ある音楽人的日乗

「音楽はまさに人生そのもの」。ジャズ・バー店主、認定心理カウンセラー、ベーシスト皆木秀樹のあれこれ

2020年7月のライブ予定

2020年06月25日 | 演奏スケジュール

【Live Information】

※状況によっては中止にせざるを得ないこともありますので、お店にご確認ください。
 なお、お越しの際はマスクをご持参ください。
 諸々よろしくお願いします。


7月3日(金)
  岡山 ピアノバー
   岡山市北区野田屋町1-11-10 清水ビル3F (tel 086-222-8162)
   【出 演】 美淋つゆ子(piano)、皆木秀樹(bass)
   【料 金】 1000円(飲食代別途)
   【演 奏】 21:00~、22:00~ (2回ステージ)
   ※シットイン可


7月16日(木)
  岡山 ピアノバー
   岡山市北区野田屋町1-11-10 清水ビル3F (tel 086-222-8162)
   【出 演】 上森"picci"一洋(guitar)、皆木秀樹(bass)
   【料 金】 1000円(飲食代別途)
   【演 奏】 21:00~、22:00~ (2回ステージ)
   ※シットイン可


7月21日(火)
  岡山 ピアノバー
   岡山市北区野田屋町1-1-10 清水ビル3F
   Live & session
    【出 演】 古山修(guitar)、池田拓史(drums)、皆木秀樹(bass)
    【料 金】 1000円(飲食代別途)
    【演 奏】 21:00~、22:00~ (2回ステージ)
    ※シットイン可


7月22日(水)
  倉敷 アヴェニュウ
   倉敷市本町11-30 (tel 086-424-8043)
    【出 演】 古山修(guitar)、丹文音(drums)、皆木秀樹(bass)
    【料 金】 1000円(飲食代別途)
    【演 奏】 20:00~、21:30~ (2回ステージ)
    ※シットイン可


7月25日(土)
  岡山 GROOVY
   岡山市北区田町2-5-23 (tel 086-221-7721)
   【出 演】 山本博之(piano)、皆木秀樹(bass)
   【料 金】 2000円(飲食代別途)
   【演 奏】 20:00~ (2回ステージ)
   ※シットイン可



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毎日1枚、自分に影響があったアルバムをご紹介するプロジェクト 【10】

2020年06月23日 | 随想録

【Live Information】



★毎日1枚、自分に影響があったアルバムをご紹介するプロジェクト★
 
 
【10】 オスカー・ピーターソン・トリオ 「Night Train」

 
 なんのかんのでいよいよ10枚目です。
 なかなかに難しい選定作業でしたが、影響を受けたもののうちの「ベスト10」にしようとするからたいへんだったのかもしれないですね。「影響を受けたCDのうちの、とにかく10枚」だったら苦労しなかったと思います。
  
 
 こうしてみると、やはり「好き」と「影響された」は微妙に異なるような気がしますね。
 そして「影響された」という言葉にポイントを置くと、アルバム以外のもの、つまりミュージシャン(生き方も含めて)や曲、音楽映画がいっぱい出てきます。自分がまがりなりにも長年音楽と関わってきたうえで、これらも外せないものばかりです。
 ジョン・レノン、ジャニス・ジョプリン、佐山雅弘、ハービー・ハンコック、青い影、アレサ・フランクリン、ブルース・ブラザーズ、津田清(もうじき16度目の命日です)、有末佳弘、五つの銅貨、福盛進也、ピンク・フロイド、陽のあたる教室、ビル・エヴァンス、天使にラブ・ソングを、スティーブ・ガッドetcetc。
 ベーシストだと、レイ・ブラウン、ジョージ・ムラーツ、クリスチャン・マクブライド、スコット・ラファロ、ニールス・ペデルセン・・・(きりがありません汗)
 佐山雅弘さんの遺した「自分という人間は出会った人でできている」という言葉がしみじみ思い出されます。
 
 
 さて、10枚目のアルバムですが、「ナイト・トレイン」を挙げようと思います。
 「ナイト・トレイン」は「プリーズ・リクエスト」と並ぶ、オスカー・ピーターソンの日本での超人気盤ではないでしょうか。
 オスカーのピアノは瀟洒でスタイリッシュで、身も心も踊ってしまうようなグルーブ感にあふれていて、そして実によく歌っています。楽しむために聴いてもジャズのお手本のひとつとして聴いても満足感いっぱいです。レイ・ブラウン、エド・シグペンとのトリオは、ジャズの歴史に残る名ユニットのひとつだと思います。
 
 
 タイトル曲の「ナイト・トレイン」は、映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のダンス・パーティー会場の場面でバンドが演奏していた曲です。「我が心のジョージア」はレイ・チャールズの名唱で有名ですし、「バグズ・グルーブ」や「昔は良かったね」など、耳に馴染みやすい曲も多いので、いわゆる初心者のころから今に至るまで聴き続けています。
 
