散るぞ悲しき
映画「硫黄島からの手紙」で初めて知った硫黄島の悲劇。その硫黄島守備陣の将軍だった栗林忠道中将(死後大将に昇進)の姿を、硫黄島の戦いを中心に綴った一冊。栗林中将の親族や硫黄島守備軍で運よく生き残った方、栗林に親しく仕えた元軍属の方などに詳細に取材を重ねて、当時の陸軍軍人とは一味違う栗林の姿を克明に写しだしている。
アメリカ留学経験があり彼我の国力の差を正確に認識しながら、死地に赴く栗林中将。映画では硫黄島での様子が中心だったが、この本では栗林中将が硫黄島から出した手紙を中心に、人間らしい栗林の様子が描かれて、それと対比するかのような大本営の参謀本部の無策ぶりがさらけ出されている。
当時もやはり人物はいたのだ。ただ、そうした人物が非主流派であり、国をコントロールしていた人たちは大きな戦略もなく陸軍と海軍の派閥争いや行き当たりばったりの方針変更などをしていたことが、大きな問題なのだろう。それはまさに幕末の江戸幕府や、現在の政治状況に重なってくる。きっと今も政界や官界に人物はいるのだろう。ただそういった人たちは、主流派になることなくひっそりと自らの役割を果たしているに違いない。そして主流を占めている人たちは、破滅へと向かって突き進んでいくのだ。
果たして、現在の政界で江戸城の無血開城や終戦の詔勅を決断するような立場の人はいるのだろうか?
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