ある音楽人的日乗

「音楽はまさに人生そのもの」。ジャズ・バー店主、認定心理カウンセラー、ベーシスト皆木秀樹のあれこれ

ヒトラー ~最期の12日間~ (Der Untergang)

2006年02月26日 | 映画
♪お気に入り映画(その20)


■ヒトラー ~最期の12日間~ (Der Untergang)
■2004年
■ドイツ オーストリア イタリア 共同制作
■監督…オリヴァー・ヒルシュビーゲル
■音楽…ステファン・ツァハリアス
■出演
 ☆ブルーノ・ガンツ(アドルフ・ヒトラー)
 ☆ユリアーネ・ケーラー(エヴァ・ブラウン)
 ☆アレクサンドラ・マリア・ラーラ(トラウドゥル・ユンゲ)
 ☆トーマス・クレッチマン(オットー・フェーゲラインSS中将)
 ☆ウルリッヒ・マテス(ヨーゼフ・ゲッベルス宣伝相)
 ☆コリンナ・ハルフォーフ(マグダ・ゲッベルス夫人)
 ☆アレキサンダー・ヘルド(アーネスト・シェンク博士)
 ☆ハイノ・フェルヒ(アルベルト・シュペーア軍需相)
 ☆ウルリッヒ・ネーテン(ハインリヒ・ヒムラーSS長官)
 ☆アンドレ・ヘンニッケ(ヴィルヘルム・モーンケ少将)
 ☆ゲッツ・オットー(オットー・ギュンシェSS将校)      etc・・・   


 155分があっという間に感じられた。
 ナチス・ドイツの独裁者として悪名高い、アドルフ・ヒトラーを主人公とした映画である。原題の「Der Untergang」は「没落」という意味だそうだ。
 ドイツ語を話す俳優がヒトラーを本格的に演じたのはこの作品が初めてだということだ。
 ヨアヒム・フェストの『ダウンフォール/ヒトラーの地下要塞における第三帝国最期の日々』と、トラウドゥル・ユンゲの回想録『最後の時間まで/ヒトラー最後の秘書』が原作である。


 映画は、ヒトラーの56回目の誕生日である1945年4月20日から、彼の後継者であるゲッベルス宣伝相が自殺した5月1日までの12日間を描いている。
 ぼくはこれまでに、ジョン・トーランドやコーネリアス・ライアンらが書いたヒトラー関連の本を読んでいるが、それらの本に書かれている史実やヒトラーの人物像などと、映画で描かれていることとのズレはあまりなかったと思う。


 スターリンやポル・ポトらと並んで、つねに20世紀最悪の政治家のひとりにあげられるヒトラーの素顔を、側近たち、愛人のエヴァ・ブラウン、秘書のトラウドゥル・ユンゲらとの関わりを通じて、どちらかというと淡々と描いているようだ。
 この時期のヒトラーはたいへん健康を害していたうえ、侍医のモレル博士には「薬と称した毒物」を服用させられていたりしたので、精神的にも正常とは言い難い状態だったそうである。軍人たちに対してはいきなりヒステリックに怒鳴り散らすなど、感情の起伏がとても激しかったそうだ。しかし、女性や子供たちには優しく紳士的な態度を崩さなかったという。
 しかし、そういう人間味のある面があるからといって、それはヒトラーに対する免罪符にはならない。この作品ではあくまでも誇張を排して、自分の作り上げた第三帝国の最期に直面したありのままのヒトラーを描こうとしているのだと思う。


     


 軍事的、戦史的なことはこの作品の重要な主題ではない。
 歴史上の出来事を取り上げているため、ヴァイトリング、モーンケ、ヴェンク、シュタイナーなどの将軍や、シュペーア、ヒムラー、ゲッベルス、ゲーリングなどのナチスの幹部など、実在した人物の名が多数出てきて混乱しやすい。そのあたりの知識を少しでも仕入れてからこの作品を観ると、より分かりやすいと思う。
 また、ヒトラーは軍事的には素人だったことに加え、側近のヨードル大将やカイテル元帥の偏狭な態度が戦況を悪化させたこと、ナチスの幹部間には絶えず権力争いと責任のなすり合いが生じていたこと、国防軍は比較的ナチズムに毒されていなかったため、陰ではヒトラーを伍長呼ばわり(ヒトラーの軍人としての階級は伍長クラスどまり)して軽んじる風潮が一部であったことなどを知ったうえで見てゆくと、この映画がいっそう興味深く思えるかもしれない。
 

 ヒトラーは、あくまで戦い抜くか、さもなければ国民もろとも死を選ぶことを頑強に主張しており、彼のベルリン地下要塞は狂信的なナチズムと、ナチズムに対する投げやりな服従に満ちていた。東西両面から押し寄せてくる敵や「敗戦」などの、負の現実から目をそらそうとしているかのような空気が漂っている。しかし、ヒトラーの死の直後、部下たちはいっせいにタバコに火をつける。この場面は、ヒトラーの自殺で要塞内がヒトラーの呪縛から解放されたことを暗示しているようだ(ヒトラーは禁酒・菜食主義者で、タバコも嫌っていた)。
 そして、最後までヒトラーに忠節を尽くしていたゲッベルス夫妻の自殺で、実質的にヒトラーの「第三帝国」は終焉を迎えるのである。


 なんらかの思想を通じて歴史を振り返るのはとても危険なことだと思う。歴史はありのままに歴史として見なければならない。この映画も、そういう目で見るべき類のものだろう。
 ただ、映画の最後に、トラウドゥル・ユンゲがインタビューに答えてこう語る場面が出てくる。
 「私は『自分は何も知らなかった(註:ナチス・ドイツの侵略や、ユダヤ人に対する虐殺などのこと)。だから自分に非はない』と考えていました。でもある日(中略)気づきました。『若かった』というのは言い訳にはならない。ちゃんと目を開いてさえいれば真実に気づけたのだ、と」
 この映画を観たあとで、それぞれがヒトラーの善悪や、戦争の是非や、人間の尊厳などについて思いを巡らすことだろう。しかし、誤った前提で考えると正しい答えは出てこない。そう、ユンゲの言葉を借りるなら、「ちゃんと目を開いて」見ることが大事なのだと思う。


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ジャコ・パストリアスの肖像 (Jaco Pastorius)

2006年02月24日 | 名盤


 ジャコ・パストリアスというベーシストが偉大だってことは、ずーーーっと前から知っていました。
 高校時代に所属していた社会人ビッグ・バンドで、「ウェザー・リポート」の「バードランド」という曲を演奏したことがありました。それがぼくの、ジャコの音楽との出会いです。
 でも、なぜかそれ以上ジャコ・パストリアスというミュージシャンに関わってみようとは思いませんでした。その時のぼくには、まだジャコの素晴らしさが分からなかったんです。そして、そのまま10年以上も時が経ってしまいました。


      
 

 ぼくは多少ミエッパリなのでしょうね。
 音楽雑誌には、ジャコを絶賛する記事があふれ返っている。先輩たちや、他のベーシストはみんな「ジャコはやっぱ凄ぇよな~」なんて言ってたし。そんな中で今さら、「ジャコってそんなに凄いの?」なんて、恥ずかしくて訊くことができなかったんですね。
 それに、みーんな「ジャコ凄い!」って言うもんだから、逆に「ジャコだけがベーシストじゃないもんね~」なんて、ちょこっとツムジを曲げてみたり。
 だから、かなり後まで、ジャコ・パストリアスのサウンドに触れずじまいだったんです。横目でジャコを見ながら、遠巻きに通り過ぎる感じ(笑)でした。
 

 もともとぼくは、自分がベース弾きであるにもかかわらず、しぶしぶ耳コピーする時以外は、ベースだけを聴き込むということをあまりしなかったんです。
 音楽を聴いても、「このギター、シブいな~」とか、「このキーボード・ソロ、泣けるな~」とか、「ここのドラムのフィル・イン、カッコよすぎ」だとか、ぼくは、ベース以外のところにばかり気を取られていたバチ当たり(笑)だったんです。


     
 

 ベースを始めてから10年以上が過ぎ去った頃、ようやく「やはり一度は教材としてジャコの作品を聴いておかねば」と思うようになりました。そして買ってきたのが、『ジャコ・パストリアスの肖像』です。
 初めてこの作品を聴いた時は、それこそ思い切り頭を殴られたくらい(それもバットで)の衝撃と感動を受けました。それまでに色んな音楽を聴きあさっていたおかげで、ある程度耳が肥えていたのも幸いしたのでしょうね。


