軽井沢からの通信ときどき3D

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ノチーノ作り

2022-07-29 00:00:00 | 日記
 ここしばらく、ジャコウアゲハの話が続いたので、話題を変えて、最近作った果実酒のお話。

 妻がツイッターで、「ノチーノ」というクルミとウォッカで作られた果実酒があってとても美味しいらしい、との情報を得て、作ってみたいと言いだしたのは6月中旬頃のことである。

 クルミは軽井沢の山地にも自生していて、近隣の小諸市や東御市はクルミの産地としても有名なところなので、実の入手も容易だろうから挑戦してみようということになった。

 これまでにも、梅酒をはじめとして、クサボケ(ジナシ)、マタタビ、サルナシ、グミ、カリンなどの果実酒を作ってきた経験があるし、オリーブの実の渋抜きをして塩漬けを作った経験があるので、ハードルはそんなに高くない。

 問題はクルミを最適な時期に確保できるかどうかである。このノチーノは、クルミのまだ青い状態のものを用いて、中の殻がまだ固くならないうちに果実を半分か4分の1にカットして、ウォッカに漬け込むのだそうである。従って、今回のクルミの実は道の駅などで入手できるものではなく、やはり自分でクルミの木を探して、採集しなければならない。

 そこで、軽井沢の林道などを車で通った際に、道路脇にクルミの木を探して、実の付き具合を確認してみた。実を付けている木はすぐに何本か見つかったが、まだその実はとても小さく、さすがに果実酒には早すぎるようなので、あと半月ほど待たなければならないだろうと考えていた。

 一方、素材のうちウォッカの方は、早々と用意ができた。というのは、道の駅に立ち寄った時に、めずらしく青梅の「白加賀」が店頭に並んでいたので梅酒を作ろうということになり、これを買い求めて、そのあとすぐに焼酎を買いにリカーショップにも立ち寄ったのであった。店の棚にはウォッカも種々あって、ノチーノ用として80%プルーフのものを用意した。

ノチーノ作りに用意した80%PROOF(40%アルコール)ウォッカ

 翌日、ジャコウアゲハの幼虫の餌となるウマノスズクサをいただくために、小諸のMさん宅を訪問した際、Mさんがまだ外出から戻ってきていなかったので、広い庭の一角のテーブルと椅子のある所で待っていたところ、妻が足元に2-3cmほどの青い実がたくさん落ちているのを見つけた。傍らにあり、日陰を作っている木はクルミの木であった。風で自然に落ちてきたもののようで、拾い集めるとすぐに500gほど集まった。

 Mさんにそのことを告げていただいて帰ったのであるが、思いがけず早く「ノチーノ」作りの材料が揃い、早速この日の夕方「白加賀」の梅酒と共に、ノチーノ作りを開始した。

 先ず、手慣れている梅酒の方から始めたが、白加賀梅のヘタを取っている妻が、他の種の梅に比べて、ヘタを取るのに手間取るとこぼしていた。ふつうはポロリと取れるが、白加賀は包丁などで掻き取るようにしないととれないという。間もなく、この梅の実を氷砂糖と共に、ホワイトリカーで漬け込んで、梅酒の方は順調に完了し、次にノチーノにとりかかった。

 拾い集めてきたクルミの実は、さすがに表面が一部黒くなっているものも含まれている。あまりに黒くなっているものは捨てて、一部が黒くなっているものはその部分を切り取って使用したが、果実は中がまだ柔らかく、包丁で簡単に半分に切ることができた。内部には未熟な殻の構造がみえる。

 きれいな実の場合は、中も淡い緑色をしているが、なかには外からは判らなかったが、中が黒くなっているものもある。すべて、半分にカットし、傷んでいるものをより分けて見ると、1/3ほど捨てることになった。

 クルミの実はカットすると、断面がすぐに黒くなると判っていたので、貯蔵瓶にウォッカを適当量注いで準備をしておき、カットしてみて中の状態の良いものはすぐにウォッカに漬け込んでいった。

 こんな風にすると、あらかじめクルミの分量を量ることができないので、瓶を計量秤の上に乗せたまま作業を行った。

 クルミの実をウォッカに漬け込むと、ウォッカの方はクルミから出てくる果汁ですぐに黄色く変化し始めた。クルミは結局350gほどあり、すべてのクルミを投入した後で、ウォッカの量をクルミの1.5倍重量にするため追加調整し、氷砂糖はクルミの1/2重量加えた。

