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空を愛する者として各地を歩いた際の航空機の写真災害時の活用法などを掲載しています。現場の意見などコメントをください。

新潟県中越沖地震での航空情報の提供

2007-08-15 10:07:21 | Weblog
2007年7月16日(月)午前1013分に発生した地震被害の救援活動は、自衛隊、消防防災、警察、海上保安庁、ドクターヘリ等関係機関や民間事業者などの航空機による広域救援活動が安全に行われました。その背景には、阪神淡路大震災での教訓を踏まえて作成された『「災害時における救援航空機等の安全対策マニュアル」の改定について(通知)(空航第481号、H8.7.19)』に示されている航空情報の提供が関係省庁の連携で迅速に行われ、十分に機能したことがあるといわれます。
このマニュアルに、「航空機安全対策」の項があり、その中で「航空交通情報の提供についての周知」について以下のように述べられています。「場外離着陸場等の運用者が、当該場外離着陸場等の周辺空域において航空交通の輻輳等により救援活動に支障があると判断し、当該空域において無線電話による航空交通情報の提供を行う場合には、その旨のノータムを発出し、関係者に対し当該航空交通の聴取を推奨する。・・・」中越地震に際して、当時「小千谷アドバイザリー」が設置されて、阪神淡路大震災後初めての大規模災害でのマニュアルに基づく運用が行われ効果がありましたが、手続きなどに時間がかかったことが教訓でした。
今回の新潟県中越沖地震では、総務省、国土交通省、防衛省及び地元自治体が相互に緊密に連携して迅速に処置され、地震発生翌日には柏崎市佐藤池付近の場外離着陸場に陸上自衛隊東部方面航空隊(立川)が保有するP-20レーダー(ASRのみで運用)を配置して航空管制の資格を持つ隊員によって運用されていたようです。呼び出し名は「サトウアドバイザリー」で、総務省、国土交通省などの連携で周波数の配当も迅速に行われ、官民の航空機に対して速やかに情報提供が行われたために安全運航に極めて有用であったと運航者から感謝の声が上がっています。今回は救援活動の初期において曇天が多く、一日最大情報提供量は71件(このうち58件約82%が消防防災など自衛隊機以外への情報提供)であり、天候不良下で情報収集・救助活動を行う航空機の航空安全の確保にとって極めて有意義であったと思われます。特に今回のこのレーダーの迅速な運用開始は、管制所の運用を担当した東部方面管制気象隊はもちろん、関係機関の総合力によって、航空機による救援活動を迅速かつ安全確実に行うことが可能となり、一刻も早く、多くの被災者の救援を行うために非常に役立ったと言えるわけです。
今後もし関東地域など航空交通量の多い地域で巨大地震が発生した場合などは、ヘリコプターを中心に低高度で活動する航空機は数百機を超えるものと推測されることから、更に強制力のある臨時の場外離着陸場での航空管制が可能なようにあらかじめ検討しておくこと、及び臨時の離着陸場でのレーダーによる着陸誘導まで可能なようにしておくことなどが大切だと思います。このためには、日ごろ行われる防災訓練に、この種「航空機の安全対策」を含む訓練を毎回行い、関係機関が自ら行う処置について周知しておくことが重要だと考えます。航空管制は航空機を使用して行う初動の救助活動を安全に実施するための最重要課題ですから、関係者の更なるご尽力を期待したいものです。写真は中越地震で活動する陸上自衛隊のUH-60JAです。