まてぃの徒然映画+雑記

中華系アジア映画が好きで、映画の感想メインです。
たまにライヴや本の感想、中小企業診断士活動もアップします。

光にふれる 逆光飛翔

2014-04-30 23:32:01 | 台湾映画(は~わ行)

王家衛ウォン・カーウァイがショートフィルムを見て感動し、プロデューサーを申し出たという作品。ヒロインには『陽陽』の張榕容サンドリーナ・ピンナ、聾唖の主人公をホアン・ユィシアン本人が演じています。

台北にある大学の音楽科に進学が決まったユィシアン、初めて親元を離れて学生寮に入ることになり最初こそ母親が一緒に来て生活の立ち上げをするけれど、それがひと段落してからは一人で大学生活を送ることになる。明るいルームメイトの助けがあり音楽科の先生もユィシアンの豊かな才能を見抜いていたが、音楽科のクラスメイトは面倒はごめんだとばかりにユィシアンを避けている。

シャオジエ(サンドリーナ・ピンナ)はアルバイトで生計を立てているが、母親に反対されて一度はあきらめたダンスの夢に未練がある。たまたまドリンクを配達に行ったダンススタジオで無料体験レッスンに参加し、香港で行われるオーディションに誘われる。

やはりドリンクを配達に来た大学の雑踏の中、ユィシアンはシャオジエのひときわ綺麗な声を聴き分ける。ユィシアンが一人で盲学校に行く途中横断歩道で立ち往生していると、危うさを見かねたシャオジエはユィシアンをスクーターの後ろに乗せて盲学校まで案内する。ユィシアンの音楽の才能と真っ直ぐな心に刺激され、交流を重ねながらシャオジエはもう一度ダンスに挑戦しようと香港のオーディションを受ける。

音楽科のクラスメイトが皆出演するコンクールの日、ユィシアンはサークルのバンドで大学祭に出るつもりだったがバンドメンバーの計らいでコンクールの最後に演奏することになる。。。

柔らかな光と澄んだピアノ音色が優しい気持ちにさせてくれます。光の加減は河瀬直美監督の映像に似ているような気がしました。登場人物もいい人ばかりです。ルームメイトもサークルの仲間も音楽科の先生も、シャオジエがバイトしている店の店長もバレエの先生も、彼ら彼女らの真っ直ぐな優しさに心が洗われます。

サンドリーナ・ピンナは『陽陽』以来だけど、エキゾチックな顔立ちが綺麗で一人だけ別世界にいるみたい。バレエの先生役は有名な舞踏家らしく、踊るときの表情や視線、手足のすっとした伸ばし具合まで気品に満ち溢れています。

ユィシアン役を本人が演じていたので、ひとつひとつの何気ない所作までより一層自然な映像になっているのでしょう。コンクールのステージで照明が全て落ちて真っ暗になり他のメンバーは演奏をストップしたのに、ユィシアンだけは何もなかったかのようにピアノを弾き続けているシーンは心が震えました。ユィシアンには見えていないんだという事実が誰の目にも明らかになり、でもピアノの旋律は何ひとつ乱れることなく流れるように続いていく、映画の演出の力を感じました。

ユィシアンの夢に向かって前に進んでいく姿、できることは一人でやりたいという思いは、ダンスを諦めていたシャオジエの心にもう一度火をつけて、観ているこちら側にも夢を忘れていないか、もし夢を持っているのなら夢に向かって前に進んでみよう、という気持ちを惹き起こします。

とても爽やかな後味が残る映画でした。

公式サイトはこちら

2/11 シネマート新宿
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