まてぃの徒然映画+雑記

中華系アジア映画が好きで、映画の感想メインです。
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若葉のころ 5月一号

2016-07-02 23:16:42 | 台湾映画(は~わ行)

瑞々しい青春映画に秀作が連なる台湾から、またひとつ心を洗われる作品が届きました。

2013年、母(賈静雯アリッサ・チア)と祖母と3人で暮らしている女子高生のバイ(程予希ルゥルゥ・チェン)、親友のウェン(邵雨薇)といつも一緒だが、最近男子生徒のイエ(鄭暐達アンダーソン・チェン)が何かと声をかけてくる。母とバイがいつものように野良猫に餌をあげに行ったとき、母が車に撥ねられて意識不明の重体に。母がやっていたピアノ教室をしばらくお休みする連絡をだそうとPCを立ち上げたところ、バイは母の未送信メールを見つけた。

それは母が高校生の時の同級生に宛てたもの。1983年当時、ワン・レイ(程予希)はリン・クーミン(石知田)と同じ学校に通い、英語スピーチ大会でトップを競い合っていた。

現在(2013年)と30年前(1983年)の対比が興味深いものでした。画面の色合いは、1983年は時代を感じさせるセピアがかった感じで、現在は色鮮やか。5月の新緑が柔らかくもくっきりと映ります。スカートの丈も、バイは若さあふれる太ももの露わなミニスカートなのに対して、ワン・レイは膝丈のちょっとお堅い感じ。髪型もバイは今風のショートカットでワン・レイはおかっぱ頭と、この30年で随分変わった様子が見てとれます。台湾で戒厳令が解除されたのが1987年、政治面での自由化民主化と並行して、若者世代の文化に対する影響も大きなものがあったのでしょう。

程予希の1人二役はぴったりはまり役でした。現在のバイの親友ウェン役の邵雨薇も今どきの女子高生っぽくて可愛らしい感じです。どちらの時代も高校生の淡い恋を描いている、というところも興味を魅かれます。現代のほうが屋上に男子を呼び出して女の子から告白したり、2人でラブホテルに入ったりと少々過激ですが、根っこのところでは気になる子のお弁当を食べちゃったり洋楽レコードの訳詞を交換し合ったりする30年前と変わっていないんだろうなあ。

現代の女子高生のほうがチアダンスをしたりして元気な感じですが、30年前は女子はおしとやかに、というふうだったのか男子学生のほうがやんちゃで元気です。教師に没収されたレコードを校舎の屋上から投げまくるシーンは、実際にやったら相当怒られそうだけど抑えきれない若さが溢れだしている感じで壮観です。

リン・クーミンが兵役を終えた後香港に行っていたり、バイの離婚した父親が上海に住んでいて新しい家族がいたり、中国文化圏の心理的な距離の近さも彼らには当たり前なんでしょうが日本人から見ると軽い衝撃があります。任賢齊リッチー・レンが恋人役と聞いて「ちょっと高校生役は無理があるんじゃないの?」と思ってましたが、30年前はしっかり年相応の若手俳優が演じていて安心しました。

監督はミュージックビデオを多く手掛けている周格泰ジョウ・グーダイ、音楽や映像の動き、光の加減が綺麗でおしゃれ、爽やかなストーリーにぴったりでした。

公式サイトはこちら

6/3 シネマート新宿
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