佐世保便り

2008年7月に佐世保に移住。
海あり山あり基地あり。そしてダム問題あり。
感動や素朴な疑問など誰かに伝えたくて…

今日は中止!

2010-03-29 | 石木ダム

今日も7時に集合。

土曜日よりも多くの人が集まりました。

しかし、平日月曜日です。

挨拶だけして出勤される人もいました。

「石木川まもり隊」の仲間のMさんも、その一人。

休暇願いを出したけど却下された、せめて現場の様子を自分の目で見たい…と、

早起きして来てくれました。

 

 フェンスの向こうの、誰もいない現場を眺める人たち。

 

みんなで「石木ダム絶対反対の歌」を歌っているところ。

手に持った紙には歌詞が印刷されています。

長い(5番まであります)ので、なかなか全部は覚えられませんが、いい歌です。

仲間も「まもり隊」の旗をしっかり持って歌っています。

 

道路反対側の石垣には、昨日造られたばかりの看板が掲げられています。 

 

 

「こぎ出せ長崎」という中村知事のキャッチコピーをパクったもの?

 

工事関係者は今日もやってきません。

県職員も誰もいない中、シュプレヒコールをやりました。

 

「付替道路工事を中止しろ!」 「中止しろー」

「説明も無しに卑怯だぞ!」 「卑怯だぞー」

「知事は聞いてなかったじゃ許されんぞ!」 「許されんぞー」

「こんなやり方で地域が輝くもんか!」 「輝くもんかー」

(中村新知事は、選挙中、地域が輝く県政を目指しますと言ってたんです)

「ダムは絶対造らせんぞ!」 「造らせんぞー」

 

静かな時間が戻ってくると、団結小屋のおばちゃんたちは、

団結小屋から持ち出した座布団を敷いて座り、じっと山の方を見つめていました。

  

28年前のあの日のことを思い出しているのでしょうか。

 

 

しばらくして、やっと、県職員が4,5人やってきました。

石木ダム建設事務所長もいます。

あっという間に人垣ができ、その後ろから耳をそばだてると、

工事の妨害をしないでくれと言いに来たようです。

「そういうわけにはいかない、そっちこそ工事を中止しろ」と誰かが言うと、

話してもムダと思ったのか、すぐにUターンして帰っていきました。

その後を皆が追いかけました。

県の横暴に抗議して、付替道路は造るべきでないと訴えるために集まったのですから、

何としてもその気持ちを伝えたいという思いは誰しも同じでした。

 

しかし、地権者の思いは、そのような生易しいものではありませんでした。

「私たちの土地を奪うつもりか!」

「私たちの権利を奪っているのはお前たちだぞ!」

「私たちの家をダムの底に沈めようとしてるじゃないか!」

ありったけの怒りを込めて、I さんは叫びました。

血を吐くような叫びに聞こえました。

県職員も、マスコミも、私たちでさえ、言葉を失い、

彼の叫びに耳を傾けました。

 

その後再度場所を移動して、県職員と住民の押し問答は続きました。

「ダムは必要だから造る。妨害行為は危険だからやめてくれ」と所長さん。

「ダムは要らない。危険だと思うなら工事をやめてくれ」と住民。

 

いつまでたっても平行線。

なぜダムが要るのか尋ねても、職員の誰ひとり明確に答えられない。

ただ「必要」の一点張り。

 

国だって、石木ダムを検証すべきダムと指定したではありませんか!

事業認定申請だってまだ結論が出てないじゃありませんか!

どうして今、付替道路を造ろうとするんですか!

 

理に適った返答はいっさい返ってきませんでした。

唯一の答えは

「今日の工事は止めます」

明日以降は?

「明日以降のことは持ち帰って検討します」

検討した結果は?

「言えません」

 

結果を知らせてくれと、みんな口々に言いましたが、

頑として折れることはありませんでした。

 

約1時間半の抗議を終え、元の場所に戻るとき、

今日も石木川ののどかな流れが目に飛び込んできました。

 

 

 

この流れを見ていると、なんだかほゎーっとして、怒りも消えていくのでした。

不思議だナァ・・・   

 

コメント (7)
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