 華麗なフィンガリング、伸びやかで粒立ちのよい独特のブライトな音色。
 まるで生き物のような強烈なグルーヴ感、メロディックで奔放なベース・ソロ。
 ハーモニクスを始めとする特殊奏法の数々・・・。
 抜群のベース・プレイにもすぐマイってしまいましたが、なんといっても素晴らしいのは、既成概念を見事なまでに打ち破ったその革新的な音楽性です。
 「こういう自由なベースの使い方があるのか・・・」「こういう発想で音楽を創っているのか・・・」。出るのはもはや、タメ息ばかりです。「ああ、もっと早くこのアルバムを聴いておくべきだった・・・」
 
 
 フレットレス・ベースとパーカッションのデュオで演奏される1曲目の「ドナ・リー」で一気にジャコ・ワールドに引き込まれてしまいます。
 3曲目の「コンティニュウム」の美しいメロディ、大好きです。ハーモニクス奏法によるベース・ソロが披露される5曲目の「トレイシーの肖像」、これ、最初聴いた時は、いったいどうやって演奏しているんだろうか、と不思議に思ったものです。
 サポートに回った時のジャコの強力なバッキング(これがまた凄くてカッコイイ!)の洪水が堪能できる「カム・オン、カム・オーヴァー」、「クル/スピーク・ライク・ア・チャイルド」、「チャ・チャ」・・・。


     
 
 
 このアルバムにはジャコの全てが凝縮されている、と言ってもいいでしょう。この作品を制作したのが24歳の時、って言うんだから、もうそれだけで平伏してしまいます。しかも、30年前にして、すでにこのサウンドだもんな~。
 自分がベーシストだから、このアルバムが好きなのではありません。このアルバムで聴くことのできるジャコの世界そのものが好きだからこそ、ぼくの愛聴盤になっているんです。
 ジャコ・パストリアスは、「ベーシスト」というよりも、「ベースという楽器の可能性を驚異的に広げた、イノヴェイターでありクリエイター」と言えるのではないでしょうか。



◆ジャコ・パストリアスの肖像/Jaco Pastorius
  ■演奏
    ジャコ・パストリアス/Jaco Pastorius (bass)
  ■プロデュース
    ボビー・コロンビー/Bobby Colomby
  ■リリース
    1976年8月
  ■録音
    1975年9月、10月、12月  ニューヨ-ク
  ■収録曲、録音メンバー
    ① ドナ・リー/Donna Lee
        ジャコ・パストリアス/Jaco Pastorius (bass)
        ドン・アライアス/Don Alias (conga)
    ② カム・オン、カム・オーヴァー/Come On, Come Over
        ジャコ・パストリアス/Jaco Pastorius (bass)
        ハービー・ハンコック/Herbie Hancock (clavinet, electric-piano)
        ランディ・ブレッカー/Randy Brecker (trumpet)
        ロン・トゥーリー/Ron Tooley (trumpet)
        ピーター・グレイヴス/Peter Graves (bass-trombone)
        デヴィッド・サンボーン/David Sanborn (alto-sax)
        マイケル・ブレッカー/Michael Brecker (tenor-sax)
        ハワード・ジョンソン/Howard Johnson (baritone-sax)
        ナラダ・マイケル・ウォルデン/Narada Michael Walden (drums)
        ドン・アライアス/Don Alias (conga)
        サム&デイヴ (Sam & Dave)/Sam & Dave (Sam Moore, Dave Prater  vocals)
    ③ コンティニューム/Continuum
        ジャコ・パストリアス/Jaco Pastorius (bass)
        ハービー・ハンコック/Herbie Hancock (electric-piano)
        アレックス・ダルクィ (electric-piano)
        レニー・ホワイト/Lenny White (drums)       
        ドン・アライアス/Don Alias (conga)
    ④ クル/スピーク・ライク・ア・チャイルド/Kulu/Speak Like A Child
        ジャコ・パストリアス/Jaco Pastorius (bass)         
        ハービー・ハンコック/Herbie Hancock (electric-piano)
        ボビー・エコノム/Bobby Economou (drums)
         ドン・アライアス/Don Alias (conga, bongo)
        violin・・・デヴィッド・ナディアン/David Nadien、ハリー・ルーコフスキー/Harry Lookofsky、ジョー・マーリン/Joe Malin、
              ポール・ガーシュマン/Paul Gershman、ハリー・サイクマン/Harry Cykman、ハロルド・コーホン/Harold Kohon
        viola ・・・スチュワート・クラーク/Stewart Clarke、マニー・ヴァルディ/Manny Vardi、ジュリアン・バーバー/Julian Barbar、
        cello ・・・チャールズ・マクラッケン/Charles McCracken、カーミット・ムーア/Kermit Moore、ビヴァリー・ローリゼン/Beverly Lauridsen
    ⑤ トレイシーの肖像/Portrait Of Tracy
        ジャコ・パストリアス/Jaco Pastorius (bass)
    ⑥ オーパス・ポーカス/Opus Pocus
        ジャコ・パストリアス/Jaco Pastorius (bass)
        ハービー・ハンコック/Herbie Hancock (electric-piano)
        ウェイン・ショーター/Wayne Shorter (soprano-sax)
        オセロ・モリノー/Othello Molineaux (steel-drum)
        リロイ・ウィリアムズ/Leroy Williams (steel-drum)
        レニー・ホワイト/Lenny White (drums)
        ドン・アライアス/Don Alias (percussion)
    ⑦ オコンコレ・イ・トロンパ/Okonkolé Y Trompa
        ジャコ・パストリアス/Jaco Pastorius (bass)
        ピーター・ゴードン/Peter Gordon (french-horn)
        ドン・アライアス/Don Alias (percussion)
    ⑧ (ユースト・トゥ・ビー・ア)チャチャ/(Used To Be A)Cha-Cha
        ジャコ・パストリアス/Jaco Pastorius (bass)
        ヒューバート・ロウズ/Hubert Laws (piccolo, flute)
        ハービー・ハンコック/Herbie Hancock (electric-piano)
        レニー・ホワイト/Lenny White (drums) 
        ドン・アライアス/Don Alias (conga)
    ⑨ 忘れさられた愛/Forgotten Love
      ハービー・ハンコック/Herbie Hancock (piano)
      violin・・・デヴィッド・ナディアン/David Nadien、ハリー・ルーコフスキー/Harry Lookofsky、ジョー・マーリン/Joe Malin、
            ポール・ガーシュマン/Paul Gershman、ハリー・サイクマン/Harry Cykman、ハロルド・コーホン/Harold Kohon、
            マシュー・レイモンディ/Matthew Raimondi、マックス・ポリコフ/Max Pollinkoff、アーノルド・ブラック/Arnold Black
      viola ・・・スチュワート・クラーク/Stewart Clarke、マニー・ヴァルディ/Manny Vardi、ジュリアン・バーバー/Julian Barbar、アル・ブラウン/Al Brown
      cello ・・・チャールズ・マクラッケン/Charles McCracken、カーミット・ムーア/Kermit Moore、ビヴァリー・ローリゼン/Beverly Lauridsen
      contrabass・・・リチャード・デイヴィス/Richard Davis、ブルース・ブランズビイ/Bruce Bransby、ホーマー・メンチ/Homer Mensch
      ジャコ・パストリアス/Jaco Pastorius (strings-arrangement)



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クロス

2006年02月21日 | 見る聴く感じるその他
 クロスのネックレス、大好きです。
 今では半ばジンクスと化していて、演奏する時とか、大切な用がある時などは、必ず身に付けていきます。忘れたまま外出すると良くないことが起こりそうな気がして、何となく落ち着かないのです。


 好きだからといって手当たり次第買うわけじゃないんです。
 今持っているのは4つ。特に高価なものではないですけれど、どれも気に入っています。こういう物って、縁があって自分の手元に来るんだ、と思ってますから、本当は気に入ったものがひとつあるだけで満足なのです。だから、たいていいつも同じものばかりを身に付けています。


 クリスチャンというわけではありません。でも、なんとなく厳かな雰囲気の漂うあのシンプルな形が、小心者(笑)のぼくに安心感を与えてくれる気がするんですね。ほら、よく言うでしょう?、「鰯の頭も信心から」って。
 クロスと鰯の頭を一緒にするのはちょっとバチ当たりかな。


 7年ほど前に、長崎の平戸の教会で頂いた小さなクロスが好きで、お守りがわりにいつも身に付けていました。運というものは自分の努力次第でやって来るのだ、と思っているので、「効き目」を期待していたわけではありませんが、それでも身に付けているだけで安心感が得られていたわけだから、そういう意味では「効き目」はあったと言えるのかもしれません。