 
 そして、なんといっても自分としては「自由への讃歌」ですね。

 アルバムのクロージングでもあるこの曲は、アメリカで公民権運動が大きなムーブメントとなっていた1962年、この運動に賛同していたオスカーによって作られました。
 公民権運動とは、アメリカの黒人が公民権の適用と人種差別解消を求めて、ある意味命がけで行った社会運動です。「ローザ・パークス事件」「ワシントン大行進」「血の日曜日」「マーティン・ルーサー・キング牧師」「リトルロック高校事件」などの言葉や人名は、多くの人がどこかで見たり聞いたりしていると思います。
 
 
 「自由への讃歌」を聴いたヴァーヴ・レコードのノーマン・グランツ社長は、この曲に歌詞をつけることを思い立ちます。そして現在ではコーラス曲として、教会をはじめさまざまなところで歌われています。
 
 
 ともすれば暗く攻撃的になりかねない重いテーマを持つこの曲ですが、オスカーの、暗闇からひとすじの光が射しこむような演奏はとても感動的なのです。まさに「ゴスペル」です。
 ベースもドラムも、シンプルですが揺るぎない強さがあります。そのふたりに自分を委ね、自在に歌うオスカー。
 圧巻は3:48からのトレモロ奏法。それに続くエンディングは、一転して静かでおだやかで温かです。明日への希望を感じさせてくれる、というと大袈裟でしょうか。
 この曲を聴くと、とくに自分が少し落ち込んでいる時などは、生きていることの喜び有難みを教えらるような気がするのです。
 
 
 音楽に込めるもの、何を音楽に委ねるのか、そんなことを考えるようになったきっかけにもなっていると思います。
  
 
 佐山雅弘さんが、お亡くなりになる前にこの曲をソロで演奏しています。

 うまく言葉にできませんが、涙がこぼれそうになるんですけど、それでいて聴き終えた時にこぼれるのは涙ではなく笑顔なんです。
 素晴らしい演奏です。
 大好きです。
 
 
 というわけで10枚完走いたしました。
 どれもこれも長い文章になってしまいましたが、読んでいただいて嬉しかったです!
 ハチくんもガイド役ありがと!




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毎日1枚、自分に影響があったアルバムをご紹介するプロジェクト 【9】

2020年06月22日 | 随想録

【Live Information】


★毎日1枚、自分に影響があったアルバムをご紹介するプロジェクト★
 
 
【9】 ブライアン・ブロンバーグ 「Wood」

 
 いままでの8枚は、音楽が好きで、音楽と長く関わっている自分の音楽観に対して大きな影響を受けたものです。(もちろんゲイリー・カーについては、「コントラバスが奏でうる音の素晴らしさ」についても大きく感銘を受けました)
 振り返ると自分は一応ベース弾きの端くれでして、そうであるからにはひとつくらいは「ベース弾きの自分が影響を受けた、ベーシストによる演奏」をあげてみようと思います。
 
 
 いまのぼくの好きなジャズ・ベーシスト(というよりお手本にしたいベーシスト、というニュアンスの方が近いでしょうか)といえば、
 レイ・ブラウン、ジョージ・ムラーツ、クリスチャン・マクブライド、ニルス・ペデルセン、ジャコ・パストリアス、、、
 しかし、いろんなベーシストの名を思い浮かべるとやっぱりあの人もこの人も、ということになって、結局収拾がつかなくなるんです。ジョン・パティトゥッチ、スコット・ラファロ、チャールズ・ミンガス、ゲイリー・ピーコック、マーク・ジョンソン、バスター・ウィリアムス、ダグ・ワトキンス、デイブ・ホランド、ポール・チェンバース、ロン・カーター・・・etcetc
 その中でブライアン・ブロンバーグというベーシストが2001年に発表した「Wood」というアルバムを挙げておきたいと思います。
 
 
 20年くらい前のことです。
 まだCDショップがあちこちにありました。
 その日もいつものようにCDをひやかしていると、「ブライアン・ブロンバーグ」という聞いたことのない名前のベーシストのアルバムが目にとまりました。ちょっと考えたけれど、CD帯の「私はこのアルバムを聴いて三日間、ひざを抱えてしまいました(都内在住、某ベーシスト)」というキャッチ・コピーに7割がた惹かれ、興味本位で買ったんです。
 
 
 共学でした。
 いや違った、確かにぼくは共学でしたけど、この場合は驚愕でした。
 よく伸びる豊かな低音。
 唸り声のような、凄みのある音です。
 木の感覚が伝わってくるような音色。
 キャッチ・コピーどおりの、コントラバスを弾いているとは思えない驚異的なテクニックのかずかず。
 なにより、グルーヴしまくりのベース・ランニングに、歌いまくりのベース・ソロ。
 すべてが衝撃でした。


 真似したいけどムリ。
 あんなふうに弾きたいけどムリ。
 でもかなり真似ようとしました。やっぱりムリでしたけどw


 ベース弾きとしては、「オマエそれでもベース弾き?」と言われたような気がして、ガックリしたりその凄さに興奮したりと、テンションが上がったり下がったり情緒がひどいことになったwアルバムです。
 もちろん、今でも愛聴盤です。
 憧れと、「いつかはあんな風に」という願望は、ぼくの胸のうちから消えることはないでしょう。




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毎日1枚、自分に影響があったアルバムをご紹介するプロジェクト 【8】

