ある音楽人的日乗

「音楽はまさに人生そのもの」。ジャズ・バー店主、認定心理カウンセラー、ベーシスト皆木秀樹のあれこれ

愛にさよならを (Goodbye To Love)

2007年04月11日 | 名曲

 
 1983年にカレン・カーペンターが亡くなってからも愛され続けているレパートリーの数々を誇るカーペンターズ。
 TBS系のドラマ「未成年」で「トップ・オブ・ザ・ワールド」や「青春の輝き」が使われたことでブームが再燃、ベスト・アルバムが100万枚以上の売り上げを記録しました。この時にカーペンターズを知ったファンも多いようで、「来日はしないのか?新アルバムはいつ出るのか?」という質問がレコード会社に相次いだそうです。


 カーペンターズの曲で好きなものはたくさんありますが、その中でもぼくが一番好きなのが、この「愛にさよならを」です。高校の時に友人の家で聴かせてもらった曲です。ロック好きなぼくにはこれが合うんじゃないかな、と言われて聴かせてもらった覚えがあります。その通り、この曲のギター・ソロのカッコよさにはマイってしまいました。


     
     「ア・ソング・フォー・ユー」(カーペンターズ)


 リチャードの弾くピアノとカレンの歌だけでシンプルに始まります。歌の間を縫うようなオーボエの美しいオブリガードが雰囲気を盛り上げます。きれいなストリングスとコーラス・ワークも聴き逃せません。そして、さりげない転調がしゃれています。
 アレンジはもちろんリチャードだと思いますが、音を詰め込みすぎない、過不足のない自然なサウンドに仕上げていると思います。リチャードのセンスのよさと音楽性の幅広さが伺えます。
 そして中間部とエンディングで聴かれるトニー・ペルーソによるギター・ソロ、これが実にメロディアスでカッコいいんです。ポップなカーペンターズの曲の中では珍しく音を歪ませてロックしまくっているギター・ソロです。
 イージー・リスニング調のバラードにファズで歪ませたギター・ソロを持ち込むというアイデアを出したのはリチャードでした。当時その発想の斬新さについていけなかったメディアや評論家たちの反応は否定的でしたが、今ではこの曲はパワー・バラードのはしりだと言われており、高く評価されています。


     


 この曲は息継ぎをするのがとても難しいうえに、メロディーがとても起伏に富んでいるのでかなりの技術がないと歌い切れませんが、歌のうまいカレンは難なく歌いこなしています。しかしさすがのカレンもこの曲に限っては10回近く歌い直してようやくOKをもらったんだそうです。
 それにしてもこのようなバラードにはカレンの澄んだ声はピッタリ合いますね。


     


 今でもCDが売れ続けているカーペンターズ。カレンの死後、リチャードは「代わりのヴォーカリストを探せばいいじゃないか」と多くの人に言われました。しかしリチャードは「カレンが一番素晴らしい声の持ち主だ」とガンとしてそれを拒み続けているそうです。

 

[歌 詞]

[大 意]
愛にさよならをしましょう 私が生きようと死のうと誰も気にしないわ
今までに何度も恋のチャンスは私の前を通り過ぎていき
私が知っているのは愛なしで生きていく方法だけ
とても見つけられそうにないわ

だから一人で生きていかなければならないと心に決めたのよ
簡単な事じゃないけれど充分分かっているつもりよ
愛にさよならするのは・・・

この心にはもう明日なんてないの 時がたてばこの苦い記憶もきっと消えて
私も知るわ 信じてついてゆける人や生きがいにどこかで出会えると

長い年月空しく探し続けてきたけど ついに終着駅に着いたわ
寂しさと空虚な日々だけがこれから私の唯一の友達になるのよ
今日からは恋など忘れ 精一杯生きていくわ

未来のことなど誰にも分かりはしない
運命の車輪がどこで止まるかは誰にも分からない
私が間違っていたと知る時がくるかもしれないけれど
でも今歌っているのはこの私よ

そしてこれは愛への別れの言葉 愛にさよならしましょう
 

 
 
 
◆愛にさようならを/Goodbye To Love
  ■リリース
    1972年6月19日
  ■収録アルバム
    ア・ソング・フォー・ユー/A Song For You(1972年)
  ■作詞・作曲
    リチャード・カーペンター & ジョン・ベティス/Richard Carpenter & John Bettis
  ■プロデュース
    ジャック・ドーアティー/Jack Daugherty
  ■録音メンバー
   [カーペンターズ]
    カレン・カーペンター/Karen Carpenter(lead-vocal, backing-vocals)
    リチャード・カーペンター/Richard Carpenter(piano, electric-piano, organ, backing-vocals, orchestration)
   [ゲスト・ミュージシャン]
    トニー・ペルーソ/Tony Peluso(electric-guitar)
    ジョー・オズボーン/Joe Osborn(bass)
    ハル・ブレイン/Hal Blaine(drums, percussion)
    アール・ダムラー/Earl Dumler(oboe)
  ■チャート最高位
    1972年週間チャート アメリカ(ビルボード)7位、イギリス9位、日本(オリコン)55位
    1972年年間チャート アメリカ(キャッシュボックス)72位、イギリス78位



「愛にさよならを」カーペンターズ (日本武道館 1974年)

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