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空を愛する者として各地を歩いた際の航空機の写真災害時の活用法などを掲載しています。現場の意見などコメントをください。

FABOT搭載モーターグライダー

2012-08-31 17:53:06 | 趣味・航空機
次世代の小型航空機や無人機に人間が持っている「異常感知、特定、最適方法の判断と対処」などの一連の安全対処能力を人工知能の考え方を適用してコンピュータで制御し、航空機の安全性を格段に向上させようとする研究が産官学で行われ、2003年に飛行試験に成功しています。その研究に使われている飛翔体の一つがFABOTと呼ばれている(富士重工が開発したコンピュータ飛行制御技術システムを搭載)モーターグライダーです。研究用に運航されているモーターグライダーで、2003年夏に完全自動離着陸実証試験に成功しています。写真(富士重工提供)では見えにくいですが、パイロット1名が乗っています。試験中パイロットは手を離した状態で緊急時のみ手動によって対処し、安全を確保する方法で研究が行われています。もちろん人工知能を適用したロボットが操縦する無人機も日常的に飛行可能になるかも知れません。このシステムは、今また平素から運航できる無人機システムとして大いに注目されています。
最近危機管理のため、平時からの無人機の運航を行おうとする動きが盛んに検討されていますが、有人機の安全を確保するために作られた航空法の下では、航空路・管制区・管制圏等が輻輳する空域で無人機を勝手に運行させることはできません。各国とも有人機と無人機が整斉と飛行できる環境を整えようとしていますが、識別装置の装備や地上からの無人機の常時監視、墜落率(ミスハップレート)の低減など多くの課題があり、大変難しい状況です。その中で、航空法の下で運航できる方法の一つが写真のような有人機に無人の操縦装置を取り付けて平時は有人機として飛行して経験を重ね、危機管理などで必要な場合は、指定された空域で直ちに無人機として運航させる方法です。平素から継続して情報収集することが極めて重要であることから、この写真のような二人乗りモーターグライダー(安価で比較的長時間飛行可能)を改造して一名が乗り込み、飛行状況の監視をし、操縦のほとんどを自動操縦で行う平/有事共に可能な有/無人機の運用が注目されています。
米国では、2004年から無人航空機の名称をUAV(unmanned aerial vehicle)から一部NAS(National Air Space)を飛行する無人機については、航空法にあるUAS(Unmanned aircraft system)という名称に変えています。航空路・管制圏などを平素から有人機並に飛行できるようにするため、FAA(United States Federal Aviation Administration)が示す条件を満たす無人機をUASとして認証するようになったのです。東日本大震災で無人機が有効に活用できなかったことを教訓に、わが国でも平/有事を問わず航空法の下で安全確実に運航できる枠組みを作ろうとの検討が行われています。関係省庁で検討が進んでいるようですが、現場で必要な時に直ぐに使える法体系として整備して欲しいものです。特に、原子力災害やテロ対策などの場合は、平/有事の明確な区別がないことが多く、突然生起することが多いので、法的にはそれらの危機管理に十分有効である体系が必要です。『有事』という冠をつけることが重要と考えている向きもあるようですが、東日本大震災で被災した原子力災害への法的修正が直ぐにはできなかったことを教訓に、初動対応が迅速にできるような法体系が求められます。
もう一つ重要なことがあります。それは、技術的にUAS・UAVの安全性を強化し、都市を含む上空で自由に運航できるミスハップレイトに下げること、そして航空法に示す条件を満たす運用者(有人機のパイロット資格を持つ者)を官民挙げて養成する教育訓練センターが必要であるということです。このモーターグライダーにFABOTを搭載して行う運用方法は、すでに有人機としてその安全性を高く評価されていることから、都市を含めてどこでも安全に飛行可能であり、価格も安いことに意義があると思います。原発など人間への被爆の危険性が高い場合は、日頃訓練した通りのFABOTでの自動飛行を無人で行うようにすれば無人機運用への信頼性も高まると思われます。モーターグライダー運航のための資格は、現に操縦資格を持つパイロトであれば簡単に取得できます。平/有事の運航に自信が持てれば、逐次完全に無人化しての運航に移行させるようにすればよいでしょう。その際も、地上で運行を監視するのは、資格を持つパイロットが行う必要があります。

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