2020年06月21日 | 随想録

【Live Information】



★毎日1枚、自分に影響があったアルバムをご紹介するプロジェクト★
 
 
【8】 キース・ジャレット 「Standards vol.1」

 
 洋楽に本格的に目覚めたのは中学時代。
 そのころロック以外でどんな音楽に夢中になっていたかというと、「映画音楽」と「マーチ」です。
 「映画音楽」なんてジャンルは、今では死語に近い感がありますが、まさに美メロの宝庫なんです。いま一番欲しいCDは、サウンドトラックの「映画音楽大全集」的なものです。久しぶりに浸ってみたいな。
 そして「マーチ」ですが、実はメロディがカッコイイものばかりなんです。(軍を鼓舞するための音楽なので当然なんですけれどね)
 ではそもそも記憶に残っている中で最も古い洋楽というと。。。
 
 
 まだ保育園に通っていた頃のことです。
 午後遅く、ぼくはいつも居間のテレビで天気予報を眺めていました。まだ白黒放送とカラー放送が混在していた時代です。
 記憶の中のぼくは、ひとりきりでテレビの前に座っています。
 バックでたんたんと流れているのは、ピアノで奏でられる美しい曲でした。愛らしく清楚なその曲は、ぼくが天気予報を見るたびに、まるでペンキを丁寧に何度も何度も重ねて壁や家具に塗るように、徐々に濃く心に沁み込み、記憶の抽斗に刻まれました。
 時は20年ほど流れ、大人になったぼくはジャズを聴くようになります。いろんなCDを漁っているうちに、ビル・エヴァンスにたどり着きます。そして女性のシルエットのジャケットで有名なアルバムから優しく可愛らしいワルツが流れてきた時、眠っていた記憶が甦りました。あっ!と思いました。
 保育園の頃テレビから流れていたあの曲は「ワルツ・フォー・デビイ」だったんですね。
 これがぼくのいちばん古い、ジャズ、いや洋楽にまつわる記憶です。
 
 
 音楽の原体験という意味では、エヴァンスの影響がないとは言えないでしょうね。
 そのおかげかどうか、エヴァンスはもちろん、ドン・フリードマンやミシェル・ペトルチアーニなどのリリカルな白人ピアニストは大好きで、いつしかあんなジャズを演奏してみたいと思うようになりました。
 
 
 そしてキース・ジャレットです。
 ゲイリー・ピーコック、ジャック・ディジョネットと組んだトリオは「スタンダーズ」と呼ばれ、数多くのスタンダード・ナンバーを彼らの感性で蘇らせました。
 その中で体の奥から感動したのが、「Standards vol.1」に収められた「God Bless The Child」です。
 初めて聴いた時から気持ちを激しく揺さぶられました。文字通り虜になりました。
 自分の気持ちを代わりに音で表現してくれたような気がする不思議な感覚、あるいは自分の内面に潜んでいる音楽の指向を引き出されたような感覚、と言ったらいいのでしょうか。
 ゴスペル・ロック風のアレンジと、三人の渾身のソロは、いまだに聴くたびに胸をアツくさせてくれます。
 CDのクレジットでは15分32秒の長尺ですが、長いと感じたことは一度もないですね。「Let It Be」や「My Back Pages」などと並んで、間違いなくぼくは死ぬまでこの曲を聴き続けるでしょう。
 
 
 リリカルな演奏とゴスペル・フィーリングの、極上のブレンドです。
 自分もいつもこんな演奏ができたら、と憧れています。






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毎日1枚、自分に影響があったアルバムをご紹介するプロジェクト 【7】

2020年06月20日 | 随想録

【Live Information】



★毎日1枚、自分に影響があったアルバムをご紹介するプロジェクト★
 
 
【7】 シカゴ 「シカゴの軌跡/Chicago Transit Authority」

 
※ハチくんはイライラしているわけではありません。夢中になって布を噛んでいるのです。なにせ布切れ(タオルとか)をカミカミするのが大好きな奴でして。問題はいま噛んでるのはぼくの気に入っているシャツだということです。。。(> <;)
 
 
 ぼくの中学時代は、ベイ・シティ・ローラーズが飛ぶ鳥を落として焼き鳥にして食ったうえにビールまでが付いてきたという、凄まじい人気を誇っておりました。そしてクイーン、キッス、エアロスミスらが日の出の勢いでロック界に旋風を巻き起こしておりました。
 世はイーグルスのメガ・ヒット「ホテル・カリフォルニア」に席捲され、パンク・ロックの出現で大騒ぎだったですね。
 
これらはいわば「ロックの王道」を行くものばかり、オールド・ロックに対して批判的だったパンクにしても、「反体制」という意味ではまさにロックの本質そのもので、「原点回帰」ともいえる動きだったと思います。
 
