ある音楽人的日乗

「音楽はまさに人生そのもの」。ジャズ・バー店主、認定心理カウンセラー、ベーシスト皆木秀樹のあれこれ

2016年10月のライブ予定

2016年09月26日 | 演奏スケジュール
                            ♪9月は、広島の25年ぶりのリーグ優勝と、長谷川穂積の3階級制覇で大盛り上がりでした!



【Live Information】 

 
 10月14日(金) 
  岡山セカンド・シンプソン
 (岡山市北区表町3-15-15 2F tel 086-234-5009)
  ♪森啓子(vocal)、古山修(guitar)、中村哲(drums)、皆木秀樹(bass)
  【料 金】1500円(飲食代別途 学生は学生証提示で500円割引) 
  【演 奏】21:00~、22:00~(2回ステージ)
   ※シットイン可


 10月22日(土) 
  岡山ゆくり
 (岡山市北区撫川173-1 tel 086-292-5882)
  中矢嘉貴 木工展 「木の声を聴く」
  ♪皆木秀樹(bass)ソロ guest:あかしゆか(vocal)
  【料 金】2500円(1ドリンク付)
  【演 奏】19:00~、20:00~(2回ステージ)


 10月26日(水) 
  倉敷アヴェニュウ
 (倉敷市本町11-30 tel 086-424-8043) 
  ♪古山修(guitar)、中村哲(drums)、皆木秀樹(bass)
  【料 金】500円(飲食代別途)
  【演 奏】20:00~、21:00~、22:00~ (3回ステージ)


 10月28日(金) 
  岡山セカンド・シンプソン
 (岡山市北区表町3-15-15 2F tel 086-234-5009)
  ♪宗友厚(piano)、赤田晃一(sax)、中野まちこ(drums)、皆木秀樹(bass) ほか
  【料 金】1500円(飲食代別途 学生は学生証提示で500円割引) 
  【演 奏】21:00~、22:00~(2回ステージ)
   ※シットイン可


 10月30日(日)
  倉敷木庵
 (倉敷市川西町18-23 tel 086-421-9933)
  ♪森藤みちる(piano)、皆木秀樹(bass) 
  【料 金】飲食代のみ
  【演 奏】18:30~ (2回ステージ)




 

人気blogランキングへ←クリックして下さいね
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

EIGHT DAYS A WEEK  The Touring Years

2016年09月23日 | 映画

【Live Information】 


 ことしのぼくの誕生日に、1枚の映画チケットをいただきました。
 ぼくがいつも演奏させていただいているお店のオーナーからのプレゼントです。
 その映画とは、1960年代前半のビートルズを追ったドキュメンタリー、「エイト・デイズ・ア・ウィーク」です。

 
  


 【ザ・ビートルズ  エイト・デイズ・ア・ウィーク】
 [原題] The Beatles: Eight Days a Week - The Touring Years
 [制作] 2016年(イギリス映画)
 [配給] KADOKAWA
 [上映時間] 140分
 [監督] ロン・ハワード
 [脚本] マーク・モンロー
 [編集] ポール・クラウダー
 [キャスト] ザ・ビートルズ(ジョン・レノン、ポール・マッカートニー、ジョージ・ハリスン、リンゴ・スター)
        ニール・アスピノール
        リチャード・レスター
        シガニー・ウィーバー
        ウーピー・ゴールドバーグ
        エルヴィス・コステロ
        エディー・イザード
        浅井慎平         ほか
                   


(以下、多少ネタバレあります)
-----------------------------------------------------------------------


 ビートルズは、1966年8月29日に行ったサンフランシスコのキャンドルスティック・パークでのコンサートを最後に、一切のライブ活動を停止しました。
 あまりにもスケジュールが過密で、押し寄せる聴衆に危険すら感じるようになったこと、録音内容や録音技術の向上でステージでの再現が当時は不可能だったこと、などがその理由にあげられます。
 この映画は、サブタイトルにある通り、初期のハンブルグ時代、リバプール時代、1963年に始まった15ヵ国90都市166公演に及ぶビートルズのツアーの様子を収めた公式ドキュメンタリー映画です。


