの教訓を残しました。特に巨大災害の場合の、自衛隊を始めとする関係機関の初動のヘリコプター救助活動の重要性は多くの国民が改めて認識したものです。首都直下地震、東海・東南海・南海地震などの被害想定は、改めて見直されつつあります。被害想定の見直しと並行してヘリコプター初動救助活動などに必要な人材確保と装備の確保は喫緊の課題です。財政が苦しいから・・とこの10年制限してきたため、装備が減少し、予備人員なども大幅に減少しており、対処能力は阪神淡路大震災の頃以下になっていると考えています。特に長期間の活動を維持するための予備人員の確保とヘリコプターの数が激減していることに衝撃を受けています。

各種白書を見ると、最も減少が大きいのは、陸上自衛隊の小型ヘリコプターと中型ヘリコプターで、減少総数は、50機を超えており、装備定数も相当数減少しています。そのため、養成する人員も減少し、危機管理に運用できる航空部隊の連続運用能力が大きく低下しているのではないかと危惧しています。
昨年あたりから、従来行われてきた市場原理の原則をあらゆる社会活動に当てはめて考えることが誤りであった・・とする人が増えています。特に危機管理を所掌する関係機関においては、当面の効率性や瞬間的なコストの低さに目を奪われることへの危険性に対して、警鐘が鳴らされたのが、東日本大震災であったと感じています。

東日本大震災であれだけの救助活動を行った(初動4日間くらいで総数約10000人が救助されているが、そのうち3000人以上は、初動のヘリコプターによる救助だとされる)にも関わらず、年末の24年度予算政府案を見ると、東日本大震災の活動を教訓にし、関係機関の人員装備の回復を目指す方向性は全くないと言わざるを得ない。政治主導でこれを行っていると豪語する政府は、国民に対してそのリスクをすべて背負う覚悟はあるのでしょうか。対応の正面にいる自衛隊や海上保安庁など第一線部隊に押し付けることはもう許されません。多くの国民は、しっかり政治を監視するようになりました。

南西諸島周辺の防衛警備、北東アジアの不安定化への対応などは迅速かつ効果的に沿岸到着までに対応すべきことも多いと推測していますが、財務を所掌する政治家の強い政治力?で実現していないとの噂も聞く。単なる噂さであり、早期に政治家の客観的な判断で危機に対する備えを早期に準備されんことを強く願っています。第一線で勤務される方々ももう少し大きな声を上げて、対応能力を充実させるように努めてほしいものです。