 
 高校のとき、倉敷の「音楽図書館」に出入りしてました。今の文化センターの2階です。
 所蔵のレコードからリクエストして、ヘッドホンを使って無料で聴くことができる、夢のようなところです。(圧倒的にクラシックが多かったですが)
 お目当てはビートルズの「青盤」(後期のベスト・アルバム)と、クイーンの「シアー・ハート・アタック」だったのですが、ある時その両方ともが先にリクエストされていたんですね。しかたなく数少ないロックのレコードから単に時間つぶしで選んだのがシカゴの日本編集ベスト・アルバム「栄光のシカゴ」でした。
 バンドの名前くらいしか知らなかったんですが、ホーン・セクション入りというところに少し興味を覚えたんです。
 
 
 管楽器入りの音楽といえば、クラシック、ジャズのビッグ・バンド、吹奏楽くらいしか知らなかったぼくにとっては、まさに初めて味わう未知の世界でした。
 ブラス・セクションの攻撃的でゴリゴリなアンサンブルにまず驚き、ブルージーでロック・スピリット丸出しのギターに惚れ込み、音数の多い派手なベース・ラインにシビれ、他のロック・ドラムとは多少毛色の変わったジャジーでテクニカルなドラムに魅かれ、といった具合です。
 もちろんロック・バンドとしての力量・存在感も大きかったですね。
 曲も、ハード・ロック、ジャズ・ロックはもちろん、ポップなものからウエスト・コースト風味のものまでとても幅広く、その後は音楽図書館へ行くたびに「栄光のシカゴ」を聴くようになりました。
 
 
 ロックは様々な音楽性を取り込める懐の深さがある音楽だと思うんですが、いわゆる「ロックらしいロック」「ロックの王道」「ティーンズ向けロック」以外の、他の音楽の要素を大胆に吸収昇華したロックはシカゴが初めてでした。
 また積極的に歌詞に政治的・哲学的メッセージを盛り込んでいたところも「オトナなロック・バンド」としてぼくの目に映っていました。
 
 
 もちろん後年ファースト・アルバムから順に買っていくんですが、最初に買ったのが「シカゴの軌跡」。
 デビューした1960年代後半から1970年代半ばくらいまでのシカゴの音楽は、「ブラス・ロック」と言われていましたが、そのブラス・アンサンブルは、どうにもこうにもカッコよかったですね。
 1曲目の「イントロダクション」は文字通りシカゴの音楽性が詰まった名刺代わりの曲。すごくパワフルで、まさに激動の60年代、って感じの曲です。高校3年の時、卒業を前に岡山倉敷の高校3年を主体にしたビッグ・バンドが組まれ、ぼくもベースで参加させてもらったんですが、苦心してこの曲を演奏したのもいい思い出です。
 
 
 ジャンルの好き嫌いなく、クロスオーバー的にいろいろな音楽をまたぐことに全く抵抗を覚えたことがないのは、早い段階でシカゴの音楽に出会ったからだ、と自分では思っています。これが音楽にかかわっていくうえでどれだけ助けになったか。
 
 
 ベース弾きの端くれとしては、ピーター・セテラは憧れのひとりでした。その手数の多い派手なベースには、ジャック・ブルースやティム・ボガートと並んで明らかに影響を受けました。
 おかげでぼくも手数の多いベーシストに育ち、多少チヤホヤされるようになりましたが、ちゃんとした音楽観を持った方々からはよく「ウルサイ!」と言われましたね~ 
 それでも目立ちたいだけのぼくはお構いなしで弾きまくり続け、ナニが良くないのかサッパリ分からないまま月日は流れ、なぜ先輩方に喧しいベースと思われていたかに気づくのにその後何年も何年もかかったのでした。(- -;)




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毎日1枚、自分に影響があったアルバムをご紹介するプロジェクト 【6】

2020年06月19日 | 随想録

【Live Information】


★毎日1枚、自分に影響があったアルバムをご紹介するプロジェクト★
 
 
【6】 ダニー・ハサウェイ 「Live」

 
 遊びというものは真剣にやらないと面白くないので、こういうバトンであってもいろいろ考えながら文章を作っております。
 そういうわけで、このバトンのタイトルにある「影響」という言葉をどうとらえるか、というところから改めて考えてみたんですが、「影響を受けた=好き」ではあるけど、必ずしも「好き=影響を受けた」ではないんじゃなかろーか、ということに思い至っております。
 好きである以上なんらかの影響は受けているんでしょうけれど、このバトンでは、自分の価値観や音楽観を変えるくらいのインパクトを受けて「影響された」と言える、ということにしようと思います。
 
 
 英米のポピュラー・ミュージックって、ルーツが黒人文化にあるものが多いです。
 
ジャズしかりロックしかりブルースしかり。
 20代くらいの頃というのは、ブルースというとエリック・クラプトンやマイク・ブルームフィールド、オールマン・ブラザーズなどなど、ジャズといえばビル・エヴァンスだったりキース・ジャレットだったり、ソウル系ならばホール&オーツとかライチャス・ブラザーズ、というふうに、黒人音楽を白人が(リスペクトして)演奏したものばかり聴いておりました。
 黒人が演奏する黒人音楽には独特の「体臭」みたいなものがあって、当時のぼくには濃すぎたんですね。
 
