【ビビンバ】
「ビビンバ」は、韓国の混ぜご飯である。丼や専用容器にご飯とナムルや肉、卵等の具を入れよくかき混ぜて食べる料理。コチュジャンやゴマ油等の調味料をかけ、匙でよく混ぜてから食べる。少量のスープを振りかけると混ぜやすい。ご飯の上に盛られている具は本来5種類とされ、手前・奥・右・左・中央に分けて盛られている。
『語源・発音』
「ヒビム」が「混ぜ」、「パプ」が「飯」の意味である。より原音に近い片仮名を表記すると「ピビムパプ」となるとされる。ただし、実際には「パプ」の初音は、語頭では清音で日本語の「パ」にほぼ近い音で発生されるのに対し、基本的に文中に入ると濁音化して日本語における「バ」にほぼ近い音で発生される。この場合には直前に鼻音「□」が配置されているため、原語においての語は、実際には濃音で発音されるため、鼻に抜ける息が止められたような、日本語の「パ」でも「バ」でも表現できない音で発生される。
『種類』
一般に「ビビンバ」といえば、金属や陶器製の器にご飯を入れて上にナムル類を載せたものを指す。手軽なメニューとして食堂や家庭で一般的であり「ポトン(普通の)ビビンバ」などとも呼ばれる。店の一角に並べられた具を客が取れるようにしているところも見られる。
載せる具は雑多で、ユッケを載せた「ユッケビビンバ」、タコや貝などを載せた海鮮系の「ヘルムビビンバ」のほか、ヘルシー志向を反映してか、生野菜を多く載せた「野菜ビビンバ」などもある。具材は多くないが、野菜を載せた上に辛口の味噌ダレをかける「テンジャンビビンバ」などもある。
土地の名物となっているビビンバもある。全羅北道の「全州ビビンバ」が特に有名であり、国の無形文化財にもなっている。これは野辺での食事が由来とされ、平壌の冷麺、開城の湯飯(タンパン)とともに朝鮮半島三大料理に数えられている。
そのほか、ユッケが具の中心となり、ソンジククと一緒に食べる慶尚南道の普州の「普州ビビンバ」、海産物を中心とする統営市の「統営ビビンバ」などがある。自治体が「ご当地ビビンバ」の開発とそのアピールを推進しているところもある。
『歴史』
研究家によれば、「ビビンバ」が文献で最初に言及されるのは1800年代末期に纏められたとされる「是議全書」で、「ゴルドンバン(骨董飯)」と表記されていた。ここには詳細な調理方法が記述されており、ほぼ現在の「ビビンバ」と同様のものだとする。また時代が遡るが同じく朝鮮末期の東国歳時記(1849年)によれば江南(揚子江)地方では伝統的な食べ物として盤遊飯がよく作られており、これが骨董飯であるとされている。
なお、骨董飯については江戸時代には日本でも存在し、『名飯部類』の中で「あわび、揚げ麩、玉子焼き、シイタケ、松葉、三つ葉、セリを飯上に置いて蒸らし、混ぜ合わせ、汁かけにする」食べ物として紹介されている。
起源については韓国内でも意見が分かれており、朝鮮王朝時代の宮廷料理から始まったという説、高麗時代にモンゴル(後の元)が攻めてきた時に王が避難先で食べたという説、庶民料理から始まったとする説、東学革命説、飲福説などがある。
いずれの説も巷間よく論ぜられるものの、確固たる出典・論拠は得られていない。
『石焼きビビンバ』
「石焼きビビンバ」は、岩から切り出した専用容器を高温で加熱してから材料を入れて供するもので、おこげの香ばしさと共に熱々のまま食べられる。
石焼きビビンバの起源については諸説ある。韓国起源とするもの、大坂起源とするものがあるが、いずれにせよ最近のものである。
在日韓国・朝鮮人起源説によれば、大阪府の韓国料理店において1970年ごろに発案された創作料理であるとする。
韓国発祥説としては全州中央会館(ソウル)が有名であるが検証されたものではない。また全羅北道が発祥の地であるともする。韓国でも人気があり、「トルソッ(岩釜)ビビンバ」と呼ばれている。
【トッポッキ】
「トッポッキ」とは、朝鮮半島の餅である「トック」を使用した朝鮮料理のひとつである。餅の煮込み。朝鮮語の転写は一定しておらず、「トッポギ」とも表記される。
『概要』
棒状のトックをコチュジャンや砂糖を使って甘辛く炒めたもので、韓国の庶民料理として親しまれ屋台の定番メニューとなっている。間食や夜食としても食べられている。
同じく辛いキムチが子供に人気がない一方、こちらは人気がある。韓国では「シンダンドン(新堂洞)トッポッキ」と呼ばれる鍋スタイルのトッポッキはソウルの名物のひとつともいえる。
元々は李朝宮廷の料理で、コチュジャンの代わりに朝鮮醤油(カンジャン)で味をつけた「カンジャントッポッキ」。トックを野菜や肉と彩りよく炒め合わせることもあった。
『名所』
■ソウル・新堂の街には「トッポッキ」の専門店が集中しており有名である。この地の専門店で供される物はトッポッキを主に各種の具材が入った鍋状の料理が主流である。
■釜山にある屋台風の店「ソムンナンウントッポッキ」にはトッポッキでは韓国一。すべての韓国料理では2番目に辛いといわれる「噂の辛いトッポッキ」がある。コチュジャンには韓国一辛い唐辛子チョンヤンコチュを使用しており、その辛さは普通の唐辛子56個分相当である。