 「エイト・デイズ・ア・ウィーク」は、1964年12月4日に発表された4枚目の英国盤オリジナル・アルバム『ビートルズ・フォー・セール』のB面1曲目に収録されています。もちろんレノン=マッカートニーの作品です。1965年2月にはシングル・カットされ、ビルボードでチャート1位を記録、アメリカだけで100万枚以上を売り上げました。
 当時のビートルズは過酷なスケジュールの渦中にいました。ドラマーのリンゴ・スターは「週に8日も仕事だなんて…」とこぼしましたが、そのセリフがそのままタイトルとなったのだそうです。


 


 ポール・マッカートニー、リンゴ・スター、シガニー・ウィーバー、ウーピ-・ゴールドバーグ、エルヴィス・コステロなどが語る、ビートルズと自分自身にまつわる思い出を絡めながら、ライブ映像がたっぷり楽しめます。
 もちろん東京の武道館や、最後のライブとなったキャンドルスティック・パークでの演奏も観ることができます。


 聴衆の熱狂ぶりは今見ても新鮮です。
 ヒステリックに叫び、泣き、興奮状態で自分がコントロールできなくなっている、会場からあふれんばかりの女性たち。
 なぜこれだけの人々を虜にできたか、という以前に、これほど多くの人々を熱狂させることのできるビートルズにエネルギーには、改めて驚くばかりです。
 この興奮状態の聴衆がわれを忘れてビートルズを追いかけるわけですから、追われる身からすると恐怖も感じることでしょう。
 とにかく、大規模なライブにおける警備から機材の輸送まですべてに前例がなく、そしてビートルズのライブがすべてにおいて前例になった、といっても差し支えないのではないでしょうか。


 また、当時の音響設備の貧弱さが見てとれますね。
 1000人規模の会場でさえ、例えばドラム用のマイクはセッティングされていません。1965年のニューヨーク、シェア・スタジアムのライブでやっとドラムの真上にマイクがセットされていますが、よく見ていると、それはドラム用ではなく、リンゴのためのボーカル・マイクだったりします。
 球場でのライブで、観客席に向けたスピーカーが写しだされていますが、スピーカーから出てくる音は非常に雑で、演奏はとても聴き取りにくい感じです。
 ステージ用のモニターもなかったんだそうです。
 むしろ、それでよくあれだけの演奏やコーラスができたものだと思います。
 ツアー日程だけではなく、未熟な音響システムもステージで演奏するビートルズにとっては問題だったみたいですね。


 ドキュメンタリー映画というだけあって、ビートルズを追うことが必然的に当時の世相を伝えることにもなっています。公民権運動、ケネディ暗殺、ベトナム戦争・・・。つまり、ビートルズはこれらと並ぶ、大きな社会現象だったと言えるわけですね。
 もちろんスクリーンに映し出される当時のファッション、車、街並みなどを見ても、当時の雰囲気がしっかり伝わってきます。


 
 

 音楽だけではなく、ユーモアとウィットに富んだ彼らの受け答えの様子も見ることができます。
 当意即妙というか、頭の回転が速いのでしょうね。
 大事なのは、音楽も、インタビューに対する答えも、彼ら自身の言動にも、管理されている様子が感じられないことです。自由に、やりたいように生きているように感じます。
 おそらくマネージャーのブライアン・エプスタインが冷や汗をかくことも多かったでしょうが、ブライアンはビートルズの魅力をそぐことなくマネージメントしており、その裏には、ビートルズの4人に対する信頼もあったのではないか、と想像したりします。


 武道館公演の前に、右翼団体が「ビートルズの武道館使用は冒涜である」との宣伝を繰り広げましたが、それについての感想を尋ねられた彼らは「ぼくらは演奏するだけで、冒涜などしていない」と明快に答えています。
 その通り、ビートルズは武道館や、日本人が大切にしているものや気持ちを冒涜したことは一切ありません。力ずくで武道館を使用したわけでもありません。もし仮に武道館の使用が日本への侮辱・武道館への冒涜になるのであれば、それは武道館の使用を許可した側が負うべき責任なのです。
 スターは、大きな人気を得るかわりに、いつか足元をすくってやろうとする悪意にも対峙しなければならなくなります。
 ビートルズが蒙ったトラブルの多くは、ビートルズに問題があったのではなく、ビートルズに問題があることにしようとした側(例えばマスコミ)が、問題のないところにわざわざ作った問題だったのだと思います。
 それでも誰に媚びることもなく自分たちの道を進んで行ったことこそが、ビートルズの偉大なところなのではないでしょうか。