     
     今の一番のお気に入り。


 そのクロスは、縁があって、今は再び九州にあります。先月、九州に住む友人が会いに来てくれました。その時、ある理由があって、「このクロスはこの人のところへ行った方がいい」と強く思えたので、貰って頂いたんです。
 その代わりに、とその友人がプレゼントしてくれたクロスが、ぼくの今の一番のお気に入りです。
 なんと言うか、九州へ戻ったクロスも、ぼくが頂いたクロスも、「納まるべきところに納まった」、という気がしてならないんです。
 こういうのも縁なんでしょうね。


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音楽的な信頼関係

2006年02月19日 | 価値観
 音楽というのは面白いもので、同じ曲を演奏しても、メンバーが変われば全く別のサウンドになってしまうことがあります。
 メンバーの組み合わせによっては、出てくるサウンドの広がりが素晴らしいものになったり、反面、狭くてつまらない音になったり。
 凄腕ミュージシャンの集まりである「スーパー・グループ」の音楽が必ずしも最上級のものになるとは限らないんです。不思議ですね~。清原、小久保、江藤、ローズ、高橋由、阿部、二岡、清水などなど、3・4番クラスの打者をズラリと揃えた某巨人(どこが某やねん)が強力チームにはなり得なかったことに似ています。
 メンバーの組み合わせによって出てくる音の違いって、ある薬品と別な薬品を混ぜ合わせた時に起こる「化学反応」のようなものかもしれませんね。
 メンバー同士の、波長や、相性の問題もあるのかも。


 昨夜は自分が「リーダー」としてのライブだったので、かねてから試してみたいと思っていたメンバーによるピアノ・トリオで臨んでみました。
 ピアノとドラムが初顔合わせでしたが、どんな音になるのかは、ある程度は予想していました。しかし、予想以上に興味深いことになりました。
 まだまだ音を練り上げて行かねばならない三人ですが、とても大きな可能性を感じることができてちょっと嬉しいのです。
 お客さまにもとても喜んで頂けましたしね。


 三人ともが全力を尽くしたアツい演奏ができたことがまず嬉しい。
 三人それぞれが持てる手段を活かして、「生きた音」を出そうとする緊張感。
 仮にミスっても誰かがフォローしてくれる、という安心感。
 創造的なサウンドを出そうとする前向きな姿勢。
 これは、三人全員が、まずは他のふたりの音楽観(仮にそれが自分と違うものだとしても)を素直に認めることを前提としていたからこそできたことだと思うんです。だからこそ、他のメンバーの「創造的な自由」を積極的に受け入れることができたのだと思います。お互いがお互いを高め合い、カバーし合う関係です。
 ぼくは、こういうのを「音楽的な信頼関係」と呼んでます。
 でもこういうことって、音楽上に限られたことではなくて、どの仕事、どの世界にも当てはまることなんですよね。


 例え音楽的相性が合わなくても、相手の音楽性を受け入れることで、何かが生まれることって往々にしてあります。これは、自分が謙虚であることが大事だ、ということも言えるのではないでしょうか。
 時々いっしょに演奏するある女性プレイヤーがいます。彼女は常に「自分が中心」という意識を持っていて、他のメンバーの音楽観をあまり認めようとはせず、時には自分の音楽観以外の考え方を否定したりもします。つまり、共演者を信頼して音楽を作っていこうという気持ちがあまりないようなのですね。そして自分の狭い音楽観のみを他のメンバーに押し付けようとするので、実はぼくはその人と一緒に演奏するのが苦痛だったりします。
 でも実際ステージに上がっている時はそんなことは言っていられません。それにぼくは、「バンド・リーダーには従うもの」だと思っていますから。
 しかしそのリーダーの音楽性・人間性が狭い場合、出てくる音も自然狭くてつまらないものになるところがとても面白いと思っているのです。(面白い、と言うと語弊があるかな


 昨夜の演奏を振り返ってみると、改めて「信頼関係というものがどれほど大事か」ということに気づかされます。また信頼関係を築くことはとてもたいへんなことではあるけれども、反面、それを築くのは自分次第でもあるんだ、ということをも改めて思い起こさせてくれた夜でもありました。


 おかげでだいぶ元気が出ました。「人生楽あれば苦あり、苦あれば楽あり」ってとこでしょうか(笑)。前回の記事で心配して下さった方々、ありがとうございました。(といっても、きっとまたヘコむ時はやって来るでしょう。落ち込んだり、元気になったり、われながら忙しいな~


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真剣な人は謙虚です

2006年02月18日 | 価値観
 基本的にこのブログにはグチっぽいことは書かない主義なのですが、、、ま、たまには。


「教えてください」
謙虚に人の話を聞く気持ちのない人に、この言葉を気軽に言われたくない。
誰かに何かを教わりたい時、
ほんとうに何かを学びたい人の態度と
言葉だけで「教えてください」という人の態度には
決定的に違いがある。
真剣な人は謙虚だ。


「気がついたことがあったら教えてください」って言うけど、
簡単に人に教えてもらおうとせずに
まずは自分で気づこうと努力しようよ。
苦しんでみて、悩んでみて、出口が見えなくて、ヘコんで、
人に聞くのはそれからでしょう。


軽々しく「教えて下さい」という人は
なぜか教わったことを軽々しく扱うことが多いです。
それを分かっていながら、「教えて下さい」と言われると、
つい本気で自分の考えを語ってしまうアホなぼく。
それに対して返ってきた言葉は
「そんなことは分かってます」
「そんなことは(言われるまでもなく)前提でしょう」
・・・。
分かってないから、
分かっているつもりになっているだけなのが見えるから
その点を話題にしたんだよ。
謙虚に聞く気がないのなら、自分に自信があるのなら、
上っ面だけ「教えてください」なんて言わなければいいのに。
(普通に質問して普通に答える、という範疇の話なら別ですが・・・)


そういう人とは一緒にはプレイできない。
「一生懸命やっているふり」をする人とは。
いろんなスタンスがあって然るべきだから、
そういう人がいるのも否定はしないけれど、
あえて自分がそういう人と一緒に演奏するつもりはありません。
大事な自分の時間、有効に使う自由はあるのです。


そういうようなわけで
今夜、月に一度のあるお店での自分の演奏をお断りしてきました。
声をかけて下さったO先輩、良くして頂いたお店の方々には、
本当に本当に申し訳ないと思っています。
でも、ぼくが一緒に音を出したいと思える相手は、
上手下手だけが重要なのではないのです。


とてもヘコんだまま書いた記事なので、
我に返った時に恥ずかしくなって消すかもしれません
もしかしたらぼくの心が狭いのかもしれません。
批判、突っ込みがありましたら謙虚に読ませて頂きます。


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From Between Trio ライヴ

2006年02月16日 | ライブ
♪「From Between Trio」。左からミッシェル・ドネダ、中谷達也、ジャック・ライト。


 昨夜は、ジャズ・ライブを聴きに出かけてきました。
 出演するのは、「From Between Trio」。メンバーはジャック・ライト(sax)、ミッシェル・ドネダ(sax)、中谷達也(percussion)。アメリカからのライト氏と中谷氏、フランスからのドネダ氏のこのトリオは、昨夜の岡山を皮切りに日本ツアーを行います。岡山以降、大阪、神戸、東京(新宿ピットイン)、名古屋(得三)、横浜(エアジン)などで演奏を行う予定です。
 オープニング・アクトは「noun(村岡充、藤井俊幸=いずれもelectronics)」+赤田晃一(sax,pianica,recorder,etc)です。


 「noun」は、電子音のコラージュといった感じです。そこに赤田晃一氏が、サックス、クラリネット、ピアニカ、リコーダーなど、さまざまな楽器で「noun」のふたりに反応してゆきます。


     
     「noun」+赤田晃一


 「From Between Trio」は、アコースティックな編成ながら、自然な音、金属的な音、動物的咆哮、ノイジーな音など、さまざまな種類の音で独特の空間をふくらませてゆく、という感じを受けました。
 フリー・ジャズ、というか、即興音楽というか、つまり演奏者が、自分の心に浮かぶものを感じるがままに音にしてゆくのです。
 既存のメロディーや、一定のパルスのない、不思議な世界でした。
 フリー・ジャズ系の演奏ということで、もっとワイルドでアバンギャルドな世界を想像していましたが、むしろ自然な感じがあり、心地よさが訪れる瞬間さえあったのには良い意味で驚きました。(非常に前衛的ではあるんですけれどね。)
 サックスふたりと打楽器奏者のトリオです。サックス奏者は、楽器を吹かないこと、あるいは「音を出さずに吹く」ことも音楽のうちに取り入れているようです。打楽器も同じ。叩くこと以外に、「擦る」「吹く」「弓で弾く」など、あらゆる方法で打楽器を鳴らしてゆきます。