 
 子供の頃って、ピーマンなんて食べなくても人生になんの影響もないと思ってるし、ブラックコーヒーも苦いばかりだから砂糖とミルクは必ずしこたま入れるし、多少コーヒーっぽくあれば絶対にコーヒー牛乳や缶コーヒーの方を選んでいましたね。
 ところがいつしか野菜炒めにピーマンがないと物足りなく思うようになるし、缶コーヒーと豆を焙煎したコーヒーでは全然香りが違う、というのが分かってきます。
 なにが言いたいかというと、黒人が自らのルーツである音楽を演奏するのは濃くて当たり前、最初はその濃さが苦手でも、だんだん自分がそれに馴染んできたんではなかろうか、ということです。
つ まり、オトナになってピーマン入りの野菜炒めの方が味に幅が出るのに気づくとか、コーヒーに砂糖とミルクを入れてわざわざコーヒーらしさを薄めてそれをおいしいと思っていただけではなかろうかということに気づく、ってことに似ていると思うのです。
 
 
 そういう意味ではスリー・ドッグ・ナイトというロック・バンドには音楽的な垣根を取っ払ってもらったかもしれません。
 このバンドは黒人音楽をリスペクトする白人6人+黒人1人の7人編成です。いわばぼくとR&B系音楽を「とり持ってくれたバンド」です。
 ぼくは「Old Fashioned Love Song」や「Joy to the World」で彼らが好きになり、どんどん聴き漁っていくうちに「Try a little tenderness」に出会いました。ブラック・ミュージックをリスペクトしているだけあって、スリー・ドッグ・ナイトの「Tenderness」の黒っぽさがたまらなく好きだったのですが、それでもオーティス・レディングが歌うバージョンは、まだ自分には濃すぎて馴染めなかったんですね。
 そういうところをガラリと変えてくれたのが、ダニー・ハサウェイの「Live」です。


 このアルバムは、R&Bの領域に限らず、ポピュラー音楽全体の中でもひときわ輝いている逸品ではなかろうか、と思っています。
 ファンキーなグルーブと演奏の楽しさカッコよさはもちろん、いわゆる「ソウルフル」な歌声、ステージと一体感を持っている客席の熱気、どれをとっても理屈抜きにアツくなれます。
 ベース弾きのはしくれとしては、「Voices inside」におけるウィリー・ウィークスのベース・ソロの流れや盛り上げ方にはノックダウンされました。絶品としか言いようがないのです。
 
 
 わかりにくくて長い前置き(汗)ですが、黒人が演奏する黒人音楽に対して抱いていた苦手意識をきれいに拭い去ってくれ、その楽しくアツい世界に引っ張り込んでくれたのがダニー・ハサウェイの「Live」なのです。


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毎日1枚、自分に影響があったアルバムをご紹介するプロジェクト 【5】

2020年06月18日 | 随想録

【Live Information】


★毎日1枚、自分に影響があったアルバムをご紹介するプロジェクト★
 
 
【5】 ゲイリー・カー 「甘き死よ来たれ/Gary Karr Plays Bach」

 
 クラシックを通過せずにコントラバスをはじめた人(例えばぼくとか)の憧れというか目標のひとつは、やはり弓(アルコ)弾きができるようになることでしょう。
 
 
 もともとジャンル分けというものは「CD棚を整理する時に使うもの」くらいにしか考えていなかったし、自分以外の他ジャンルの人に対してマウントしようとする人をたくさん見てきたので、「ジャンル分け」にはなるべく近寄りたくありません。(^^;)
 自分の好きな音楽は「ジャンル」ではなく、「好きな曲とそうでもない曲」があるだけなので、実は子供のころからクラシックも好きだったりするのです。
 ただ詳しくないだけで、好きな曲はいっぱいありました。
 だからコントラバスを手に入れた時、当然弓もいっしょに買いました。
 初心者の弓の音って、それはそれは悲惨なものです。(断っておきますが、「自分が」ではなく、「周囲にとって」ですw もはやあれは「騒音」「雑音」の域ではありません。自分の音を聞く自分ですら体調がおかしくなりますwww)
 人前で弾けるようになるまでに相当な時間を費やしましたし、人前で弾くようになったからといってうまかったわけではないので、失笑を買ったことも幾度かあります。(- -;)
 
 
 弓で弾くことのメリットはとても大きいです。
 ぼくの場合、そのひとつが音色に対する意識の変化でした。
 知識はいま音楽雑誌やネットその他にあふれているので、頭に詰め込むことは簡単ですが、自分の音色の基準は本当に良い音色を知らなければ上げることはできないんじゃないかな、と思います。
 
 
 京都のベーシスト、中嶋明彦さんの弓での演奏が大好きです。
 中嶋さんが参加している関西のユニークなジャズ・グループ「Freedom Jazz Sprits」の「In a sentimental mood」におけるアルコ・ソロはそれこそ好きすぎて、いまだにああいうふうに弾けるようになりたい、と心の中で追いかけ続けています。(全く追いつけません
 
 
 その中嶋さんに教えてもらったのが、クラシックのコントラバス奏者、ゲイリー・カーの名前です。
 すぐにCDショップに探しに行きました。世界的コントラバス奏者らしく、クラシックの棚に何枚も置いてあったので、大好きな「G線上のアリア」が入っていた「Plays Bach」を買ったんです。
 弓で弾くことに対する憧れをふくらませてくれ、音色に対する意識を大きく変えるきっかけになってくれたCDです。
 ふくよかで、太くて、それでいて穏やかでほのかに甘い音色は絶品です。
 何度も何度も聴きました。