 本編終了後に、30分ほどのとても嬉しい特典があります。映画館でのみ観ることのできる、貴重な映像です。
 それもまた、きっと夢中で観ることができますよ(^^)
 
  


 

人気blogランキングへ←クリックして下さいね
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

鈴木良雄 Special Trio

2016年09月20日 | ライブ


【Live Information】 


 台風の影響で雨模様だった9月19日。
 夕方になって向かったのは、岡山市にあるルネスホールでした。
 鈴木良雄スペシャル・トリオの演奏を聴くためです。





 鈴木良雄さんは、長い間日本ジャズ界を牽引してきたミュージシャンのひとりで、「チンさん」の愛称で親しまれています。
 渡辺貞夫や菊池雅章らのグループを経て渡米、スタン・ゲッツ(sax)やアート・ブレイキー(drums)のバンドのレギュラー・ベーシストとして活躍したのちに帰国、トップ・ベーシストとして日本のジャズ界に君臨してきました。
 その鈴木さんの、早稲田モダン・ジャズ研究会の後輩が、増尾好秋さんです。


 増尾さんも渡辺貞夫グループを経て渡米、ジャズ・レジェンドであるソニー・ロリンズ(sax)・グループの一員として活躍したほか、エルビン・ジョーンズのアルバムに参加したり、リー・コニッツ(sax)やロン・カーター(bass)などと共演するなど、輝かしい経歴を誇ります。


 井上信平さんは、高校卒業後に渡米、バークリー音楽院などで学んだのちニューヨークを拠点にアメリカ各地で活動を続けてきた実力派で、2001年には巨匠ハービー・マン(flute)との共演アルバムを発表しています。





 三人の活躍ぶりはもちろん知っていますが、実際に音を聴くのは初めて。
 何度ライブに足を運んでも、「どんな音なんだろう」と想像するとワクワクしてしまうのは止められないですね。
 

 会場のルネスホールは、大正時代に造られたギリシア風の建物で、1987年までは日本銀行岡山支店として使われていました。
 雰囲気のある外観で、中もゆったりとしています。
 キャパシティは最大298ですが、ホールは天井が高いせいか広々していて圧迫感もなく、居心地が良いです。







 開演予定の19時を少しまわったところで、三人が登場。
 演奏曲目は、「I Thought About You」などのスタンダードと、鈴木さんのオリジナル、増尾さんのオリジナルです。
 とてもオーソドックスな演奏でした。
 難易度の高い凝ったアレンジも多く聴かれる昨今ですが、鈴木トリオの演奏は、とりたてて高度な技術を見せつけるわけではないので、一見地味に思える部分はありますが、オーソドックスなだけにむしろ明快です。





 「Summertime」では鈴木さんがアルコでテーマを弾きましたが、その音色の美しさと衒いのない演奏は非常に強く印象に残っています。
 また、亡き旧友の思い出を語ったあとで演奏された鈴木さんのオリジナル「My Dear Friend」の美しかったことも忘れられません。
 増尾さんのオリジナルを聞いていると、情景が自然に頭の中に湧き出てきます。ストレートで親しみやすい曲ばかりだったような気がします。


 三人の演奏は、決して派手ではありませんでしたが、鈴木さんの演奏はベースの在り方をきちんと示してくださっていたし、増尾さんのギターは「これぞジャズ」だったし、井上さんのフルートのふくよかな音色は明るく楽しいものでした。
 三人の職人芸というか、いぶし銀の演奏をたっぷり味わうことができました。


 それにしても、やはり存在感がありますね。
 鈴木さんは、MCの時は優しい笑顔で語り口も紳士的ですが、いざ演奏となると顔つきがまるで厳格な将校のように、威厳があふれたものになります。
 増尾さんは終始柔和な微笑を浮かべています。増尾さんの作る曲のような、爽やかで温かい笑顔です。演奏ぶりもそんな感じでした。
 井上さんは、一番やんちゃでいたずらっぽい感じ。俳優の寺島進さんのような苦み走った渋い顔立ちですが、演奏中はとても楽しそうです。
 大人の「余裕」と、子供の「(音楽が)好き」が合わさったステージでした。
 客席からの拍手も大きく、最後は熱いアンコールもかかっていました。