 
 約1時間の「From Between Trio」の演奏ののち、このトリオに赤田氏が加わり、3サックス+打楽器でのセッションもありました。
 赤田晃一氏は、岡山を拠点として、全国的に精力的な活動を続けている即興音楽家です。岡山が日本に誇るサックス奏者だと言っていいでしょう。
 その赤田氏も「From Between Trio」の音に自然に溶け込んでいたようです。ということは、赤田氏の出す音も、その時点で自然に彼の内からあふれてきたものなんでしょうね。


     
     「From Between Trio」+赤田晃一

 
 まるで音楽というものが現れる以前の音を聴いているような、不思議な感覚のあるライブでした。
 演奏者が感じるがままに音を出すのなら、聴いているこちら側も、感じるがままにそこにある音を受け入れれば良いのだと思います。
 結局、音楽というものは、心から生まれて心へ届く、という意味では、ジャンルに隔たりはないのかもしれない、と思いました。


*関連記事『やぶいぬ日記:From Between Trioは素晴らしい。


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アンセストリー (ancestry)

2006年02月15日 | 名盤

 先日買って何度も繰り返して聴いた、北川潔トリオの『プレイヤー』。
 そのサウンドにすっかりマイってしまい、さっそく澤野工房に注文したのが、北川潔のセカンド・アルバム、『アンセストリー』である。


 ここでもストレートな「北川潔ワールド」が広がっている。
 「アンセストリー」とは、「祖先」という意味らしいが、文字通り自分の音楽的原点を存分に披露しているのだろう。
 ソロ作品を除き、サイド・メンを従えた北川氏の初のリーダー・アルバムであるにもかかわらず、北川氏の中で広がっている音楽観に対する、北川氏自身の確固たる自信がみなぎっているのを感じることができる。
 ケニー・バロンを起用してのアルバム制作は、もともとは澤野工房側からの打診だったそうだ。話があった時点で、ドラマーはブライアン・ブレイドにしたい、という北川氏自身の構想があったということだが、このあたり、自分の思い描く音を具現化するための北川氏自身の人選やビジョンは非常に明確であった、とも言えるだろう。実際、この三人のコンビネーションは素晴らしいものだと思うのだ。


 ジャズ界の中でも名だたる手練れであるケニー・バロン、ブライアン・ブレイドの両名がサイドを固めているといえ、北川氏は彼らの強烈な個性に没することなく、堂々と、そして伸び伸びと自分の世界を描いている。
 逆に、ケニーとブライアンは、自分たちの個性を出しつつも、北川氏の意図や音楽観を的確に捉え、その世界に積極的に入り込んでいて、見事に「北川潔のベース・トリオ」というコンセプトをサポートしきっていると思う。





 全10曲中、北川氏のオリジナルは4曲。残りはウェイン・ショーター、ジョン・コルトレーン、タッド・ダメロンなどのジャズ・オリジナル作品が5曲、そしてスタンダードが1曲、という構成だ。
 1曲目の「Ancestry」からいかにもジャズ、といった風情の強烈なリフが飛び出してくる。3曲目の「Time To Go」では、スピーディーかつグルーヴィーなウォーキング・ベースに心地よく身を委ねたい。8曲目の「Hot House」はドラムとのデュオだ。ベースでバップのメロディーを存分に歌っている。
 4曲目の「I Wish I Could」でのピアノ・ソロとベース・ソロの美しいこと。同じバラードでも、10曲目の「You've Changed」はピアノとベースのデュオで、この曲では北川氏のベースが全面的にフューチャーされ、心に響くメロディーを紡ぎ出している。
 とにかく、10の曲群が、統一された北川ワールドを形作っているのだ。


 ぜひ一度は生で聴いてみたい。が、世界を股にかけて活躍している北川氏のこと、日本でのライヴの機会にもなかなか巡り合えないのがとても残念。せめて次はライヴ・アルバムを出してくれないものか、とひそかに思っている。


 あ、そうそう、先日の『プレイヤー』の記事を書いた時に、ごく一部(笑)で話題になった『アンセストリー』のライナー・ノート、ここに記載しておきます。
(もしライナーの転載に不都合がありましたら、コメントを下さればすぐに善処いたします)

【ancestry/キヨシ・キタガワ・トリオ】
 北川潔は1988年に活動の拠点をNYに移し早16年が経つ。現在、ジミー・ヒース、ケニー・バロン等、大御所ミュージシャンにレギュラー・ベーシストとして招かれ、アメリカ、ヨーロッパを舞台にバリバリ活躍している唯一の日本人ミュージシャンと言っても過言ではない。しかし、今の彼の日本での知名度は、日本のジャズ・メディアの中で紹介されることは皆無に近く、その活躍、活動のスケールからすれば驚くほど低い。
 そんな中、今回のアルバムはプロデューサー澤野由明氏と北川潔の一瞬の出会いがキッカケで実現した。さて、肝心の本アルバムの内容は?と訊かれると、そりゃあもう、自身のお耳でお確かめ、お聴きいただくしかないわけである。ただ敢えて言うなら、「KIYOSHI JAZZの確固たるビジョンのもと、ケニー・バロン、ブライアン・ブレイドは忠実にしかも見事にサイドメンの仕事をし、北川Worldを描き上げている。」まさにこの言葉に尽きる。
 このアルバムに関する北川潔の思いが澤野工房HPにインタビューとして掲載されているので、是非、お聴きになった後、そちらをご覧頂きたい。最後に非常に粗っぽい文章になってしまった事をお許し願いたい。収録曲に関するデータ、解説等は一切避けた。それは作品に対して、それを受けるオーディエンスは何の先入観も無しに先ずはお聴きいただきたいと制作に携わっている人間のひとりとして切に願うからである。   text by 篠田博嗣     (原文のまま)



◆アンセストリー/Ancestry
  ■演奏
    北川潔トリオ
  ■リリース
    2004年
  ■録音
    2003年11月25~26日  システム2(ニューヨーク市ブルックリン)
  ■プロデュース
    北川潔 & 篠田博嗣
  ■レコーディング・エンジニア
    マイク・マルシアーノ/Mike Marciano
  ■収録曲
    ① Ancestry (Kiyoshi Kitagawa)
    ② Equinox (John Coltrane)
    ③ Time To Go (Kiyoshi Kitagawa)
    ④ I Wish I Could (Kiyoshi Kitagawa)
    ⑤ Tadd's Delight (Tadd Dameron)
    ⑥ Mahjong (Wayne Shorter)
    ⑦ Tell Me Why (Kiyoshi Kitagawa)
    ⑧ Hot House (Tadd Dameron)
    ⑨ Pinocchio (Wayne Shorter)
    ⑩ You've Changed (Carey / Fisher)
  ■録音メンバー
    北川潔 (bass)
    ケニー・バロン/Kenny Barron (piano)
    ブライアン・ブレイド/Brian Blade (drums)
  ■レーベル
    澤野工房



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マイ・ファニー・ヴァレンタイン (My Funny Valentine)

2006年02月14日 | 名曲

                       ♫映画「恋のゆくえ」で、「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」をはじめとして、ステキな歌声を聴かせてくれるミシェル・ファイファー。
 

 

 ヴァレンタイン・デーにはとくに楽しい思い出はないです。
 学生時代、2月13日には、「明日は歯医者を予約しておいたぜ!」とか「明日は(チョコを入れる)段ボール箱を持ってこなくちゃな~」などと豪語していたものでした。言うのはタダですから・・・。(笑)
 そして2月14日の朝は、いくばくかの期待を抱いて家を出るんですよ。でも夕方にはたいてい肩を落としてトボトボと家路につくのです。そして枕をソッと濡らす・・・(笑)。


 自分に彼女がいない状態の時には、「もしかして誰かが想いを寄せてくれているかもしれないな~」なんてワクワクドキドキしてしまいますよね。その気分がまた「青春」だったりするんです。1年のうちの2月14日くらいはその程度の妄想、アワワ、期待を抱いても許されるでしょ?
 で、ヴァレンタイン・デー当日の夕方にはあえなく轟沈・・・