 良い音色を意識するということは、逆説的に言うと、音楽についての価値観が変わることだと今では思っています。
 そこに気づかせてくれた、忘れられないアルバムです。


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毎日1枚、自分に影響があったアルバムをご紹介するプロジェクト 【4】

2020年06月17日 | 随想録

【Live Information】


★毎日1枚、自分に影響があったアルバムをご紹介するプロジェクト★
 
 
【4】 ウェザー・リポート 「8:30」

 
 ベースの使命といえば、ひとつは「グルーブすること」です。
 ところが、この「グルーブ」というヤツが曖昧模糊としていて、まるで雲をつかむような話で、かつてはずいぶん悩まされたものでした。(では今はちゃんと出せているかというと・・・汗)


 リズム譜どおりに弾けばグルーブするというわけでもなかったし(当時はニュアンスとか歌い方という意識があまり頭になかったのです汗)、小言をくださる方々はいわゆる「何かを上から言いたい・教えたい」タイプばかりで、結果論のダメ出しはすれど建設的アドバイスなんてされたことがなかったですね。そればかりか今になって思えば「?」な知識を吹き込むもんだから、こんがらがるばかり、時には逆ギレしそうになったことも。。。
 
 
 ロックではジャック・ブルースとかティム・ボガート、あるいはピーター・セテラ(シカゴ)やジョン・エントウィッスル(ザ・フー)、メル・サッチャー(グランド・ファンク・レイルロード)などの、派手だったり音数が多かったりするタイプのベーシストが好きでした。
 でも、ロックの感覚のままでジャズを弾いても、当たり前ですが、全然ダメでした。
 まあ弾きまくっていれば誰かが「すごいね」「変わったタイプだね」と持ち上げてくれるので、目立てば満足だったぼくは、そういったことで弾けた気になっていました。
 
 
 8ビート系、16ビート系、ファンク系ではっきり「これがグルーブなのか!」とグルーブ感というものをわかりやすく教えてくれ、ぼくのグルーブに対する意識を変えてくれたのは、ジャコ・パストリアスです。
 グルーブって、生き物だし、歌なんだ!と思いました。
 ジャコのプレイといえば、ご多分にもれず「チキン」。
 「チキン」を聴きたいがために「バースデイ・コンサート」はよく聴きました。ピーター・アースキンとのコンビネーションの素晴らしさはタメイキものです。
 また、ジョニ・ミッチェルのライブ「シャドウズ・アンド・ライト」の中に収められている有名なジャコのベース・ソロにも衝撃を受けましたが、ジャコのグルーブを存分に味わいたいときは、ぼくとしてはなんといってもウェザー・リポートのライブ・アルバム「8:30」ですね。まさに強力なグルーブの洪水です。勝手に腰がうねってしまうんです。
 ブライトで粒だちのはっきりした音色で繰り出すフレーズの数々は、まさに「ベースを歌わせている」ジャコならではの音楽です。
 
 
 それからは、エイブラハム・ラボリエル、ウィリー・ウィークス、チャック・レイニーなどのベーシストの演奏にも惹かれるようになりました。
 ジャコをはじめとした彼ら(いわゆるグルーブ・マスター)の演奏には、今だに目も耳も釘付けです。


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毎日1枚、自分に影響があったアルバムをご紹介するプロジェクト 【3】

2020年06月16日 | 随想録

【Live Information】


★毎日1枚、自分に影響があったアルバムをご紹介するプロジェクト★
 
 
【3】 コジカナツル 「Kojikanatsuru3」

 
 もちろんこれはジャズに限ったことではないのですが、音楽の重大な魅力のひとつは「別世界(あるいは非日常)へのトリップ」なんじゃないかな、と思っています。
 もう少し突っ込んで考えてみると、その別世界へ連れて行ってくれるのは音楽家の「熱さ」だとか「遊び心」なんでしょうね。
 
 
 若かりし頃は、「アップテンポ」「速弾き」「大音量」といったことだけでもテンションが上がるものですが、ぼくの思う「非日常」は、そういうこととはちょっと違っていて(もちろんそれらを含むことはあります)、そこにはミュージシャンの気持ちや伝えたい音が色濃く存在するのです。
 
 
 やっぱりそれなりの力量を持つミュージシャンたちは、それぞれに聴衆を別世界に連れて行けるだけの実力とエネルギーを持っていて、それを味わうのがライブの大きな楽しみなのです。 
 自分ならではの表現、つまり自由度が高いジャズには「遊び心」から発する音楽がより現れやすいんじゃないかな。
 
 
 ジャズを始めた頃は、「とっつきにくくわかりづらく、ロックに比べると興奮度もたいしたことない」なんて思っていました。
 あったのは、「人前でライブができる」、あるいは「女性に接する機会が多いかも」といった、音楽以外の興味だけだったな。
 