 帰路へ着きながら、やはり先輩方が培ってきた技術や経験には敬意を払うべきだし、聴くという作業でサウンドを体感したり、イメージを体に取り込めるわけですから、貴重な勉強の機会にもなるということを改めて強く思いました。
 芸能の世界ですから、その時々の流行があるのは仕方ないことなのでしょうけれど、驚異的なテクニックが前面にくるライブばかりではなく、こういう味のあるステージこそ、もっと若いプレーヤーたちは聴くべきだと思います。
 といっても、かつての自分も派手なプレイにばかり気を取られていて、音楽ってそういうものじゃない、というのが分かってきたのはだいぶ後になってからでしたけどね(^^;)

 
 
 

 

人気blogランキングへ←クリックして下さいね
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

戻ってきた猫

2016年09月18日 | 随想録

【Live Information】


 いつ本降りになっても不思議のない曇り空と、濁って増水している旭川。
 ぼんやり眺めていると、景色が白黒写真に見えてくるのが不思議です。
 ライブ前のリハーサルが終わったので、時間まで河川敷で景色をながめていました。


 


 お店へ戻る途中でニャンコに遭遇しました。
 いいツラガマエしてるんです。
 これは写真に撮っておきたい。
 ヤツは即座に警戒モード。
 しかし最近のぼくは、見知らぬ動物といきなりコミュニケーションがとれるかどうか実験するのがマイブームなので、そそくさと逃げようとするヤツに、「おねがーい写真撮らして~」と声をかけてみたんです。


 すると、立ち止まったと思ったらすぐこちら向きになり、同じ位置に戻ってきてくれたうえに、なんとオスワリまでしてくれました。
 大急ぎで二、三度シャッターを押すと、それを見計らったかのように、「もうええやろ」的な感じでめんどくさそうにさっさと行ってしまいましたが(^^;)
 写真のニャンコを見ると、「しょーがねえな、早よ撮れや」的な不機嫌さ満載の顔。
 それでも撮影させてくれたのは、ヤツなりの譲歩というか、愛想だったのでしょうか(^^;)


 
 2016年9月18日(日)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

実はできていた

2016年09月12日 | 価値観
【Live Information】 


 卑下するわけではないけれど、ぼくは、まあ公平に見て、そんなに突出してうまいベース弾きではありません(自分がダメだとも思ってないですけどね)
 そして、そんなぼくと一緒に演奏したあと、
 昨日まで「自分なんて全然ダメなんです、弾けないんです」と言っていた人が、
 「きょうは皆木さんのおかげでとてもうまくいきました」
 と喜んでくれることがあります。
 
 
 ひとつ言いたいのは、
 もともと「全然ダメ」なんかじゃなかった、ってこと。
 昨日のあなたと今日のあなたで、そんなに大きな違いはあったでしょうか。
 技術が劇的に飛躍するような出来事があったでしょうか。
 突然うまくなるほど猛練習する時間は、物理的になかったはず。
 ということは、
 ぼくのおかげでできるようになったのではなくて、もともとできていたんです。
 ただ、自分で「自分はダメだ」「自分にはできない」ということにしてしまっていただけなんです。
 そしてその前提を取っ払えばよかったんです。
 「できない」のではなく、「出せない」だけだったんですね、きっと。
 

 昨日まで出せなかったことが出せる、自分にはないと思っていたものが、実はすでにあったことに気づく。
 気持ちを切り替えるだけでできることは、とてもたくさんあるんですね。
 
 



人気blogランキングへ←クリックして下さいね
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

自由への讃歌

2016年09月03日 | 名曲

【Live Information】 


 アメリカは「自由の国」と言われます。
 民主主義を掲げ、自由を侵す勢力と戦ってきたことを自他ともに認めています。
 しかし、その陰には、長年にわたる人種差別がありました。
 リンカーン大統領は、有名な「奴隷解放宣言」を行いましたが、それ以降も人種差別は合法化され、公然と行われてきました。
 現在では、「アメリカの人種差別はなくなった」と思っている人たちも少なくありません。しかしこれは主に北部の中流以上の階層としか交流していない人たちの感想であり、未だに一部では「南部では、見知らぬ有色人種が車を運転していると、いきなり撃たれるおそれのある地域がある」とも言われています。撃たれても、裁判において陪審員が白人ばかりである場合、発砲者は有罪にはならないこともあるんだそうです。