 たしか高校1年のヴァレンタイン・デーだったかなあ、教室の教卓上に貼られている座席表の、チョコを貰えた男子の席の部分に、女子の誰かがラインマーカーで色を塗っていくんです。
 休み時間がくるたびに、教室にはよそのクラスの女子(たいていふたり連れなんですよね)がやって来て、誰かを呼び出すんですね。呼ばれたヤツが戻って来た時には、必ず包みを持っている。そして座席表が歓声とともに、ひとマスまたひとマスと塗られてゆく・・・。とくにその時のクラスは、呼ばれて出て行く男子がとても多かったので、「そろそろオレの番かな~」、と少なからず期待を抱いてしまったのがマチガイでした。
 3時間目が終わり、4時間目が終わり、昼休みが終わり、そして6時間目が終わっても誰もぼくを呼びに来てくれなかったもんな~。ヘタに期待してしまったぶん、その日は、それはそれはガックリきたものでした。「アイツが貰えて、なんでオレが貰えないのだ~~、ううう・・・


 ちなみに、「ヴァレンタイン・デー」の起源とは・・・。
 3世紀のローマにヴァレンタイン司祭という人がおりました。
 当時の皇帝クラウディウス2世は、強兵策の一つとして、里心がつかないよう、兵士たちの結婚を禁止していましたが、ヴァレンタイン司祭はこれに強く反対し、皇帝の命令に背いて多くの兵士たちを結婚させました。これが皇帝の逆鱗に触れたため、ヴァレンタイン司祭は殺されてしまいました。この日が西暦270年(269年、という説もある)の2月14日だったのです。そしてその殉教の日が「ヴァレンタイン・デー」となった、というわけです。ただし、この由来には諸説あって、真偽のほどは定かではないそうです。
 のちヴァレンタイン司祭は、「聖ヴァレンタイン」として敬われるようになり、ローマカトリック教会は、この2月14日を「聖ヴァレンタイン」の死を悼む祭日と定めました。そして14世紀頃からこの日は、若者たちが愛の告白をしたり、愛し合うふたりが愛を確かめ合う日になった、という事です。


 毎年この時期になると、ジャズのライブで演奏する機会の多いのが、スタンダード中のスタンダード・ナンバーである「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」という曲です。客席にカップルなんかがいたりすると、恋とヴァレンタイン・デーとに引っ掛けたMC(曲間のおしゃべり)を入れたりしてますね。
 ぼくの大好きな映画、『恋のゆくえ』(出演…ミシェル・ファイファー、ジェフ・ブリッジス)のエンド・ロールで、ミシェル自身の歌う「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」を聴くことができます。とてもジーンとくる美しい歌声です。


 「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」は、マイナー調の曲で、スロー・バラードとして演奏されることが非常に多いです。
 フランク・シナトラ、マイルス・デイヴィス、エラ・フィッツジェラルドなどの歌や演奏で有名ですが、ジャズ・ミュージシャンならば、ほとんどが必ず一度は演奏したことがある、といってもいいでしょう。


 歌い出しのメロディーはとってもクラ~いんですが、歌詞は、「あなたってなんて冴えないの。でも私を愛しているのならそのままでいてね」という、ちょっとカワイラシイ内容です。
 これに似た歌詞を持つ有名な曲、ほかにもありますね。そう、ビリー・ジョエル作の「素顔のままで」です。
 今のままで、いつまでもそのままでいてほしい、という想いは、今も昔も変わらないみたいですね。


 さあ、今日は日本中でいくつの恋が芽生えるんでしょう。愛を告白するために、勇気を振り絞って好きな男性のところへ向かう女性全員にエールを送ります!


【マイ・ファニー・ヴァレンタイン】
■作詞…ロレンツ・ハート
■作曲…リチャード・ロジャース
■1937年

わたしのおかしなヴァレンタイン
わたしの可愛くておかしなヴァレンタイン
漫画みたいなあなたのルックスはわたしを笑わせる
滑稽な顔、写真に向かない顔
あなたの容姿はギリシャの彫刻より見劣りがするし
口つきもヘンだし
話し方もスマートではない
でも、わたしのために髪の毛一本も変えないで
わたしを愛しているならそのままでいて
そうしたら毎日がヴァレンタイン・デーね




 

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宝クジ当選にまつわる妄想

2006年02月13日 | 随想録

♪もしぼくにジャンボ宝クジ1等3億円が当たったら、この拙ブログの愛読者の皆さんにもシアワセ気分をお分けします。さあ、遠慮なくお持ちになって、さあさあ(笑)


 先日のライブ終了後、お店のママ(通称『お母さん』)ととりとめもない話をしておった、と思って下さい。
 話題は、不景気→金欲しい→儲かる手段→「株」。
 個人投資家が増えてはいるけれど、やはりそれなりの勉強をしなければ儲けることは難しいようですね。
 ほら、こないだ瞬時のうちに何億だか何十億だか稼いだ「ニート青年」、いましたよね。「あれはニートなんかではなくて、一日中株に目を光らせている『個人投資家』なのよ。それなりに元手と時間を費やしてこそ利益が得られるのよ」というのが「お母さん」の見解です。そうですよね~、そんなにうまい話は転がってるはずないもんね~。
 「素人は『投機』ではなくて、貯蓄がわりの手堅い『投資』が安全なのよ」「なるほどね、ほうほう」、なんてことを話しておったわけです。


 次に手軽な一攫千金法、といえば、皆さんもご存知の「宝クジ」。
 ぼくね、未だに宝クジというものを買ったことがないんです。なぜかというと、もし1等でも当たろうものならその瞬間人生の運をすべて使い果たすことになるのではないか、というオソロシサを感じているからなのです(笑)。ナニ?、そういう心配をするヤツのことを「アホ」という?・・・ウムムム、おっしゃる通りです (『杞憂』とも言いますな。高校時代に漢文で習った気がするぞ・・・


 で、話は、「もし1等が当たったらどーしよ~(・∀・)」という現実逃避方面へ向かっていったわけですが・・・
(お母さん)「お店の経営ってね、不景気の波をモロにかぶるからもうた~いへん。それにJAZZって儲からないしね~ ピアノも買い換えられないわ~」
(MINAGI)「なーに言ってんですか、もしぼくが1等当てたらピアノくらいプレゼントしますよ~」
「いやーホンマ?(^^) 今ね、ベーゼンドルファーの中古が600万だか800万だかで出てるらしいのよ~ イ~イ?(*'▽'*)」
「アッハッハ(´▽`)、800万くらいなんですか、そんなチッチャイこと言ってたらダメですよ。わかりました。ここはぼくがいつもお世話になっている店じゃないですか~(ホームグラウンドみたいなとこなんです)。大事な店には良い楽器を置いて欲しいもんです。よござんす、ぼくがベーゼン買ってあげます!」
「キャー
などというシアワセな妄想、いやいやいや会話を繰り広げておりました。


 でも、高額賞金が当たった人のアワレな末路、というのは時々聞く話です。
 ぼくの「人生のお師匠様」的な方が、以前ぼくにおっしゃったことがあります。その時もなぜか話が世間話から宝クジの方へ行っちゃったんですが。
 「MINAGIくん、アンタもし1等当たったら3分の2は私に出しなさい」
 「ななななんですって!3分の2も!じゃあ3億当たったらぼくの手元には1億しか残らないじゃないですか(当たってもないのに本気でビビッた情けないワタクシです)」
 「その考え方がダメなのよ~」
 つまり、「独り占めしようとする心」「欲で満たされた心」がその人の人生を狂わせるのだ、とおっしゃるわけです。その師匠は、ぼくから取り上げた(笑)2億のうち半分はしかるべきところに寄付し、残りの半分は福祉のために使う、とおっしゃり、必ず3分の2はよこすように、と固く約束させられたんです。
 その時は「なんでやねん」と思ったんですが、今ではその意味がよーくわかるようになりましたよ。(しかし2億は大きいですな・・・


     
     今現在わが家にある一番大きなお金。1億円。


「だから自分の周りにいる人にもシアワセを分けてあげたいって考え方になったんです(註・キライな人は除く 笑)。その気持ち、わかるでしょ? ぼくも、自分さえ良ければ、みたいな考え方のせいで不幸になりたくないしねー」
「それは、たしかにそうなのよねー。自分のことしか考えられない人、すごく多いじゃない? それにお金で全部をまかなうんじゃなくて、自分も一生懸命働きたいもん」
「じゃ、お母さん、ピアノ買って、呼びたいミュージシャンを毎月呼んでライブするっ、てのはどう?」
「いやーーー、それいいワ~~ わたし、ハービー・ハンコック呼びたーい
「わかりました! ハービーに来てもらいましょう!ワッハッハ~ あ、ベースはボクに弾かせてね~(嬉)