 
 そのうちジャズならではの熱い演奏、遊び心に満ちた演奏に徐々に出会い、楽しさ面白さに惹き込まれるようになりました。
 例えば、佐山雅弘(piano)さんの演奏。大坂昌彦(drums)さんとのライブを聴きに行ったことがありますが、その時に聴いた「Swinging on the Star」は忘れることができません。
とくに佐山大坂の両氏によって繰り広げられた4bars(4小節ソロ交換)は激しく熱く、そして抱腹絶倒。必死の形相で演奏するふたりの音はあまりにも凄まじくあまりにもユーモラスで、客席は爆笑と喝采の渦でした。演奏だけであんなに人を笑わせられるのか、とある意味衝撃だったなあ。
 
 
 「100 Gold Fingers」で聴いた、ジーン・ハリスとロジャー・ケラウェイのツイン・ピアノもいまだに大好きです。
グラディ・テイト(drums)とボブ・クランショウ(bass)という歴戦の強者を従えて「Splanky」というブルースを演奏するんですが、これがまたふたりの自由な魂が触発しあった、ブルージーで、アツくて、明るくて、ユーモアたっぷりの演奏なんです。


 
 
 熱さとディープな空気の奥底知れない大きさを感じさせてもらったのが、小島良喜(piano)、金澤英明(bass)、鶴谷智生(drums)からなる「コジカナツル」です。
 ジャズの枠組みにしばられない、スケールの大きなピアノ・トリオです。
 1stアルバムから大好きで大好きで、何度かライブも行ったけれどそのたびに楽しさと凄さでボーゼンとなって帰途に着くんです。
 2006年の京都RAGでのライブは、多田誠司(sax)、Shiho(vocal)の両氏がゲストで、たいへんな盛り上がりようでした。その時は打ち上げも同席させていただきましたが、演奏同様アツい金澤さんといろいろ話し込んで自分の未熟さが恥ずかしくなったり、逆に元気が出てきたり、と思い出深い夜でした。





 この「Kojikanatsuru3」のラストを飾っているのは、ボブ・ディランの書いた「My Back Pages」。
 この曲、いやこの演奏がもう好きすぎて、「My Back Pages」だけを繰り返し繰り返し聴いているうちに夜が明けてしまったことがあります。
 いつだったか「ぼくがあの演奏をいかに好きか」「あれは今まで聴いたMy Back Pagesの中で最高の演奏である」、と恥ずかしげもなく金澤さんに力説したことがありました。
 金澤さんは「あれは抜群にいいだろ?」と力強く言っておられました。ぼくが、あのMy Back Pagesだけを聴いていて夜明かしをしてしまったことがあるという話をすると「ホントかよ~」と言って相好を崩しておられましたが、本当にぼくはあの熱さとスピリットに、いまだに参ったまんまなんです。
 
 
 「Kojikanatsuru3」は、どうにかしてこの熱さを自分も発したい、と「熱さ」を音楽のいち要素として再認識させてもらったアルバムですね。




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毎日1枚、自分に影響があったアルバムをご紹介するプロジェクト 【2】

2020年06月15日 | 随想録

【Live Information】


★毎日1枚、自分に影響があったアルバムをご紹介するプロジェクト ★

  
【2】 ガッド・ギャング 「The Gadd Gang」

 
 高校に入ったぼくは、「これはきっとモテるはず!」というだけの理由でドラムを始めたんですが、なんとしたことか、1年の3学期には半ばしぶしぶベースを弾くハメになります。
 ところがベースを始めて数か月くらい、高校2年の時に縁あってジャズのビッグ・バンドに入ることになり、人様の前で演奏するようになりました。
 だからぼくはジャズが好きでジャズを始めたわけではないのです。
 
 
 それでも時々「君うまいね!」とか「すごい」とか言われることがあって、それが生意気な態度に拍車をかけていたんだと思います。(まあ今でも態度が大きいことに変わりはありませんが
 当時は、音楽がどうのというより、自分が目立つことの方が大事だったんです。要するに、人前で演奏できる自分のことを得意がっていただけだったんですね。
 
 
 そんなわけで、当時一緒に演奏する機会のあった大先輩がたからはよくお叱りを受けました。
 まだ本来の意味のキャバレーが数軒残っていたころです。
 
キャバレーのバンドで長年演奏している大先輩がたの演奏は、さすがに当時のぼくなんかでは太刀打ちできないものでした。
 当時よく文句を言われていたのは「スウィングしろ!」ということ。
 クソー!と思って頑張って弾くんですが、なにをどう弾いても「アカン」「ダメ」「音が短い」「走る」「遅れる」「態度がデカい」「勉強しろよ歯みがけよ」等々文句を言われるばかり。4ビートのグルーブというのが全然わからなくて、悶々としていました。(いま思うと単なる練習不足。おまけに4ビートだけじゃなく、得意だと思っていた8ビートや16ビートも分かってなかったですね)
 
