佐世保便り

2008年7月に佐世保に移住。
海あり山あり基地あり。そしてダム問題あり。
感動や素朴な疑問など誰かに伝えたくて…

いかに事実を伝えるか

2010-03-19 | 石木ダム
昨日「前佐世保市民」さんから頂いたコメントについて考えています。


  公共事業が県民に金をもたらすという古典的な政治手法をやる限り仕方がないと考えるのか?
  方向を変える政治を市民・県民が意識出来るのか? 
  言うまでもなく”市民にいかに事実を伝えるか”にかかっているのでしょうね!
  負けないで”正論”を貫いて下さい!


「正論」かどうかは、人それぞれの受け止め方があるでしょう。
が、誰もが納得できるものがあるとすれば、
それは紛れもない実際のデータ、数字ではないか?
あるいは歴史的事実ではないか?
それを突き止めて、多くの人に広く伝えたい。
私たちはそのように思っています。

ダムが必要と思っている人も、なぜ必要なのか、よくわかっていない。
県や市が「佐世保は水が不足している」「水不足を解消するには石木ダムしかない」
と言うから、それを鵜呑みにして、信じて、そう思い込んでいるだけ、という人が多い。

事実を知る、知ることによって考えは変わる、と信じています。

昨年度の一日平均配水量が、76,563m3だったことを告げ、
佐世保市には安定水源77,000m3、不安定水源28,500m3、合計105,500m3の水がある、
と水道局は言ってますよ、それでも足りないと思いますか?と言うと、
若い人の多くは、
へー、そうだったんですか?! それならダムは要らないですね~となる。

ところが、年配の方の多くは、
初めて聞く数字にびっくりして、半信半疑だったり、
難しいことはわからないけど、とにかく大渇水の時の水の苦労はこりごりだから、
やはりダムがあったほうが安心・・・と言う人もいる。
こちらは一筋縄ではいかない方も多いのです。。

どうしても、過去のことがトラウマになっていたり、
県や市など公が言うことは間違っていないという思い込みがあるらしい。。


今回、私たちは、佐世保市水道局の公の資料に多くの不審点を見つけた。
それを嘘や誤魔化しと見るか、単なるミスと受け止めるかは人それぞれとしても、
その事実を知れば、当局のデータの信ぴょう性に疑問が生じ、
当局の言うことをきいていれば間違いはない、という考え方に一石を投じることができる。

と、私たちは考え、議員さんにお願いし、議会で公にして頂いたのです。
(まだ今もこの問題は現在進行形ですが)

しかし、議会を傍聴する人など片手かせいぜい両手があれば足りるほどの人数だし、
TVやインターネットで本会議中継を見る人はどのくらいいるのでしょうか。
今回、長崎新聞が翌日報道してくれたのは、とても嬉しかったけど、
こちらもどのくらいの佐世保市民が読んで、内容を把握したでしょうか・・
今のところ、知る術もないし、反響もありません。

そんな中、3月14日の団結大会のとき取材にきていたNBC長崎放送の方がこの問題に関心を持ち、
16日、佐世保まで取材に来られました。

「下の原ダム」を撮りたいとのことで、私たち(仲間二人と私の3人)はそこへ案内し、
その場所でいろんな質問を受けました。

冷たい風がビュービューふく中で、持ってきたデータを示しながら、その紙が飛ばされそうになりながら、
拙い説明を聴いて頂きました。

翌日の「報道センターNBC」の石木ダム特集の中で、その様子は放映されましたが、
残念ながら詳しいデータについては触れられませんでした。

それは、水道局への取材ができてなかったので、公平な報道という観点からそうならざるを得なかった、
と、お詫びのメールを直後に頂きました。
もともと誠実な方だという印象を受けていましたが、改めてそう感じました。

ここ一年間の石木ダムに関するNBCの報道には温かい血が通っていましたが、
それは彼女が作り上げたものだったのですねぇ・・

彼女は、私たちと同様、川原の自然と地権者のみなさんが大好きなのだそうです。
 
  私なりに県と闘ってきました。
  県の幹部は石木の質問をするとみな揃って嫌な顔をします。
  これは勲章だと勝手に思っています。
 
  でも、あまりやりすぎたためか
  不本意なことに来月、報道から異動させられます。

との文面にびっくり!そしてショック!でした。

でも、彼女は、
  報道を離れることで一つだけ良いことがあります。
  公平公正にものを言わなくて良いことです。
と言って、前向きに捉えています。

どこの部署に行っても、その人柄で良い仕事をしていかれるでしょうが、
このような報道人を大事にできないマスコミの体質が残念です。 

私たち一般市民が何かを伝えようとするとき、
よほど多くの人の関心事でないかぎり、遅々として広がりません。
もちろん昔と違ってインターネットが普及している今日では可能性はあるのですが、
(このブログもその一つですね)
それでも、大海の一滴のようなものです。

一方、マスコミの力は絶大です。
良くも悪くも世論の大半はマスコミによって作られていくような気がしています。

私は佐世保に来て、何人かの新聞社の方と知り合いましたが、
都会の記者さんとは違って(都会の記者さん、ごめんなさい。私の偏見かもしれません)
全然偉そうにしてないし、市民の声によく耳を傾け、市民の目線を大事にしてるような気がします。

マスコミをマスゴミと評し否定する人もいますが、
(もちろん、そこで働く人たちのことではなく、組織の体質を言ってるのですが)
私は何となく希望を感じています。

今年の県民500人アンケートで、
石木ダム反対が賛成を倍も上回ったという事実は、
昨年一年間のマスコミ報道の影響よるものだと思います。

確かにマスコミの後ろには、政界財界の大きな圧力があるのでしょうが、
番組を作るのも、取材をするのも、人間の仕事。
組織の一員であっても、生身の人間がする仕事。

信頼できるマスコミの方には、市民から進んで大いに情報提供をすべきではないのか・・。

前佐世保市民さんの言葉、「市民にいかに事実を伝えるか」を考えるとき、
マスコミと私たち一般市民の距離を縮めていくのも有効な方法のような気がしています。

甘い、甘い!
そんな他力本願ではいかん!
と、誰かさんの声が聞こえてきそうですが… 

コメント (3)
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