 漬け込んでから数時間で、ウォッカは淡黄色から濃い緑色へと変化していき、ネット情報で得たレシピに従って、瓶を振って泡立てていると次第に色が濃くなり短時間のうちに黒色へと変化していった。

 これは、クルミの実から出たタンニンが空気に触れて酸化して起きる変化だという。この瓶は、太陽光に当て、時々蓋を開けて新鮮な空気を取り入れ、そして泡立つように振ってやる必要があるという。こうすることで、熟成が進み、初めのうちは激しい渋さでとても口にすることができないものが、渋みが抜けてまろやかになっていくのだという。

 このノチーノの本場イタリアでは、6月24日、聖ジョバンニの日の夜に漬け込んで、翌年のクリスマスまで、1年半ほど寝かせてから飲みはじめるそうである。

 ネット情報では、漬け込む日はこの6月24日でなければならないとされているが、ここは日本、その事には目をつぶって、6月22日の作業であった。いつ頃から飲めるようになるか、白加賀の梅酒とどちらが先に飲み頃になるか楽しみである。

 こうしてノチーノ作りは思いがけずクルミを入手できたことで、予定していたよりも早く進めることができたが、やはり軽井沢のクルミでも作ってみたいとの思いがあり、あらかじめ下調べをしてあった山地の木のクルミの実がが大きくなったのを見計らって採集に出かけた。

 小諸のMさん宅で拾い集めたクルミは菓子グルミだと妻が言っていたが、軽井沢で見つけてあったクルミはオニグルミである。葉の形や実の付き具合が全く異なっているので、それとわかる。

 今度は樹上にある房状のものを、高枝切りばさみで切り取ったが、大きな2本の木からすぐに1.5Kgほどの実を採集できた。実の大きさは3cmほどである。

 初めに用意してあったウォッカはすでに大分使ってしまったので、新たに購入することにした。ノチーノの作り方をネットで調べていると、ウォッカの選び方には大別して2種類の方法があることがわかる。アルコール度数でいえば40%程度のものと、95%程度のものを用いる方法である。

 アルコール度40%のウォッカを用いる方法はすでに菓子グルミの時に採用していたので、今度は別の方法で作ろうと思い、リカーショップでアルコール度数95%のウォッカを探すと、「ワルシャワの幻想」(96%アルコール)という種が見つかった。ほとんどエタノールであるが、こうしたものも作られていることを初めて知った。

ノチーノ作りに用意した96%アルコール度数のウォッカ

 採集したオニグルミの実の半分をこの96%アルコール度数のものに用い、残る半分はホワイトリカーで漬け込むことにした。96%のウォッカを用いたものでは、イタリアのレシピに従い、クルミは切らずにそのまま漬け込み、これにクルミとだいたい同量の氷砂糖、シナモンとクローブを少量加え、クルミの葉も入れた。

 ホワイトリカーに漬け込んだ方は、菓子グルミの場合同様、半分にカットして用いた。今回のオニグルミは枝から直接採取したものなので、実の傷みはない。


軽井沢産のオニグルミの実(2022.7.5 撮影)


96%アルコール度数のウォッカにオニグルミの実をカットしないで漬け込んで作ったノチーノ(2022.7.5, 17:14 撮影)


しばらくするとウォッカは黒ずんでくる(2022.7.5, 18:08 撮影)

 結局、クルミの実の種類が2種、アルコールの種類が3種となり、3種類のノチーノを作ることになった。レシピは次のようである。


作製したノチーノの3種のレシピ

 漬け込むとすぐにウォッカもホワイトリカーも色が黄緑色になりやがて黒ずんでくる。そして、2日後にはもう真っ黒になる。この後は、窓際の日の当たる場所において、毎日のように泡を立てるように振り、ふたを開けて新鮮な空気を送り込む作業を続けている。


クルミで作ったノチーノ:右からレシピ①、②、③(2022.7.5, 20:53 撮影)


真っ黒になり中が見えなくなってきたノチーノ(2022.7.7, 9:54 撮影)

 3週間近くたった今では、実もウォッカやホワイトリカーも色が真っ黒である。40%アルコールのウォッカとホワイトリカーを用いたものでは、氷砂糖はすでに溶けているが、96%アルコールのウォッカを用いたものでは氷砂糖はまだ溶けていないようで、容器を振るとザラザラと音がしている。

 ネット情報によると、熟成して渋みのとれたノチーノは、バニラアイスクリームにかけて食べると絶品だという。今年の年末には食べることができるだろうか、それまで容器を振り続けよう。 
 
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