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空を愛する者として各地を歩いた際の航空機の写真災害時の活用法などを掲載しています。現場の意見などコメントをください。

陸上自衛隊が災害時に無人ヘリを活用しようと公開

2014-06-27 09:43:42 | 趣味・航空機
産経新聞に陸上自衛隊中部方面隊に配置されている無人機が掲載されていました。(http://photo.sankei.jp.msn.com/kodawari/data/2014/06/26jgsdf/)
我が国の無人機は世界でもとプレベルにあります。特に小型の回転翼無人機ではその運航数は農薬散布などで数が出ていることもあって、最大規模です。米国などの無人機を調査したのが約6年前でしたが、その当時は確実に日本の回転翼型無人機は世界でトップの能力を思っていました。ただ、実運用機数が少ない事と航空法で規定がないことから、航空法の適用を受けない低高度(150m以下目視距離以内)での運用がほとんどです。今回陸上自衛隊が公開した無人機は、航続距離が他の小型回転翼無人機に比較して非常に長く、目視ではなく、自動操縦で飛行可能な無人機です。あらゆるセンサーを搭載して伝送する能力も持っていますから、大規模災害などで連続長時間の監視、特定災害で、人が近づけない場合等に最適なシステムと言われています。無人機と言うと固定翼が良いとする御仁も多いですが、成層圏など高高度を飛行して偵察する無人機は別として、小型で軽量な無人機は、速度も遅く、ジェット気流が本州上にある時期や、日本のような湿潤で急く乱雲など雲の発生が常態である空域での運航は至難の業です。これを回避しようとして日本で開発されたのが、小型回転翼無人機でした。比較的低高度(10,000Ft以下)で気流の擾乱を克服し、定点での観測を可能にしようとしたのです。特に都市型の災害でビル風などを回避(同程度の機体の大きさであれば、固定翼型より回転翼型の方が乱気流に対して強いのは実験で証明されている)して情報収集が可能だと考えられています。課題は、ミスハップレートの低減(10万飛行時間に発生する事故の確率)を実証することで、これには、試験運用や実運用をして飛行時間を積み重ねる以外に方法はありません。防衛行動ではもちろん、大規模災害でもこのシステムが迅速に運用できるようにして欲しいと願っております。

山林空中消火活動中の事故について

2014-06-05 21:19:39 | 趣味・航空機
神戸新聞の記事によれば、『陸上自衛隊中部方面総監部(伊丹市)は3日、相生市の山林火災で空中消火に当たったヘリコプターが、現場周辺の電線を切断したと発表した。同日午後3時35分ごろ、兵庫県知事の災害派遣要請で出動した2機のうち1機が電線に接触したという。乗員3人にけがはなかった。陸上自衛隊は事故調査委員会を設置し原因を調べる。・・』と報道されている。神戸市や兵庫県も空中消火活動を懸命に行っただろうが、どうしても各地での山林火災への出動経験と散布水量の多い陸上自衛隊ヘリコプターに依存することが多いと思う。山林の消火活動は、何回も出動した経験はあるが、火炎の見える高度まで低下して散水することが多く、周辺の線状障害物を懸命に視認しながらの運航をしていることが多い。一人の人間でできる極限の環境での命懸けの行動であるわけだ。事故にならないのが不思議である位に危険な状態が発生しているのが実情であることを踏まえて、事故調査をされることを願いたい。山火事空中消火では最も経験を多く持つ八尾の陸上自衛隊航空部隊が、自信を失わないで引き続き自信をもって命懸けの各種任務に立ち向かえるように乗員 等の余裕ある人材運用や小型機による上空からの指揮統制の効果を活用するなど空中消火を実施するチームが安心して行動できる勤務環境整備などをすることが重要であると思う。特に数時間以上の連続運用をする場合、精神的に疲労の限界にくるので、適切に交代しながら運航できる余裕のある人材の確保が極めて重要であることを承知すべきであろう。
このブログで、数回となく人材養成と予備戦力となる要員の確保について述べてきたが、心配が現実になったような気がしている。防衛省陸上自衛隊は、機動力向上のために各種施策を実施中と聞くが、是非厳しい訓練を十分に実施した予備要員の確保などについて教訓として対策を講じて頂きたいものである。写真は、山林火災で空中消火活動をするUH-1ヘリコプターであり、15年くらい前に撮影されたものです。写真のように重荷重の水嚢を吊り下げて、地面ぎりぎりの活動をすることの困難さは操縦される方には理解していただけると思います。

航空法の整備を

2014-06-02 09:33:51 | 趣味・航空機
5月10日の産経新聞電子版の記事冒頭部分です。『米連邦航空局(FAA)当局者は9日、南部フロリダ州タラハシーの空港近くで今年3月、アメリカン航空グループの国内線旅客機と無人機がニアミスを起こし、衝突寸前だったことを明らかにした。AP通信が伝えた。米国では無人機の商業利用が急速に拡大すると見込まれている。FAAは無人機導入に際し、安全確保を最優先させると強調する声明を発表した。・・』UAS(無人機)が爆発的に増えているにもかかわらず、航空安全確保にかかわる法的措置が遅れている。わが国は航空法において無人機は航空法の適用外であり、条文に無人機について触れていない。東日本大震災でも問題になったが、飛行させる場合は、詳細な飛行ルートなどを報告したうえでNOTAM処置をして他の航空機を一時的に排除あるいは危険を知らせることで飛行を許可している。もともと平成初期の頃までは、航空法に無人機の条項はあったと記憶(条文だけがあり、細部は政令で定めるとの趣旨が記されていたが、政令は当時見たことがなかった)している。無人機がわが国の空にも多数飛行する時代になった、米国の場合は、航空機の操縦資格を持つパイロットが、一定の装備を装着する無人機を地上で操縦することを条件にIFRも許可されている。航空管制官とは常に交信でき、無人機の飛行状況はパイロットが常時監視できているのが条件と聞いている。一方で低高度をVMC気象条件下で飛行させることへの規制は極めてずさんであるようだ。わが国では、農薬散布などの無人機は世界でも有数の機数を持っていた時期があるが、航空法では、航空路・管制区以外の地上高150m(約500Ft)以下での目視運航による安全確保を条件としていた。無人機の性能が高くなり、10,000Ft程度でも飛行可能な超小型無人機も現れている。その際NOTAM処置だけで運行させるには、問題が多い。わが国の上空は、ほぼ全域航空路・管制区に該当するから、高度を大きく変えながら無人機を運行するのは難しい。グローバルホークなどは、離発着の際の低高度飛行を除き、超高高度(友情旅客機が飛行しない高度)を飛行しているので、上昇降下の際のルートを指定し、資格あるパイロットが操縦することで安全は確保できると思う。問題は、中高度以下の多くの旅客機等が飛行する空域での無人機との共存をどうするかである。RNAVの手法やADS-B等の装備をすることで対応するのか?これには無人機の重量制限から困難なことも多いはずだ。法的に無人機に優先権を与えるのか?・・これも現実的ではないような気がする。大規模災害などでの無人機運行要望が増えることが予想されているので、早急に法整備をすべきだと思う。 (http://sankei.jp.msn.com/world/news/140510/amr14051013290005-n1.htm)写真は2005年に米国へ無人機調査団として行った際に展示場で撮影したスキャンイーグルです。