ある音楽人的日乗

「音楽はまさに人生そのもの」。ジャズ・バー店主、認定心理カウンセラー、ベーシスト皆木秀樹のあれこれ

ディープ・パープル ライヴ・イン・ジャパン (Live In Japan) 

2007年04月14日 | 名盤


 ジョン・ロードのオルガンによるインプロヴィゼーション風のイントロ。
 それに被さってくるイアン・ペイスのど迫力のドラム。
 興奮した聴衆の大歓声で始まる1曲目の「ハイウェイ・スター」からこのアルバムは超ハイ・テンションで飛ばしまくります。
 1972年8月15~17日にかけて行われたディープ・パープルの日本公演の模様が収録された「ライヴ・イン・ジャパン」、ライヴ・アルバムとしてはロック史上ベスト5に入るであろう素晴らしい演奏です。





 ぼくはもともとあまりハード・ロックが好きではなかったし、ロックのライヴ・アルバムはスタジオ録音盤に比べて演奏が拙い、あるいは粗っぽいものが多いと思っていたので、あまり聴いてみようとは思ってなかったんです。
 しかしディープ・パープルの「メイド・イン・ヨーロッパ」を聴いてその迫力に惹かれ、次にこの「ライヴ・イン・ジャパン」を手に取ってみたわけです。
 一聴してその凄まじいパフォーマンスに興奮してしまいました。おかげでハード・ロックやライヴ・アルバムに対する偏見を消すことができたのです。


 このアルバムは、そもそもは日本側から制作を申し出たようです。それに対し、ライヴでのできが良くなかったらアルバムにはしない、というディープ・パープル側の意向があったようですが、日本公演のテープを聴いたパープル側はライヴの出来の良さに大満足、無事レコード化されました。
 全7曲が収録されていますが、1~3、5、7曲目が大阪厚生年金会館、4、6曲目が東京の日本武道館でのライヴです。



     

 ライヴだけあって長尺の曲ばかりなのですが、全然たるみがありません。
 イアン・ペイスのスピード感満点のドラムが曲を引き締めていると言っていいでしょう。リッチー・ブラックモアは、何か神がかったような凄まじいギター・プレイを聴かせてくれます。ジョン・ロードのオルガンは、バッキングに回った時とソロの時のメリハリがはっきりして、バンドのサウンドの均整化に貢献しています。ロジャー・グローヴァーのベースはドラムスと一体化して激しいビートを出しています。そしてイアン・ギランのヴォーカル、ど迫力ですね。強烈なシャウトがまたカッコいいんです。
 メンバー全員のテンションが異常なほど高くなっていることが、激しくて素晴らしい演奏につながっているのでしょうね。


 疾走する「ハイウェイ・スター」、劇的な「チャイルド・イン・タイム」、貫禄さえ感じる「スモーク・オン・ザ・ウォーター」、ドラム・ソロが堪能できる「ミュール」、ヴォーカルとギターの掛け合いが面白い「ストレンジ・ウーマン」、オルガンとギターのインプロヴィゼイションが素晴らしい「レイジー」、バンドが一体となって実に19分にも及ぶ大熱演を繰り広げる「スペース・トラッキン」。
 どの曲もスタジオ・テイクより迫力があり、またスタジオ盤では聴くことのできないインプロヴィゼイションが随所に出てきます。これらはライヴ・アルバムならではの醍醐味ですね。





 このアルバム、当初は日本のみの発売でしたが、演奏内容、録音状態などは最高の状態で、あまりの評判の良さに世界各国でも発売されることになりました。
 本国イギリスでのチャートは16位でしたがアメリカでは6位と大ヒット。ドイツとオーストリアでは1位を記録するなど、セールス面でも大成功を収めました。
 後に3日分の全コンサートをほぼノーカット収録した3枚組アルバム『ライヴ・イン・ジャパン'72完全版』が発売されています。これも一度は聴いてみなければ。



◆ライヴ・イン・ジャパン/Made in Japan
  ■歌・演奏
    ディープ・パープル/Deep Purple
  ■リリース
    1972年12月(イギリス)
    1973年4月(アメリカ)
  ■プロデュース
    ディープ・パープル/Deep Purple
  ■収録曲
   [side 1]
    ① ハイウェイ・スター/Highway Star
    ② チャイルド・イン・タイム/Child In Time
   [side 2]
    ③ スモーク・オン・ザ・ウォーター/Smoke On The Water
    ④ ミュール/The Mule
   [side 3]
    ⑤ ストレンジ・ウーマン/Strange Kind Of Woman
    ⑥ レイジー/Lazy
   [side 4]
    ⑦ スペース・トラッキン/Space Truckin'
    ※All songs written by  Blackmore, Gillan, Glover, Lord, Paice
  ■録音
    1972年8月15日 大阪・厚生年金会館・・・③
    1972年8月16日 大阪・厚生年金会館・・・①②⑤⑦
    1972年8月17日 東京・日本武道館・・・・④⑥
  ■録音メンバー
    イアン・ギラン/Ian Gillan (vocals, harmonica, percussion)
    ジョン・ロード/Jon Lord (organ, piano)
    リッチー・ブラックモア/Ritchie Blackmore (guitar)
    ロジャー・グローヴァー/Roger Glover (bass)
    イアン・ペイス/Ian Paice (drums)
  ■チャート最高位
    1973年週間アルバム・チャート アメリカ(ビルボード)6位、イギリス16位
    1973年年間アルバム・チャート アメリカ(ビルボード)26位  



コメント (7)
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