「ふしぎなギリシャ」
✿ 地球儀の日本海よりたちまちにエーゲ海に来る人さし指は 松井多絵子
15分前にサッカーW杯は終わった。ギリシャと日本はドロー。悔しいがほっとする。ドローという語感は重い。とりあえず何とかなったが後がヤレヤレ、どんより曇った空のような、晴れるかもしれないが雨がふるかも、そんな感じである。でも相手が私の好きな国・ギリシャ。 応援したい国なのだ。私がギリシャをに初めて訪れたのは20年以上前の秋、あこがれのアテネの街はいたるところにゴミが放置されていて、あきれた。ゴミの収集が遅れているらしかった。しかしアクロポリスの丘のパルテノン神殿が素晴らしかったこと。残された石柱が光を浴びて白く、ま白く丘の上に立っていた。
✿ 想像は自在なれとぞ柱のみ残されており古代の神殿
あの白い柱は円柱、なかほどは特に太い円柱だった。近づくほど力強さが迫る円柱。古代ギリシャの力を感じた。劇場の遺跡も楽しかった。秋の終わりだったが晴天に恵まれ遺跡が白く白く広がっていた。
✿ 光線を折り曲げ風を倒しつつ劇場遺跡の石段おりる
✿ レリーフの春の花野に横たわる裸婦よあなたの背(そびら)を見たい
2度目にギリシャを訪れたときも秋、オリンピックの前の年だった。準備が遅れているとか アテネの車の渋滞に悩まされた、しかし近代化が遅れていることが、古代をたやすく私に近づけてくれた。ギリシャ人は怠けものだから斜陽の国になるという人もいる。でもサッカーで日本には負けるだろうと思わせながら、引き分けだった。経済も非情にキビシイと言われながらも生き延びているではないか。ギリシャを想いながら目をとじればオリーブの木々がひろがる。濃い緑、葉裏は白っぽい、風にゆれるオリーブの葉をおう。
✿ オリーブの木々はわたしを眠らせぬ窓にみどりの古代のささやき
ふしぎな国ですねギリシャは。神様が日本とのサッカーの試合を引き分けにしたのではないかしら、 、
6月20日 松井多絵子