 例えば経費が100万かかるミュージシャンがいるとします。1000人収容のホールでライブをすると、単純にチケット代はひとり1000円で済むんですが、100人収容のライブハウスでライブするとしたら、チケット代はひとり1万円になっちゃうんですね。ここらがライブハウスの経営のたいへんなところのひとつでもあるわけです。


 ということで、もしぼくに3億当たったら、ピアノを買って、ハービーやキース・ジャレットや、チック・コリアなんかに月替わりで来て頂くことに決定しました。そのほか、売れてなくても良い音楽を生み出しているミュージシャンにも来てもらおうっと。
 そして、他のお世話になっているみんなにもシアワセのおすそ分けをするのだ。
 こういう妄想、いやいや夢(笑)は自分の心をアッタカにしてくれますね。


 あ、その前にまず宝クジ買わねば・・・ 


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不眠とジャズ

2006年02月12日 | 随想録

♪今日はとくにUPするようなモノがないからMy Bedの写真でものっけてみますわ。近頃不眠気味だからあんまり会ってないです(笑)♪


 昨夜のライブではまたもやハイ・テンションになってしまい、帰りにクール・ダウンしようと友人のバーに寄ったのはいいけれど、たわいもない話で盛り上がってしまって、コーヒーしか飲んでないのに、さらに浮かれてしまうハメになった私です。(^^;)


 家に帰ったのが午前3時過ぎ。それから今メチャメチャ気に入っている『プレイヤー』(北川潔トリオ)をまたもやしつこくも繰り返し繰り返し聴き倒したあげく、このアルバムの持っているエネルギーによって完全に不眠と化してしまいました。
 そして、ミュージシャンそのものの世界観が感じられるような、濃くて手ごたえのあるジャズがもっと聴きたくなって(ちょっと症状が中毒っぽい)、手当たり次第に聴いていたら夜明かしどころか、もう昼過ぎてしまいました。(-ω-)♪


     
     サンタナ&マクラフリン 『魂の兄弟たち』


■カルロス・サンタナ(g)&ジョン・マクラフリン(g)
 『魂の兄弟たち』(1973年)
 この頃のこのふたりって、インドの宗教家、スリ・チンモイ師に心酔していた影響で、精神面をとても重視した演奏を繰り広げているんです。ギター(ふたりともギタリスト)で神と愛を崇め奉っているような。とくに4曲目の「神の園へ」で聴かれるふたりのスピリチュアルでドラマティックなスーパー・ギター・バトルが凄い。濃いな~


     
     ゲイリー・ピーコック 『ヴォイセズ』と『イーストワード』


■ゲイリー・ピーコック(b)
 『ヴォイセズ』 『イーストワード』
 キース・ジャレット・トリオの一員で、今やジャズ界有数のベーシストとして活躍しているゲイリー・ピーコック。彼は東洋思想に大きく影響され、1970年からの約2年間、京都と東京で暮らしていましたが、この2枚のアルバムは、その滞日中に録音されたものです。ピアニストの菊地雅章との「対話」がこれまたまるで修行僧同士の問答のようにも聴こえる、不思議な雰囲気を持った作品です。ひと気のない静かな山奥で聴くとさらに浸ることができるかも。ひょっとすると、出家の気分を味わえるかもしれんぞ。


     
     キース・ジャレット 『ケルン・コンサート』


 そのほかにも、キース・ジャレットの『ケルン・コンサート』、『サムホエア・ビフォア』とか、コルトレーンのアルバムとか、そんなのばっかり聴いてたので、今のぼくの精神状態はとっても敏感(笑)。音楽の影響って、アナドレません。
 そしてその勢いで、澤野工房に北川潔トリオのファースト・アルバム『アンセストリー』を注文いたしました。きみ駒さんtaechiさん、届いたアカツキには、噂のライナー・ノートの内容を報告をさせて頂きますので、お楽しみに。


 結構不眠の日々が続いているせいで、今日は完全なナチュラル・ハイであります。誰にも止められないこの勢いで、今から部屋の掃除でもやったろやないかい、うぉっしゃあああーー!(折角勢いがあるのに、そんな所帯じみたことしか思いつかないのがナサケない・・・


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プレイヤー (Prayer)

2006年02月10日 | 名盤


 今日は1980年代のポップス・ロックのセルフ編集盤を聴いてたんだけど、なんだかリズムに神経を逆なでされるような感じで、疲労感だけがつのりました。
 とくに打ち込み系の、あの感情の起伏のないリズムがダメだ~。
 人間、その日によって楽しかったり、落ち込んだり、悲しい気分だったりするように、今日のぼくは80年代ポップスの気分じゃなかったってことですね。
 それで、プレイヤーの息遣いが感じられるような音、意思が伝わってくるような音が無性に聴きたくなって、CD棚から取り出してきたのが、買ったばかりの北川潔氏(bass)のリーダー・アルバム『プレイヤー』でした。
 これは、北川氏のサード・アルバム(ベース・ソロ作品を含む)です。全9曲中、北川氏のオリジナルが5曲。残り4曲は、ウェイン・ショーターやオーネット・コールマンなどのジャズ・オリジナル曲です。


 北川氏は1988年からニューヨークを拠点としてワールド・ワイドに活躍している、日本の誇るジャズ・ベーシストのひとりです。現在はジョン・ファディス(tp)や、ケニー・バロン(pf)のグループをはじめとして、さまざまなプレイヤーから引っ張りだこ。
 北川氏の音は、以前彼が小曽根真トリオに在籍していた時に聴いたことがあり、その頃から彼の深くてツヤのあるプレイに興味を持っていました。
 リーダー・アルバムを出したというニュースを聞いてからはCDを買おう買おうと思いつつ、ようやくこのたび『プレイヤー』を買わせて頂いた、というわけです。


     
     北川 潔(bass)


 ベーシストのリーダー・アルバムというと、ベース・プレイのみにスポットが当たりがちです。それはそれである意味当然なわけですが、北川氏のこのアルバムからは、「ベーシスト」としてばかりではなく、「ミュージシャン北川潔」の中にいつも湛えられているであろう「彼自身の音楽」が強く感じられます。
 これぞジャズ、って感じ。きっと、こういうサウンドがいつも北川氏の心の中で鳴っているんだろうな。深くて、広い世界です。
 北川氏の発揮するリーダー・シップが明確に感じられるうえ、ピアノのケニー・バロン、ドラムスのブライアン・ブレイドという凄腕ふたりとの息もピッタリ合っているようです。彼らふたりは、北川氏自身の音楽観をしっかりとくみ取ったうえで、自分たちの音を積み重ねているのでしょうね。


 北川氏のベースの語り口、とてもはっきりした意思を持っているように聴こえます。その「意思」がリスナーであるぼくを時にはリラックスさせ、時には興奮させてくれるのです。
 そしてアルバムを繰り返し聴けば聴くほど、三人の楽器を通じたやりとりがとてもスリリングで、楽しく感じられます。
 耳ざわりが良くて甘ったるいムードのアルバムではないけれど、真摯で骨太な「北川潔の世界」に存分に浸ることのできる、アーティスティックな作品だと思います。


     


 これはファースト・アルバムの『アンセストリー』も買わねば。


 余談ですが、この『プレイヤー』、発売元の澤野工房から直接買わせて頂いたのですが、同封の納品書に、手書きで丁寧なお礼の言葉が書かれてあったのにはちょっとビックリ、ちょっと感激。お客ひとりひとりをとても大切にしているような気がして、いっぺんで澤野工房のファンになりましたよ。



◆プレイヤー/Prayer
  ■演奏
    北川潔トリオ
  ■リリース
    2005年
  ■録音
    2005年2月16日~17日 (システムズ2 ニューヨーク市ブルックリン)
  ■プロデュース
    北川潔 & 篠田博嗣
  ■レコーディング・エンジニア
    マイク・マルシアーノ/Mike Marciano
  ■収録曲
    ① Guess What (北川潔)
    ② Back Stage Sally (Wayne Shorter)
    ③ Prayer (北川潔)
    ④ Catch And Release (北川潔)
    ⑤ Etude In Three (北川潔)
    ⑥ Evidence (Thelonious Monk)
    ⑦ Oleo (Sonny Rollins)
    ⑧ Lonely Woman (Ornette Coleman)
    ⑨ A Place To Remember (北川潔)
  ■録音メンバー
    北川潔 (bass)
    ケニー・バロン/Kenny Barron (piano)
    ブライアン・ブレイド/Brian Blade (drums)
  ■レーベル
    澤野工房

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爪切り

2006年02月09日 | 見る聴く感じるその他
♪まるでぼくのために誂えたような図柄。気に入ってます。


 気になる。
 爪の長さが微妙に気になる。
 ってこと、わりとありましてねぇ。
 弦楽器ってものを弾いていると、演奏の最中に爪の状態が気になること、ままあるわけなのですよ。


 左手(弦を押さえる側)の爪が伸びていると、弦を押さえきれていないような感じがするし、爪が指板に当たってコツンコツンと余計な音が出ているような気がしてならない。
 右手(弦をはじく側)の爪が伸びていると、爪先に弦が引っ掛かって音色がガリンガリンいってるような気がする。もう気になって気になって仕方がありません。それになにより気色ワルイ。爪が伸びたままムリに弾いていて爪を割ったこともあるもんですから。
 伸びている、といっても、ほんの0.何ミリかくらいの微妙なとこなんです。
 これが短く切りすぎると、逆に爪先がはがれるような感じがしてきて、イタイ。
 爪先が指先に沿ってきれいにカーブしていないと、これまた気になります。
 こうみえて、爪に関して「だけ」は神経質なのです。


 そういうわけで手放すことができないのが、「爪切り」。
 これがまた、なかなか気に入ったものに巡り合えなかったのです。
 大きすぎると深爪しそうでイヤだし、小さすぎると爪先をキレイにカーブさせづらい。手ごろなサイズに限ってすぐに行方不明になるし。
 それに、妙に切れ味が悪かったり、切り口がギザギサになったり。。。
 爪切りひとつのためにチマナコになって店から店へと探し歩くのもメンドーですしねぇ・・・。
 それにだいたい爪切りって、ナニ屋さんに売ってるんだろう?


 というような小さな悩み(笑)を抱えていた矢先の昨年暮れ、友人のクレイアート作家・MIKIさんに頂いた爪切りがすべてを解決してくれました!
 見てください、この図柄!ベース弾きのワタクシにピッタリではないですか。
 それに爪の幅に合った爪切りの大きさといい、切れ味といい、とっても気に入っています。
 しょっちゅう持ち歩いているので、よく外出先で爪を切ったり研いだりしています。もうほとんどネコ状態です。でもご安心下さい。柱で爪を研ぐには至っておりませんから。


 もし今、小学校時代のあの「身の回り検査」があったら、「爪はきちんと切ってありますか」という項目だけは必ず二重丸◎をもらう自信があるぜ!(笑)


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ザ・ヴェリー・ベスト・オブ・シェリル・クロウ

2006年02月05日 | 名盤


 例によって、今日の午前中、CDショップと本屋さん巡りをして来ました。 
 今では、「Amazon」という強力な味方がいますから、わざわざ店に足を運ばなくてもじっくり商品を選ぶことができるんですけれどね。
 でも、お店の陳列棚を丹念に丹念に探し、ようやく欲しいものに出会えた時に感じる喜びも捨て難い楽しみなのです。やっぱりぼくはアナログ人間みたいです。


 興味のあるミュージシャンの最新作などには一応アンテナを張っているつもりなのですが、ぼくがCDを買う時は、「聴いてみたい」と思えるものを優先して買ってしまうので、どうしても「流行」には疎くなりがちです。とくに1960~70年代のジャズやロックばかりあさっていると、「ヒット・パレード」とはどんどん縁遠くなってしまうんです。なるべくたくさんの良い曲と出会いたい、というのが本心なんですけれど。


 今日は10枚近くもCDを買ってしまいました。もちろんどうしても「予算」というものを考えなくてはならないので、なるべく2000円前後の再発価格のもの中心に目を光らせてましたけれどね(笑)。
 その中で、ふと「シェリル・クロウ」のアルバムに目がとまりました。彼女の歌は、オムニバスもので何曲かは聴いたことがあった程度なんですが、おぼろげに「数少ない女性正統派ロック・シンガー」だというイメージがあって、多少興味は持っていたのです。ベスト・アルバムだし、1980円というお手頃価格(笑)だったのも魅力です。「縁があった」ということで、我が家に来て頂きました。





 今日はとても天気の良い一日でした。シェリルのアルバムは、そんな午後の明るい部屋の中で少し音量をあげて聴くにふさわしい雰囲気を持っていました。
 ナチュラルな歌声が心地いいですね。
 派手ではないけれど、柔らかく陽が射すような、ごく自然に共感できるような歌声です。
 奇を衒わないストレートな曲作りがなされています。
 カントリーやフォーク、ブルースなどのアメリカ特有の音楽が気持ちよく反映されている、土の香りのするどっしりしたロック、といった感じです。好きだなぁ~、こういうの。
 何度か繰り返して聴いていますが、聴けば聴くほど音と声が温かくぼくに迫ってくるのです。





 収録曲の中では「All I Wanna Do」、「If It Makes You Happy」、「Run, Baby, Run」、「There Goes The Neighborhood」などがとくに印象に残りました。
 ショウ・ビジネスの世界にありがちな、女性としてのセクシャルな部分を強調した外見ではなくて、「彼女自身の存在」というものがきちんと感じられる容貌にも好感が持てますね。


     

 
 音楽の先生だったというシェリルの前歴を何かで読んだことはあります。
 つい最近では、「婚約者との破局」というニュースで彼女の名前をなんとなく耳にしたばかりだったのですが、もしかしてCDショップの店頭で彼女のアルバムが目にとまったのも、それらのニュースが、ぼくの頭に彼女の名前をうまくインプットしてくれていたからかもしれません。
 でもおかげで、またお気に入りのミュージシャンが増えました。






◆ザ・ヴェリー・ベスト・オブ・シェリル・クロウ/The Very Best Of Sheryl Crow
  ■歌・演奏
    シェリル・クロウ/Sheryl Crow (vocals, guitar)
  ■リリース
    2003年11月4日(アメリカ)、2003年10月13日(イギリス)
  ■プロデュース
    シェリル・クロウ、ビル・ボットレル、ガース・ファンディス、キッド・ロック、ジョン・シャンクス、ジェフ・トロット
    /Sheryl Crow, Bill Bottrell, Garth Fundis, Kid Rock, John Shanks, Jeff Trott
  ■収録曲
    ① オール・アイ・ワナ・ドゥ/All I Wanna Do (Wyn Cooper, Sheryl Crow, David Baerwald, Bill Bottrell, Kevin Gilbert)
    ② ソーク・アップ・ザ・サン/Soak Up The Sun (Crow, Jeff Trott)
    ③ マイ・フェイヴァリット・ミステイク/My Favorite Mistake (Crow, Trott)
    ④ ザ・ファースト・カット・イズ・ザ・ディーペスト(アルバム・ヴァージョン)/The First Cut Is The Deepest (Cat Stevens)
    ⑤ エヴリデイ・イズ・ア・ワインディング・ロード/Everyday Is A Winding Road (Crow, Brian MacLeod, Trott)
    ⑥ リーヴィング・ラス・ヴェガス/Leaving Las Vegas (Crow, Bottrell, Baerwald, Gilbert, David Ricketts)
    ⑦ ストロング・イナーフ/Strong Enough (Crow, Bottrell, Baerwald, Gilbert, MacLeod, Ricketts)
    ⑧ ライト・イン・ユア・アイズ/Light In Your Eyes (Crow, John Shanks)
    ⑨ イフ・イット・メイクス・ユー・ハッピー/If It Makes You Happy (Crow, Trott)
    ⑩ ラン、ベイビー、ラン/Run, Baby, Run (Bottrell, Baerwald, Crow)
    ⑪ ピクチャー(キッド・ロック・デュエット・ヴァージョン)/Picture (Kid Rock Featuring Sheryl Crow) (Kid Rock)
    ⑫ カモン・カモン(コアーズ・ヴァージョン)/C'mon C'mon (Featuring The Corrs) (Crow)
    ⑬ ア・チェンジ・ウッド・ドゥ・ユー・グッド/A Change Would Do You Good (Crow, MacLeod, Trott)
    ⑭ ホーム/Home (Crow)
    ⑮ ゼアー・ゴーズ・ザ・ネイバーフッド/There Goes The Neighborhood (Crow, Trott)
    ⑯ アイ・シャル・ビリーヴ/I Shall Believe (Crow, Bottrell)
    ⑰ レッツ・ゲット・フリー/Let's Get Free (Crow)
  ■録音メンバー
    シェリル・クロウ/Sheryl Crow (acoustic-guitar, 12st-guitar, piano, bass, vocals, background-vocals)
    トム・ブコヴァック/Tom Bukovac (electric-guitar)
    ポール・フランクリン/Paul Franklin (steel-guitar)
    キッド・ロック/Kid Rock (guitar, vocals)
    ケニー・オルソン/Kenny Olson (guitar)
    ジミー・ボーンズ/Jimmie Bones (keyboards)
    ジェイミー・ムホベラック/Jamie Muhoberac (keyboards)
    マット・ローリングス/Matt Rollings (piano)
    マイケル・ローデス/Michael Rhodes (bass)
    ジョン・シャンクス/John Shanks (bass, electric-guitar, background-vocals)
    シャノン・フォレスト/Shannon Forrest (drums)
    エイブ・ラボリエル・ジュニア/Abraham Laboriel Jr. (drums)
    シャーリー・ヘイデン/Shirley Hayden (background-vocals)
    ミスティ・ラヴ/Misty Love (background-vocals)
  ■チャート最高位
    2003年週間アルバム・チャート アメリカ(ビルボード)2位、イギリス2位、日本(オリコン)11位
    2003年年間アルバム・チャート アメリカ(ビルボード)179位、イギリス32位
    2004年年間アルバム・チャート アメリカ(ビルボード)9位
  ■売上枚数
    約401万枚(アメリカ)