 アメリカのジャズ音楽の世界では、黒人に対する差別は比較的うすかったようです。
 しかし、マイルス・デイヴィスが「オレはいい音を出すのであれば、肌が緑のヤツだって雇うぜ」という言葉を残しているように、こだわりなく白人ミュージシャンを使うマイルスに対する強い風当たりもあったようです。
 そのマイルスも、ただ黒人というだけで警官から不当な拘留や暴力を受けたことがあるのです。


 しかし、1950年代から1960年代にかけて、「公民権運動」が盛んになります。アメリカの黒人(アフリカ系アメリカ人)が、公民権の適用と人種差別の解消を求め、ある意味命がけで行った社会運動です。
 「ローザ・パークス事件」「リトルロック高校事件」「マーティン・ルーサー・キング牧師」「ワシントン大行進」「血の日曜日」などの、できごとや人名は、多くの人がどこかで見たり聞いたりしているはずです。
 そんな激動のさなかの1962年、公民権運動を支持する曲としてジャズ・ピアニストのオスカー・ピーターソンが「自由への讃歌」を発表しました。


 


 ヴァーヴ・レコードのノーマン・グランツ社長はこの曲をたいへん気に入りました。そして歌詞をつけることを思い立ち、編曲家のマルコム・ドッズに相談したところ、ドッズは黒人霊歌を手がけてきたハリエット・ハミルトンを紹介しました。そしてハミルトンが作詞することになったというわけです。
 現在では、コーラス曲としても、よく歌われています。


 オスカーのピアノは、実にすばらしいスイング感と明るさを持ち併せていますが、それがともすれば暗く攻撃的なメッセージを持ちかねない、この重いテーマから希望を感じさせてくれるのだと思います。
 曲のメロディーは、ゴスペル・タッチの荘厳なものです。ブルース・フィーリング豊かで、そのうえ美しさにあふれています。


 淡々、訥々と語るイントロ。
 静けさと温かみを感じることができます。
 コーラスを重ねるごとに、徐々に音に厚みが増してゆきます。
 ベースも、ドラムも、シンプルで、そしてゆるぎないサウンドを奏でています。
 そのふたりに委ね、自在にピアノで歌うオスカー。
 圧巻は、3分48秒からの、オスカーによるトレモロ奏法。
 エンディング・テーマは、一転して穏やかなトーンになります。
 静かなエンディングは、希望の光がひとすじ射しこんでくるかのようです。まさに愛ですね。


 ほかに公民権運動に関わるジャズの曲として、チャールズ・ミンガスによる「フォーバス知事の寓話」が知られています。
 また、人種差別に関わる曲としては、ビリー・ホリデイの「奇妙な果実」があまりにも有名です。


 現代のポピュラー・ミュージックには、黒人音楽をルーツにもつものがたいへん多く、ぼくたちは知らず知らずのうちに黒人文化から多大な影響を受けています。
 ポール・マッカートニーとスティーヴィー・ワンダーが歌ったように、ピアノは白鍵盤だけ、黒鍵盤だけでは演奏できません。その2種類があってはじめて豊かな音楽が生まれるのです。
 そして、生まれるのは、音楽だけではないんですね。



 ◆自由への讃歌/Hymn To Freedom
 ■発 表
    1963年
 ■作 曲
    オスカー・ピーターソン Oscar Peterson
 ■作 詞
    ハリエット・ハミルトン Harriette Hamilton
 ■プロデュース
    ノーマン・グランツ/Norman Granz
 ■演 奏
    オスカー・ピーターソン・トリオ/Oscar Peterson Trio
      オスカー・ピーターソン/Oscar Peterson (piano)
      レイ・ブラウン/Ray Brown (bass)
      エド・シグペン/Ed Thigpen (drums)
 ■収録アルバム
    ナイト・トレイン/Night Train (1962年12月録音)



オスカー・ピーターソン・トリオ『自由への讃歌』



Oscar Peterson Trio Live in Denmark,1964.



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする