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空を愛する者として各地を歩いた際の航空機の写真災害時の活用法などを掲載しています。現場の意見などコメントをください。

仙台市消防局ヘリコプターによる初動の救助

2011-09-23 12:18:38 | 趣味・航空機
東日本大震災が発生した3月11日夕方、地震と津波で多くの人が被災した荒浜地区の住民は荒浜小学校などに濡れた身体のままで避難していた。仙台市消防局・宮城県警察は、地震直後から直ちに救助活動を開始している。そして孤立住民の情報を承知した海上保安庁や陸上自衛隊も17時頃から救助活動を開始した。陸上自衛隊の救助活動が始まり、夜間の救助活動は安全確保の観点もあって、専ら陸上自衛隊が担当して終夜連続しての救助活動が行われた。11日夕から12日早朝にかけて15時間の救助活動で約200名の住民が救助されている。その内訳は、消防がBel412×1機で7名、宮城県警察がBel412で17名、海上保安庁がBel206×1機で6名を夕方までに救助している。陸上自衛隊は、17時頃から12日7時頃までの間、暗闇では夜間暗視装置を使い、燃料補給はエンジン停止しないまま補給する「Hot Refuel」を実施して、終夜連続しての救助活動で169名の救助を(UH-1×3機と未明から第1ヘリコプター団のUH-60JA×3機)行った。初動のヘリコプターによる救助活動は、停電でしかも小雪降る悪気象条件で、全域が暗闇の中での活動であり、明るいうちは各機関の連携で救助活動が出来たが、夜間に入るとルートの統制など安全確保が必要であり、陸上自衛隊が担当して夜間の救助活動を行っている。宮城県は従来から宮城県防災計画等に各機関のヘリコプター等の運航を調整する「航空班」を設置し、霞の目飛行場を使用しての自衛隊・海上保安庁・警察・消防防災のヘリコプターが連携する訓練を行ってきていたため、最初は消防防災や警察が担当し、事後陸上自衛隊や海上保安庁が加わって連携する手法での救助活動が整斉と行われていたようである。ただ、災害の規模が巨大であり、霞の目飛行場には全国からの応援部隊が飛来した。このため、11日は約300回、12日は約550回、13日・14日は各日約350~400回の管制回数を数えるほどに混雑していた。巨大地震に備える為に葉、「地域航空センター(仮称)」などを巨大地震などの防災計画に合わせて拠点となる飛行場に設置して、自衛隊を中核とする初動のヘリコプター等の活動を有効にする為の情報を集中させ、各機関のヘリコプター救助活動を調整し統制する組織が必要であると考えている。写真は霞の目駐屯地提供である。

小型ヘリコプターも大活躍

2011-09-15 21:56:46 | 趣味・航空機
東日本大震災では、中小型ヘリコプター(陸自第9飛行隊)が大きな仕事をしている。三陸地域等山間地では、十分に広い着陸場所は少なく、ほとんどが小型ヘリコプターや中型ヘリコプターが何とか着陸可能な狭隘な着陸点が多かった。山頂にある通信所(山田デジタル通信所)の商用電源も停電し機能が失われたたため、通信所に小型の電源装置(60kg)を中型ヘリコプターで吊下げて下ろし、燃料はOH-6に積ん(2回に分けて合計約220ℓ)で届けている。まさに小型ヘリコプターだからこそ実施可能であった任務である。近年ヘリコプターも逐次大型化し、大型ヘリコプターが効率が良い・・などとして小型・中型ヘリコプターが減少しているようであるが、東日本大震災では、中・小型ヘリコプターの量も必要であり、バランスの良い装備を保有することが重要であることを教えてくれた。防衛任務においても同様の事は言えるが、わが国は70%が中山間地であり、今回の三陸地域で行われたような任務は多いはずである。防衛白書のデータから見ると、陸上自衛隊の装備航空機は2003年頃510機程度だったものが、逐次に減少して21年3月末では460機になっており、約50機が減少した。その主なものは小型と中型ヘリコプターである。首都直下地震や、東海・東南海・南海の連動型巨大地震への備えをしなければならないとの指摘は多いが、このままでは年々減少して300機を維持できないとの見積もりもあるようだ。阪神淡路大震災の教訓から逐次増加したヘリコプターの数は、10年を経て逐次減少し始め、今や用途廃止機数が新規装備数を超えるため、毎年総数が減っている。防衛白書は正確な数字でそれを警告しているのだ。財政の制約はあるが、大規模災害や防衛警備上国民の生命財産を保護し、減災に役に立つヘリコプターをこれ以上減らすことは国民から見て納得が出来ない。政治家も防衛省など関係省庁の責任ある地位の人たちも真剣に数量の確保・運用のための行動を起こさなければなるまい。それには装備数と人員の確保が必要であり、一朝一夕にしてはできない中長期のしっかりした計画が不可欠であろう。「大は小を兼ねることが出来ない」・・狭隘地での任務を得意とするヘリコプターの場合はそれが明確に言える場面が多い事を如実に教えてくれた。教訓は生かされなければならない。装備の数と運用のための人員などの養成を急がなければならない。

大槌臼沢での孤立者救助

2011-09-13 10:23:26 | 趣味・航空機
三陸海岸では、大津波による被害が甚大であったが、なかでも大槌町周辺は、悲惨であった。多くの住民が津波で流されてしまったのである。残った一部の住民の救助は、唯一ヘリコプターによる救助だけであった。UH-1ヘリコプターによって瓦礫の残る岸壁へ着陸し、高台に避難した住民を一人一人救助した。写真は、ヘリコプター(9師団飛行隊提供)に向かう住民で、肩を落として寂しそうである。このような救助活動は、報道されることもない三陸の山間地域で黙々と続けられていたのであった。まさに彼ら救助チームこそ「わが国の誇り」である。三陸正面を担当した陸上自衛隊第9師団を中心とする東北北部地域での初動から7月26日までの間のヘリコプター部隊による救助者数は、586名に及んでいる。東北地域北部及び三陸地域で活動した自衛隊のヘリコプター部隊で救助者数の内訳「()内数字」は、次の通りであった。第9師団飛行隊(207名)第7師団飛行隊(0)東北方面航空隊(70名)北部方面航空隊(146名)第1ヘリコプター団(0)第12ヘリコプター隊(3名)航空自衛隊(160名)その殆どは初動の数日間で狭隘な孤立地域から救助されており、中型ヘリコプター等の数量が命を守る上で重要であることが再認識されたと思う。また、ヘリコプターには降着装置が車輪式(ホイール)とスキッド式があるが、それぞれ特色がある。ホイール式は落着した際の生存性は抜群に良い。スキッド式は中山間地など狭い不整地での着陸に強みを発揮する。嘗て新潟県中越地震の際もホイール式では接地困難な場所での運用もスキッド式では可能であった。ヘリコプターはそれぞれの利点を活用できるようにバランスよく保有する必要がある。東日本大震災の教訓を活かして首都直下地震や東海・東南海・南海連動型巨大地震等への備えをしなければならない。自衛隊をはじめ防災関係機関は阪神淡路大震災の教訓で急増させたヘリコプターの数の維持や運用に必要な人員の養成に特段の努力をして初動のヘリコプター救助能力の低下を防止しなければならないだろう。その責任は、今それぞれの職で活躍されている方々の双肩にかかっている。人の養成も装備の充実も一朝一夕にしてはできない。陸上自衛隊も阪神淡路大震災の教訓で目指した500機体制を早期に回復して欲しいものである。また全国で70基を超えるヘリコプターを保有する消防防災ヘリコプター部隊は、要員の充実を早急に実施して、24時間運航を行う体制を確保べきである。政治家はその現実をしっかり把握して、国民の生命財産の保護に必要な政策・向かうべき方向を誤らないで欲しい。

三陸地域の被災状況

2011-09-13 10:10:37 | 趣味・航空機
あの大災害をもたらした3月11日の大津波から半年が経った。当時陸上自衛隊第9師団飛行隊などは、冬型の気圧配置で気流が悪い三陸地域の情報収集を行い、発見した孤立住民を崩れかけた岸壁などから救助していた。当時の救助活動はあちこちで全力を挙げて行われており、報道に情報提供する余裕もなかったため、余り知られていないことも多い。半年経ってみて、現地部隊等を訪れると、淡々と当時の事を語る隊員がいた。「一人でも多く・・少しでも早く・・助けたい!」ただそれを祈りつつ日夜連続しての捜索・救助活動が行われていたのであった。写真は、大津波で甚大な被害を受けた越喜来周辺の模様であり、3月14日に撮影(9師団飛行隊)されている。海岸に近い街は殆ど流されてしまって被害の甚大さがわかる画像である。