カルメン・マキ&OZが、デビュー3年目にして発表したファースト・アルバムこそ、名盤の呼び声高い「カルメン・マキ&OZ」です。
このアルバムがリリースされた頃は日本のロック界はまだ黎明期にあった、と言ってもいいでしょう。しかしそれにもかかわらず、こんなにクォリティの高いレコードを作り上げることができたのはまさに驚異的なことではないでしょうか。ぼくなどは、このアルバムは日本のロック史上に残る名盤ではないか、などと思っています。
また、この当時の女性ロック・ボーカリストといえば、他には麻生レミがいたくらいで、カルメン・マキは女性ロッカーのはしりでもあると言えるでしょう。
このアルバムには全6曲が収録されていますが、その6曲ともぼくにとっては名曲です。中でもイントロのギターのリフが印象的な「午前1時のスケッチ」、ドラマティックな構成を持つ大作「私は風」はOZの代表作ともいえるハード・ロックであり、日本のロック界が誇ってもいい名曲だと思います。そういえば、「私は風」は、中森明菜もカヴァーしていますね。
全般的にブリティッシュ・ロックの影響は伺えるものの、OZのサウンドはその焼き直しなどではなく、しっかりとしたオリジナリティを持っています。
ハリとツヤのあるマキの力強いヴォーカルと、メタリックなシャウトには圧倒されるばかりです。そしてそれに絡む春日博文のギター、単にハードなだけではなく、非常にメロディアスで、存在感たっぷりです。メンバー・チェンジの激しいOZにあって、バンドの個性をきわだたせているのがこのふたりだと言えるでしょうね。
作曲のほとんどは春日博文が手掛けていることが、OZの独特な暗さと重さに影響を与えているようです。作詞はカルメン・マキ自身と加治木剛のふたりで担当していますが、その叙情的な歌詞も、マキのヴォーカルとバンドのサウンドの魅力を充分引き出すことの後押しになっていると思います。
ぼくがカルメン・マキ&OZを知ったのは高校時代でしたが、その頃はOZはすでに解散したあとでした。ぼくは、OZのコピーバンドによって「私は風」を知り、すぐにレコードを手に入れました。一聴して大きなショックを受け、すぐに大ファンになったんです。
マキさんは今でも第一線で歌い続けています。OZ時代とはまた少し違った音楽性で活動を続けているようですが、相変わらず存在感のあるヴォーカリストとして君臨しています。
◆カルメン・マキ&OZ
■歌・演奏
カルメン・マキ&OZ
■リリース
1975年2月
■プロデュース
金子章平
■収録曲
Side-A
①六月の詩(詞:加治木剛 曲:春日博文)
②朝の風景(詞:Maki Annette Lovelace 曲:春日博文)
③Image Song(詞:加治木剛 & Maki Annette Lovelace 曲:春日博文)
Side-B
④午前1時のスケッチ(詞・曲:加治木剛)
⑤きのう酒場で見た女(詞:加治木剛 曲:春日博文)
⑥私は風(詞:Maki Annette Lovelace 曲:春日博文)
■録音メンバー
カルメン・マキ & OZ
カルメン・マキ(vocal)
春日 博文(electric-guitar、acoustic-guitar①)
千代谷 晃(electric-bass①②③⑤⑥)
石川 清澄(piano①②③⑤⑥,organ①②⑥)
古田 宣司(drums①②③⑤⑥)
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ゲスト
深町 純(piano④⑤,organ②③④⑥,melotron①,synthesizer①③⑥,clavinet①)
安田 裕美(acoustic-guitar②③⑥)
成瀬 ヒロ(electric-bass④)
西 哲(drums④)