 
 そういう時に、スティーブ・ガッドがリーダーのバンドのアルバム、というだけで買ったCDが「The Gadd Gang」でした。
 「The Gadd Gang」は、スティーブ・ガッド(drums)を筆頭に、コーネル・デュプリー(guitar)、リチャード・ティー(piano, keyboard)、エディー・ゴメス(contrabass)、ロニー・キューバ(bariton-sax)という、泣く子も黙り地頭も踊りだす、という名匠が集まったスーパー・グループです。
 このアルバムの1曲目はボブ・ディラン作の「ウォッチング・ザ・リバー・フロウ」ですが、これがR&Bの香りがするゴキゲンな4ビートなんです。
 当時のぼくにとってはこの曲の4ビートが実に分かりやすく、初めて「これが4ビートのグルーブなんだ」というのをはっきり感じることができたんですね。
 グルーブ感を実感させてくれたことは、明らかに自分にとってのターニング・ポイントだと思っています。
 
 
 この頃になってやっと自分の耳が4ビートに馴染んできたんでしょう。レッド・ガーランドの「Groovy」をはじめ、ケニー・ドリューやウィントン・ケリー、オスカー・ピーターソンのアルバムをたくさん聴いて4ビートのグルーブをさらに体に沁み込ませようとしたものでした。
 グルーブする感覚がちょっとわかってくると、ジャズを演奏するのがちょっと楽しく感じられるようになりましたね~



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毎日1枚、自分に影響があったアルバムをご紹介するプロジェクト 【1】

2020年06月14日 | 随想録

【Live Information】

 
 
 ジャズバーGROOVYの洋子ママより、facebookでのバトン「毎日1枚、自分に影響があったアルバムをご紹介するプロジェクト」のご指名いただきました。
 おそらく「世の中『自粛自粛』でヒマができたから、その持て余しているヒマを楽しく使おう」という趣旨ではじまったものなんじゃないかと推測してますが、洋子ママからは「自粛云々は別として貴殿が影響を受けたアルバムがなんであるか興味があるのでゼヒ」、ということなので、長いだけでありきたりな内容になるとは思いますが(しかもジャズだけではないと思います)、facebookで書き綴ったものを転載します。


 - ☆ - ☆ - ☆ - ☆ - ☆ - ☆ - ☆ - ☆ - ☆ - ☆ - ☆ - 
 
 
★毎日1枚、自分に影響があったアルバムをご紹介するプロジェクト★


【1】 ビートルズ 「1967~1970」(通称:青盤)

 
 あれは忘れもしない小4の冬。
 「遊びに来ん?」と誘われて、学校の帰りに行った友だちの家。
 部屋でダベったりゲームしたりがひと段落して、もうじき日が暮れるというとき、そいつが「うちの兄ちゃんのレコード、聴かせてやろうか?」と言ったんです。
 かけてくれたレコードから流れてきたのは、ピアノによるシンプルなイントロ。
 
 
 部屋は夕陽でオレンジ一色に染まっています。
 その、窓から夕陽が見える部屋に、おごそかに響くピアノと、甘いんだけどどこか感傷的な歌声。
 この瞬間、ぼくはそれまで音楽にほとんど興味がなかったにもかかわらず、「いつか必ずこの曲をピアノで弾いてみたい」と決心したのでした。
 
 
 ぼくの心を一瞬で捉えたこの曲は、「レット・イット・ビー」です。
 かけてくれたレコードは、「青盤」という通称で知られている後期ビートルズの2枚組ベスト・アルバムでした。
 そして、これが「ロック・ミュージック」というものに生まれて初めて触れた日でもありました。
 この体験は、今でもその情景をありありと思い浮かべられるくらい衝撃的でした。
 おかげで一生音楽と離れられないだろう生活を送っています。
 シアワセなことだと思っています。
 
  
 そして月日は流れ、中学3年の3学期。
 音楽の授業の最後の試験の内容は、「誰と組んでもいいから、好きな曲を演奏すること」。
 すぐさま友人K君を誘い、「レット・イット・ビー」をやることに決めました。 
 もちろんぼくはピアノを弾くつもりです。でも相変わらずまったく弾けないままです。
 田舎の中学のこと、ギターのコードをジャカジャカ弾くことのできるヤツすら学年で数人程度、カゼならひくけどピアノを弾く男子なぞ皆無でしたが、レット・イット・ビーをやるならどうしてもピアノを弾きたかったのです。
 
 
 そして、音楽の先生へお願いに行きました。
 「レット・イット・ビーをどうしても弾きたいんです。ピアノを教えてください」
 音楽の授業というと、男子は「いかにふざけるか」がテーマみたいな年頃なので、その中のひとりだったぼくが放課後の職員室に現れたものだから、先生は最初かなり不審げだったんですが、本気で頼むと快くOKしてくれました。
 「ただしビートルズのレコードどおりに弾くのは時間的にみてムリだから、簡単な方法を教えてあげる。」
 たまたま姉が習っていたおかげで、家にはエレクトーンがありました。
 夜中にヘッドホンをつないで、結構練習を頑張ったんです。
 おかげで、最後の試験は無事に弾き終えることができました。
 
 
 どういう縁か、いまではピアノではなくてベースを弾き続けていますが、音楽に浸ったまま人生の終盤を迎えられているのは、小4の時にふとしたことで「レット・イット・ビー」を聴いたからなのです。

 

コメント (2)
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