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これまた香港カンフー映画の名作、ワンチャイシリーズを初めて観ます。アクション満載なので、スクリーンで観るのがやっぱりいいですね。
シリーズ一作目の本作では、清朝末期を舞台に屋敷で武術と医術を教えている黄飛鴻(リー・リンチェイ李連杰)が、父の後妻の妹である欧州帰りの叔母(ロザムンド・クワン關之琳)との淡いロマンスを交えつつ、地元沙河のヤクザや租界の外国人と渡り合います。
民兵の代表になっている黄飛鴻は、ヤクザと弟子のトラブルが租界におよんで役所から注意を受ける。役人たちにとっても民兵の代表で武術の達人黄飛鴻は高名なだけに目障りな存在だった。かさにかかって黄飛鴻の屋敷を襲うヤクザたちだが、黄飛鴻には敵わない。ヤクザの棟梁は目障りな黄飛鴻を殺そうとして商売相手のアメリカ人に頼み込む。その商売は、女性を奴隷としてアメリカに連れて行くものだった。当時のアメリカはゴールドラッシュで猫の手も借りたい状態、中国からアメリカへの移民を勧誘する手配師も白昼堂々とビラ撒きをしている。しかしその実態はひどいもので、アメリカへの船旅で病気になっても治療もなく現地では奴隷同然の扱い。
そこから脱出してきた人を治療していたある日、黄飛鴻が京劇を観に行くとヤクザの頼みを聞いた外国人が発砲してきて無関係な観客たちを撃ち殺します。いくら武術の達人でもさすがに銃には敵わない、空しさがあります。怪我した人たちを屋敷に連れてきて治療していると、ヤクザが焼き討ちにきて、さらにこれをいい機会と役人たちもやってきます。黄飛鴻は叔母とアメリカ帰りの病人を屋敷から逃がしますが、叔母は沙河のヤクザに捕まってしまい、アメリカへ売られる奴隷の中に入れられます。
役人に捕らえられた黄飛鴻ですが、中には高名な黄飛鴻を尊敬している人もいて牢屋から出してくれ、叔母を救出しにアメリカ租界へ潜入します。そこで沙河のヤクザと最終決戦、かつて黄飛鴻の道場に果し合いにきた武術師範と竹梯子の上での激闘カンフー対決!黄飛鴻の無影脚が炸裂する。。。
黄飛鴻を筆頭に、海岸で練習を積む一団を捉えたオープニングは、流れる主題歌『男兒當自強』の壮大さもあってカッコ良いことこのうえありません。清朝末期という外国人に中国が少しずつ侵略されていた時代だけに、外国人の描き方は『イップ・マン 葉問』にも通じる傲岸さがあり、民兵が組織されているなど清の社会の混乱ぶりも背景にあります。
冒頭に黄飛鴻が武術師範だった将軍の部隊がベトナム守備のため遠征するなど、欧米列強が中華世界を虎視眈々と狙っていた時代の空気感が、租界の様子などで伝わってきます。叔母さんが欧州帰りで写真機を持っていたり、黄飛鴻の屋敷にアメリカから医学を学びにきている青年がいたり、少しずつ西洋の文物が入り始めた社会情勢も感じられます。
武術の師範が街頭で見世物をしてもらい銭をしたり、黄飛鴻も総督から目をつけられたり、西洋の銃が幅をきかせたり、なかなかカンフーには厳しい情勢ですが、だからこそ黄飛鴻のカンフーが輝きを増していると思います。
5/29 シネマート六本木 香港電影天堂
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