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「演奏すること」に対する想い

2006年02月04日 | 価値観
♪ワタクシ、お呼びがかかるのならイラクでも北朝鮮でも行かせて頂く覚悟であります。いつでも呼んでくれ給え(^^)


 ぼくが「楽器を弾く仕事」のオファーを受ける時にモットーとしていることがいくつかあります。


 1.ギャラの金額が安いからというだけで断わることはしません。事情を正直に教えて下されば金額の大小は問題ではないのです。ただし約束を守って頂けない人の仕事は、二度とは受けません。
 2.現場(ライブ会場。ハコ。)の大小で断わることはしません。どんな小さな会場でも全力投球させて頂きます。
 3.ジャンルで仕事を選ぶようなことはありません。ロックだろうがジャズだろうが演歌だろうが民謡だろうが、プレーヤーとしてのぼくを信頼して下さって依頼して下さるのならば、喜んで演奏させて頂きます。
 4.(自分が雇われて行く場合)他のメンバーが誰であろうと文句は言いません。
 (この4ヶ条はごくごく当たり前のことではありますが。)
 つまりですね、
「呼んで頂けるのであれば、イラクであろうが北朝鮮であろうが、喜んで馳せ参じようではありませんか」
というのがぼくのモットーなんです。(われながらアホや~と思います。でもほんとにイラクから依頼が来たら、やっぱりちょっとコワいな~。でもでも一応行くつもりで悩むだろうな~笑)


 ところが最近、上の「4」についていろいろ考えることがある。
 ぼくが切実に「共演したい」と思う人は、
①「命がけで」演奏しているアツい人。
②「命がけで」感動を聴衆に与えようとしているアツい人
③演奏とその人が日頃語っている音楽観が一致している人
 などなのですが。。。


 ①②はぼくの尊敬しているあるピアニスト氏から教わった哲学でもあり、自分もそうありたいといつも心がけていることです。
 ③に関しては、有体に言うと、「ナルベクなら発言と行動が一致している人がいいな~ゼイタクは言えないけどさ」、ってことですね。例えば、「ぼくは趣味で演奏できればいいんだ」という考え方の人がマイペースで自分の楽しみのためだけに演奏するのは「言行一致」です。こういうタイプは問題ありません。もちろん、一番刺激になるのは「音楽に対してアツい考えを持つ人のアツいプレイ」なんですけれどね。
 しかし問題は、①②③に相反する人とシビアな現場を共にしなければならない場合です。中でも悩むのは、「演奏に心を込めようとはしないけれど声高に音楽のありようだけを語る人」、あるいは「声高に音楽を語ってはいるけれど、実はステージに上がって目立つことだけが目的という人」の存在です("ミュージシャンぶった人"、と表現した人がいました。厳しい表現ですが、言いえて妙だと思いました)。こういう「言行不一致」タイプの人とステージを共にすると、不信感だけがつのって大きなストレスとなるのです。


 自分の気持ちをうまく処理して解決しなければならないことだとはわかっているんですが、それでもいろいろと悩んでいた今日この頃でした。
 そんな昨夜、ある知り合いのプレーヤーのライブを観て来ました。10数人も入ればギッシリ、という小さなお店でのライブでした。しかしそのプレーヤーは汗をダラダラ流しながら、自分のできる精一杯の手を尽くして、お客さんたちに気持ちのこもった音を必死で届けようとしていました。これは彼のいつもの姿勢なのですが、こういう姿勢を持ったプレーヤーはとても貴重な存在だと思います。プロならば当然のことではあるのですが、当然のことを当然のように続けることは実は本当は大変なことなのです。ぼくはそのプレーヤーに対して敬意を払いたい気持ちで一杯になりました。
 ぼくも気持ちを新たにしなければ、少しずつでもオトナになって行かねば、そしてさらに全力を尽くして、より質の高い演奏を続けていかねば、と思った貴重な夜でした。


 余談ですが、岡山の某名物バンドのリーダーであるK氏と仲良くなれたのは、昨夜のもうひとつの小さくて大きな嬉しいことでした。とーっても気のいい、オモロイ人だったのだ。「輪が広がる」ってことも嬉しいことですね。うんうん。


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チープ・トリック (Cheap Trick)

2006年02月03日 | ミュージシャン


 『チープ・トリック』。
 このバンド、今年がデビューしてから30年目です。いつの間にか、大ベテラン・バンドの仲間入りをしてたんですね。


 ロビン・ザンダー(vo,g)とトム・ピーターソン(b)のふたりはとってもハンサム。
 対照的なのが、ギターのリック・ニールセンと、ドラムスのバーニー・カルロスです。
 キャップがトレードマークのリックはいつもおどけた表情だし、バーニーときたら、まるで雑貨屋のオヤジのような容貌。
 ハンサムふたりと、ユニークなふたりの対比が、とってもユーモラスなのです。
 しかし一見ヤサ男に見えるロビンですが、彼のヴォーカルは実にワイルドで、かつセクシー。ギターのリックやベースのトムのプレイの確かさには定評があるところですし、ドラムスのバーニーはタイトでずっしりと重いリズムを叩き出します。4人とも、実力のあるプレイヤーなのです。


     


 『チープ・トリック』は、まず日本で人気に火がついたバンドです。つまり、『クイーン』などと同じパターンなんですね。日本から逆輸入されたライヴ・アルバム(ライヴ・アット・武道館)が本国のアメリカでも評判となって、人気バンドにのしあがったわけです。
 これは、日本のロック・ファンの感性の確かさを物語る例としてよく引き合いに出される話でもあります。われわれロック・ファンとしても、ちょっとハナが高いですね。


 1970年代後半にデビューした時は、そのユニークな容貌から、いわゆる「ニュー・ウェイヴ・バンド」のひとつに見られていたこともあったようです。
 しかし『チープ・トリック』の音楽の本質は、あくまでロックン・ロールをベースにしたハードでポップなロックだと言えるでしょう。彼らの作り出す曲は、野性味がありながら、とても親しみやすくてメロディアスなのです。これが彼らの大きな特徴なんですね。
 ぼくが『チープ・トリック』を好きになったきっかけの曲は「甘い罠(I Want You To Want Me)」です。この曲の持つポップな面は、今も変わらず彼らの作品の中に生きています。


 1980年にトム・ピーターソンが脱退してからは低迷期に入り、『チープ・トリック』の明るいニュースを聞くこともなくなりました。正直もう「過去のバンド」と思ったこともありました。しかし、1987年にトムがバンドに復帰した後は、「永遠の愛の炎(The Flame)」が全米1位を獲得する大ヒットを記録し、劇的なカムバックを遂げました。
 その後も相変わらず質の良い、親しみやすいハード・ポップを発表し続けているようです。


     


 ちなみに、ぼくの愛聴曲は、前述の「甘い罠」のほか、「カリフォルニア・マン」、「サレンダー」、「サヨナラ・グッバイ」、「永遠の愛の炎」などなど、といったところです。そして最も好きなアルバムは、「天国の罠」です。


 2003年にはアルバム「スペシャル・ワン」を発表、来日公演も行った『チープ・トリック』です。ドラマーのバーニー・カルロスが病気のため一時療養していましたが、今は復帰しているようです。
 聞くところによると、今年の3月には、オープニング・アクトとして、エアロスミスのツアーに同行するそうです。デビュー30年目を迎えてさらに元気な『チープ・トリック』、早く新しい彼らの音を聴いてみたいものですね。

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