知人からのメールで、毎日新聞4月24日付けの記事を知りました。
諫早湾干拓事業開門反対の署名、諫早市が提出
国営諫早湾干拓事業(諫干)を巡り、諫早市(職員数1020人)は23日、開門調査反対の署名を、地元の商工団体などでつくる諫早湾防災干拓事業推進連絡本部に提出したことを明らかにした。市は「市職員には署名の強制はしていない。誰が署名したかなどのチェックもしていない」とし、署名人数についても公表しなかった。
同本部は、赤松広隆農相に提出するため3万人を目標に開門調査反対の署名活動を実施中。市干拓室は、今月初めに同本部から署名協力の依頼を受け、職員有志に署名のお知らせを用紙で配布。協力に応じた職員は家族、友人らに署名を呼びかけたという。
昨年、川棚町役場の職員は、石木ダム反対の署名簿のコピーを手に入れて、それをチェック。
その中から役場職員の名前を抜き出し、町長に進言。
町長から該当職員に苦言を呈したことが発覚。
川棚町長の、人権や個人情報に関する意識の低さが全国に知れ渡ってしまったことは
記憶に新しいですね。
しかし、諫早市では、全く忘れ去られているようです。
こちらは逆に行政側が反対署名を集めていたという構図ですが、
職員の信条や政治的意見に、影響や圧力を与えるという不見識な行為は同じです。
新聞によると、
「諫早湾防災干拓事業推進連絡本部」から署名協力の依頼を受けた「諫早市干拓室」は、
職員有志に署名のお知らせの用紙を配布したとのこと。
「市職員には署名の強制はしていない。誰が署名したかなどのチェックもしていない」としていますが…
メールで知らせて下さった方によると、
「署名用紙は各課、各支所を通じて渡され、取りまとめられていた」ということです。
それが事実なら、川棚のケースと同じように、
取りまとめた人が「かってに」チェックして、「かってに」上司に報告するかもしれませんし、
署名しなかった人が居辛くなるような雰囲気が生まれるかもしれません。
「署名の強制はしていない」とか「職員有志に配布した」とか書かれていますが、
その有志はどうやって判別するんでしょう?
担当者が各課などに出向き、
「反対の署名をしてくれる人手を挙げてくださーい」などと言って、挙手した人に用紙を渡す?
あるいは、一人ひとりの席に近づき、署名してくれる?などと尋ね、了解した人に用紙を渡す?
いずれにしても、個人の内心が、職場の同僚や上司に知られるという可能性があり、
知られた後の影響(仕事や人間関係などへの)など、様々なプレッシャーも生まれるでしょう。
そういう状況に置かれた時、たいていの人は、
署名をしさえすればそれで済むんだ、よけいなことは考えないようにしよう・・となるのではないでしょうか?
署名は個人的な行為なので、
仮に干拓室で働いている職員であっても、開門賛成or反対いろいろあっていいはずですし、
その意思を署名行為で表すことも何ら問題はありません。
しかし、それは、個人の自由意思が保障される場でなければなりません。
署名を集める場が、その人が勤めている職場で、
しかも、この問題の関係者(開門に反対している)諫早市の役所内であるならば、
自由意思に基づく署名とは言い難く、無言の圧力をかけているように思えます。