軽井沢からの通信ときどき3D

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雲場池の水鳥(28)トモエガモ

2024-03-08 00:00:00 | 野鳥
 今回はトモエガモ。この種も雲場池では珍しい部類に入り、今季初めて、それもほんの一瞬だけ姿を見たという状況である。

 それでも、なぜ取り上げるかというと、このところ国内数か所で異常な大集団が目撃され話題になっているからである。
 
 まず、いつもの「原色日本鳥類図鑑」(小林桂助著 1973年保育者発行)の記述を見ると、次のようである。

 「形態 ♂は頭上、喉は黒。顔は黒、淡黄かっ色、金緑色で美しい模様をなす。嘴峰35~39mm、翼長190~220mm、尾長76~98mm、跗蹠32~38mm。背は灰青色で下方は黒かっ色。肩羽長く延び白、黒、黄かっ色の縦しまとなる。胸は淡かっ色にて黒色丸形はん散在。胸側には顕著な白色の一横はんがある。♀はコガモの♀に似ているがやや大型で嘴の基部に円形の白色はんがあるので容易に識別できる。

生態 シベリア東部で繁殖し、冬季は中国南部にまで渡る。我国には秋期多数渡来し、本州中部以西に多い。近畿地方では厳冬には一時数を減じ春季再び数を増す。淡水に生息し昼間でも海洋上にはあまり出ない。

分布 北海道・本州・八丈島・四国・九州・対馬などに渡来する。」

 ここには、大集団に関する記述はないが、「野鳥観察図鑑」(2005年 成美堂出版発行)には次のような記述がある。

 「・・・一般に数は少ないが、北陸地方には比較的多く、石川県の片野鴨池では年によって大群が見られることもある。・・・」

 雲場池でこのトモエガモを見かけたのは、今年1月20日のことで、数羽のカモが頭上を旋回して飛んでいるのを目で追っていたら、数十メートル先の雲場池の下流域近くに着水した。大きさや形態が見慣れない様子であったので、超望遠レンズ越しにみると顔の模様からトモエガモとすぐに判った。

 観察・撮影できたのはほんの一瞬で、すぐに飛び立ち、ややしばらく上空を旋回して、再び雲場池の、今度は奥の方に着水したので近寄ろうとしたところ、飛び立って行き、もう戻ることはなかった。

 他の水鳥に比べ、とても警戒心が強いようであったが、撮影できた姿は次のようである。

トモエガモのペア 1/2(2024.1.20 撮影)

トモエガモのペア 2/2(2024.1.20 撮影)

 初めて見る種であるが、時々出かけている安曇野の、御宝田遊水池(ごほうでんゆうすいち)にある看板には、この美しいトモエガモが絵入りで紹介されているので、是非見てみたいものと思っていたが、これまで果たせないでいた。

 そのトモエガモが思いがけず雲場池に現れたのであったが、先に書いたように、今年は年初からこのトモエガモが大群となり各地に現れているとのニュースに接していたので、なにかそうしたこととの関係でもあるのかと思ったのであった。

 トモエガモをウィキペディアで調べてみると、次のような記述に出会う。

 「カモ類の中では最も美味であるとされる。そのため古くはアジガモ(味鴨)や単にアジ(䳑)と呼称されることもあった。・・・
 開発による生息地の破壊、乱獲により生息数は激減している。・・・
 1993年の大韓民国にある2か所の保護区における生息数は5,0000-5,5000羽と推定されている。
 2020年代に入ると、環境の変化などで越冬地での生息数は急増しており、島根県宍道湖では2023年度に58,000羽、千葉県印旛沼では同年度に66,000羽の飛来がそれぞれ確認されている。」

 絶滅危惧種に指定されているが、近年数を増やす傾向にあり、今年はさらにその数が増えていることになる。

 TVのニュースをひろってみると、

・2023年12月25日(ニュース番組 めざまし8)
 【なぜ?】絶滅危惧種のトモエガモが千葉・印旛沼に大量飛来! 12月中旬には5万羽以上にも!? 竜巻のような巨大な渦を形成。
・2023年12月29日(ニュース番組 イット)
 島根・松江市に27日、鳥の大群が現れ、異様な光景を作り出した。専門家は、鳥の正体は「トモエガモ」で、シベリア東北部での数の増加が日本への渡来数の増加につながっているのではと推測している。
・2024年1月20日(ニュース番組 イット)
 16日、佐賀・嬉野市でトモエガモの大群が観察された。

 雲場池ではほんのわずかの時間だけであったので、近隣に生息地があるのであればぜひもう一度見てみたいのもと思い、生息地に関する情報を調べてみたところ、次のような地名が見つかった。

 ・石川県加賀市・片野鴨池
 ・千葉県の北印旛沼、八丁堰、山倉ダム
 ・埼玉県の狭山湖
 ・八王子の長池公園
 ・横浜の恩田川
 ・大阪の鶴見緑地、大阪城公園
 ・長崎県の諫早湾
 ・島根県の穴道湖
 ・神奈川県の相模原沈殿池

 狭山湖が一番近いが、残念ながら、簡単に行けるところは見つからなかった。

 さて、雲場池の水鳥に話を戻すが、これまで4年ほど、朝の時間帯であるが観察と撮影を続けてきた。今回のトモエガモで計18種になるが、参考までに、これらをまとめると次のようである。


雲場池で見られる水鳥とその時期(夏期に見られるマガモはエクリプス)


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