すちゃらかな日常 松岡美樹

サッカーとネット、音楽、社会問題をすちゃらかな視点で見ます。

【プレミアリーグ 23/24 第5節】「壊れたレッズ」が辛くも逆転勝ちで4連勝 ~ウルブズ 1-3 リヴァプール

2023-09-17 12:46:56 | イングランド・プレミアリーグ
5~6点取られてもおかしくなかった

 プレミアリーグは9月16日の第5節で、ウルヴァーハンプトンとリヴァプールが対戦した。リヴァプールが3-1で敵地の試合をなんとかモノにした。中身はともかく、彼らはこれで開幕から4戦全勝だ。遠藤航の出番はなかった。

 それにしてもリヴァプールはひどいデキだった。アンカーのマクアリスターがミスを連発。つられて相方のソボスライまで変調を起こし、マクアリスターの「病気」が11人全員に伝染して行った。5~6点取られていてもおかしくなかった。

 その流れでウルブズに先制され、レッズはメンバー交代を繰り返しやっと後半に逆転した。マクアリスターがあれだけ散々な惨状をさらしているのに、遠藤は交代で出て来ない。ということはクロップによほど信頼されてないか、コンディションの問題かのどちらかだろう。

 リヴァプールのフォーメーションは4-1-2-3だ。最終ラインは右からジョー・ゴメス、 ジョエル・マティプ、ジャレル・クアンサ、アンドリュー・ロバートソンという布陣。

 中盤はアレクシス・マクアリスターがアンカーを務め、右インサイドハーフがドミニク・ソボスライ、左インサイドハーフがカーティス・ジョーンズだ。3トップは右からモハメド・サラー、コーディ・ガクポ、ディオゴ・ジョッタが構える。

ゴメスの偽SBは空振りした

 リヴァプールはビルドアップ時、ときに右SBのゴメスが一列上がって中へ絞り偽SB化する。その代わりに左IHのジョーンズが上がり、3-3-4になる。または3-2-5もある。ゴメスは縦にオーバーラップもする。

 あるいは4バックのままジョーンズが左WGのように上がり、マクアリスターとソボスライがフラットに並び4-2-4。というふうに流動的に組み上げる。ジョーンズは時にはゴール前まで出張する。攻撃好きだ。

 かたや4-5-1から4-3-3に変化するウルブズはきわめて正確にビルドアップし、攻め上がってくる。彼らのフィニッシュはボディブローのようにレッズに効いた。特にサイド攻撃が強烈で、(ウルブズ側の)左サイドからどフリーでクロスをガンガン入れてくる。レッズの右サイドの守備が噛み合ってない。

 特に35分、左サイドからWGネトが入れたクロスは完全に1点モノだった。ゴール前でフィニッシャーになった、CFマテウス・クーニャのミスに助けられた。

 クーニャはヘディングシュートしようとジャンプしたが、飛び上がるタイミングが早すぎて腰にボールが当たってしまった。それにしてもWGネトにはさんざん左サイドを食い破られた。

マクアリスターのミスで流れを失う

 前半20分までにマクアリスターは致命的な縦パスカットを食らい、27分にはなんと単独で最後尾にいる際、ボールを奪われた。このとき自陣はスカスカ。ボールを奪った敵アタッカーはゴールを目ざし、無人のレッズ陣をドリブルするーー。目も当てられない。

 かたやソボスライも21分と28分にやらかした。これだけミスすれば流れは向こうへ行く。前半7分の1失点だけで済んだのは僥倖だった。

 リヴァプールは38分に、右サイドのクロスからやっとフィニッシュの形を作った。続く46分には敵ゴール前へ波状攻撃をかけたが、シュートは2度止められた。ウルブズが2点目、3点目を取らないうちに追いつかなければならないーー。

 そんなメンタリティはわかるのだが、レッズはチームが完全崩壊し押し込まれているのに、大きくクリアしない。押し込まれて敵だらけの自陣で短くパスを繋ごうとする。まるでアルビレックス新潟みたいだ。もうヒヤヒヤして心臓が止まりそうだった。

 これで1失点に抑えているうちにレッズが逆転し、遠藤が交代で出てきて試合をビシッと締めたら痛快だろうな、などと夢想した。だがそれはまったくの身内びいきにすぎないことがすぐにわかった。

マクアリスターを下げ4-2-3-1に

 後半開始と同時に「患部」のマクアリスターをやっと下げ、クロップはFWのルイス・ディアスを入れた。攻撃的な交代である。そしてフォーメーションを4-2-3-1に変えた。ソボスライとジョーンズのダブルボランチだ。

 これで右SBゴメス、左SBのロバートソンが両翼として高く前に張り出し、そのぶんサラーは中に絞ってディアスやジョッタらと相手ゴールの鍵を開ける作業に専念する。ときにソボスライ、またはジョーンズは一列降り、両CBとともに3バックを形成した。

 クロップの修正はテキメンに効いた。ウルブズを押し下げることに成功したのだ。

 リバプールの初ゴールは55分だった。真ん中での細かいパス交換を経て、ジョッタが股抜きの縦パスを繰り出す。受けたサラーは、右ポケットからワンタッチでダイアゴナルなパス。これにガクポが左足で一度だけ触ってゴールした。やっと同点だ。

 56分にはCFガクポに代えてダルウィン・ヌニェス、左WGのジョッタに代えてハーベイ・エリオットを投入する。攻撃力を補強するイケイケの交代策だ。この1-1の時間帯は果てしなく長く感じる。

サラーは全ゴールに関与し3アシストだ

 かくてリバプールは85分に、ロバートソンが待望の2点目を取った。右のボックスちょい外から、サラーが左足アウトサイドでゴール前のロバートソンに斜めのパスを入れる。ロバートソンは左足インサイドのワンタッチで、いともカンタンにゴールへ流し込んで見せた。2-1だ。

 仕上げはレッズの3点目。91分だ。右ポケットからサラーがマイナスのラストパスを入れ、エリオットが決定打になるゴールを上げた(ただし敵DFの足に当たっていたためオウンゴール)。

 サラーは全ゴールに関与し、3アシストだ。彼をサウジアラビアに出すなんて、とうてい考えられない。

 これでリバプールは開幕から無傷の4連勝だ。内容を見ればエンジンがガタピシ鳴いているが、第3節といい今節といい、悪い試合をクロップの采配で見事に形勢逆転した。なるほどドイツ代表チームが「ウチに来ないか?」と熱く誘うのも無理はない。

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