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斎藤美奈子さんのコラム・その74&前川喜平さんのコラム・その35

2021-01-29 22:41:00 | ノンジャンル
 恒例となった、東京新聞の水曜日に掲載されている斎藤美奈子さんのコラムと、同じく日曜日に掲載されている前川喜平さんのコラム。

 まず去年の1月13日に掲載された「撃ちてし止まん」と題された斎藤さんのコラムを全文転載させていただくと、
「東京オリンピック・パラリンピックをめぐる関係者の談話は、先の戦争末期を連想させる。
 「東京大会を開催することにゆるぎない決意を持っている」(山下泰裕JOC会長)。「人類がコロナに打ち勝って東京大会を実現することは組織委員会の使命」(森喜朗組織委員長)。「自民党として開催促進の決議をしてもいいくらいだ」(二階俊博自民党幹事長)。「ウイルスとの闘いに打ち勝つ証しを刻んでいきたい」(小池百合子都知事)。「人類がウイルスに打ち勝った証しとして東京で開催する決意だ」(菅義偉首相)
 撃ちてし止(や)まん。ウイルスに打ち勝つ。精神論が先行するのは負けが込んできた証拠である
 冷静なのはむしろ市民だ。九日・十日のJNNの世論調査では、東京五輪を開催できると思うかという問いに81%が「できるとは思わない」と答えた。同日の共同通信の調査でも「中止すべきだ」と「再延期すべきだ」の合計が80.1%だ。
 昨年来の停滞ムードを払拭(ふっしょく)すべく、組織委は開催促進の宣伝を四日からはじめたが、気の毒なことに、このキャンペーンに起用された百田賢斗選手に陽性反応が出て、日本代表は遠征を断念した、
 特攻精神で五輪に突入する気だろうか。ワクチンというカミカゼ頼みの五輪大本営。原爆が落ちる前に中止を決断すべきだよ。」

 また、1月10日に掲載された「全国高校ラグビー」と題された前川さんのコラム。
「九日桐蔭学園の優勝で幕を閉じた全国高校ラグビー。僕が内心応援したチームが二つあった。
 御所実業を応援したのは、御所が僕の生まれ育った地だから。御所実業は昨年、決勝で桐蔭に敗れた。今年は準々決勝で同じ桐蔭に敗れ、雪辱を果たせなかった。
 大阪朝鮮は、過去に二回、準決勝で桐蔭に敗れている。そして今年も準決勝で桐蔭と対戦。フォワードの平均体重で百キロ対九十一キロという重量差があったが、魂のタックルで桐蔭の猛攻を阻み、モールで押し込んでトライ。前半は12対12と互角に戦ったが、後半は得点できず、こちらも雪辱はならなかった。
 百人を超える部員を擁する桐蔭に対し、大阪朝鮮の部員は三十九人しかいない。学校全体の生徒数が、二十年前の約六百人から、二百十人にまで減っているためだ。
 生徒数減少の大きな原因は、保護者の授業料負担の重さだ。それは国や大阪府の財政支援がないためだ。大阪府の補助金は2012年度に橋下徹知事が打ち切った。第二次安倍政権は、高校無償制から朝鮮学校を排除した。無償制適用を求め国を訴えた裁判は、地裁で勝訴したが、高裁で逆転敗訴。一昨年八月に最高裁で敗訴が確定した。
 あの素晴らしい試合を繰り広げた大阪朝鮮高校の生徒たちは、国と大阪府による不条理な差別とも戦っているのだ。」

 そして、1月17日に掲載された「罰したがる人たち」と題された前川さんのコラム。
「政府の新型コロナ対策法案。一つの柱は、入院勧告に従わない感染者に刑事罰(一年以下の懲役又は百万円以下の罰金)を科す感染症法改正だ。
 居住・移転の自由を制限する根拠となる公共の福祉は、厳密に考えなければならない。感染拡大防止にこの罰則が必要という立法事実が存在するとは思えない。そもそも、感染者が入院できない状況の中で、こんな改正を考える神経を疑う。
 百三十六の学会からなる日本医学会連合の緊急声明は「感染者個人に責任を負わせることは、倫理的に受け入れがたい」と述べ、「罰則を恐れて検査を受けなかったり検査結果を隠したりする恐れがあり、感染防止がかえって困難になる」と指摘している。この罰則案は撤回するべきだ。
 もう一つの柱は、休業や時短の命令に従わない事業者に行政罰(過料)を科す特措法改正だ。
 営業の自由の制限にも十分な根拠が必要だし、制限に見合った補償が必要だ。現在緊急事態宣言下の知事は、一日六万円の協力金で時短を要請しているが、もしこの程度の補償で休業を命令し違反者を罰したら、憲法違反で訴えられるだろう。
 国にも地方にも、罰したがる人たちが多すぎる。科学的根拠のある方策をとり、それを誠実に説明し、必要な財政支援を行えば、罰則などなくても、人々はおのずから行動するだろう。」

 どれも一読に値する文章だと思いました。