昨年カイツブリを紹介した時にも触れているが、雲場池の入り口に町が設置した案内板があり、ここに雲場池の生態系として水鳥の代表に選ばれているのが、カイツブリである(2021.6.18 公開当ブログ)。
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雲場池の入り口に設置されている案内板
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案内板に示されている雲場池の生態系(2022.9.26 撮影)
数年前から朝の散歩を始め、雲場池周辺をめぐるようになったが、せっかくの機会なのでカメラをぶら下げて、池に集まってくる水鳥などを撮影してきた。しかし、カイツブリを見ることは稀で、あまりその姿を撮影する機会はなかった。
数が一番多いのはマガモであるが、この種は冬鳥で夏には北に帰り、いなくなってしまう。通年姿を見ることができるのは、北に帰らずにここに残った1羽のマガモ♂とカルガモだけということになる。
昨年まで、この調子では案内板の内容に「偽りあり」ということになってしまうなと思っていたが、今年はいつもと様子が違った。カイツブリの親子の姿が見られたのである。
今年は、水鳥に関してほかにも話題が多かった年で、カルガモが7羽の雛を育てたし、昨年に続いて一羽のマガモ♂が北に帰ることなく、雲場池で夏を過ごして、エクリプスに変化し、再び元の姿に戻る一連の様子を見せてくれた。また、オシドリも何度か姿を見せた。
カイツブリの姿も目撃してはいたものの、この池で繁殖していることには気がつかなかった。実際、昨年の撮影記録を見ても、4月から5月にかけての1か月ほどに限られていて、その後は姿を見ることはなかった。
今年はかなり遅く、7月になってから姿を見るようになった。雲場池には先の案内板にあるように魚が生息している。魚種数は定かではないが、この案内板にある種のほか、大型の魚(ニジマス?)もわずかながら生息しているようで、およそ30㎝程に成長した姿を見ることがある。
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雲場池でみられる小魚 1/2(2022.8.27 撮影)
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雲場池でみられる小魚 2/2(2022.6.30 撮影)
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雲場池に生息する大型の魚(2022.9.14 撮影)
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カイツブリと大型の魚(2022.9.25 撮影)
これらの魚を狙いカイツブリのほかダイサギやカワウも集まっている。次の連続写真は、まだ雛の姿を見る前のもので、カイツブリが潜水したのを目撃して、ファインダー越しに様子を見ていたところ、浮き上がってきたカイツブリの口には魚が咥えられていた。そしてやや大きめのその魚を飲み込んでしまった。
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小魚を捕えて飲み込むカイツブリ(2022.8.4 撮影)
さて、今年は恐らく池の中にある島で営巣していたのであろう、雛がある程度育ってきた時、突然母鳥が背中にその雛を乗せて池の中に連れ出してきたところに出会った。9月1日のことであった。
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突然雛を連れたカイツブリの夫婦が池に現れた(2022.9.1 撮影)
よく見ると左の♀(推測)の背中に2羽、右の♂のそばにもう一羽、計3羽の雛がいることがわかる。
昨年紹介したカルガモの場合は雛と共に行動しているのは母鳥だけであったが、カイツブリは夫婦揃って雛の世話をしている。特に♂の方はかいがいしく餌を探してきては雛に与えている。♀は背中に雛を背負っているので、池に潜って餌を取ってくる作業はもっぱら♂に任せているようである。
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雛に餌を与えるカイツブリの♂(2022.9.1 撮影)
最初に見かけたときの雛は、親鳥の半分ほどの大きしかなく、母親の背中で羽の下にすっぽりと入ってしまい、姿が見えなくなるほどである。
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母鳥の背中に入り守られる雛(2022.9.1 撮影)
2日後、母親の背中に2羽の雛がはっきりと見えた。もう1羽は父親から魚をもらって何とか飲み込んでいた。
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母鳥の背中に潜る2羽の雛(2022.9.3 撮影)
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親にもらった魚を飲み込むカイツブリの雛(2022.9.3 撮影)
次の日は3羽の雛が揃って母親の背中から下りて池で泳いでいるところに出会った。
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母親の背中から下りて池で泳ぐ3羽の雛 (2022.9.4 撮影)
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母親を追って泳ぐ3羽の雛 (2022.9.4 撮影)
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頭頸部と胴部の縞模様がかわいい雛の姿(2022.9.4 撮影)
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親にエサをねだる雛(2022.9.4 撮影)
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母親の背中に競ってのぼる3羽の雛(2022.9.4 撮影)
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親子(2022.9.5 撮影)
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親から餌をもらう雛 1/2(2022.9.10 撮影)
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親から餌をもらう雛 2/2(2022.9.10 撮影)
雛は日増しに成長し、胴部分に見られた縦じま模様は次第に薄くなっていくが、まだ親と比べると体の大きさには差がある。
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雛の胴部分に見られた縦じま模様は次第に薄くなっていく(20-22.9.14 撮影)
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片方の足を伸ばしてくつろいだ様子を見せる雛(2022.9.14 撮影)
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まだ親とは体格差がある(2022.9.14 撮影)
表情もずいぶんしっかりした感じがするようになる。
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しっかりした顔つきになってきた雛(2022.9.17 撮影)
親鳥は、この頃から雛に餌をすぐに与えず、じらすようになった。自分で餌を採るように仕向けているようである。雛の方もこのころから潜水の練習を始めるようになった。
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親鳥は雛に簡単には餌を与えない 1/2(2022.9.17 撮影)
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親鳥は雛に簡単には餌を与えない 2/2(2022.9.28 撮影)
雛の体はさらに大きくなり、親鳥と同じくらいになってきたが、まだ餌をねだる様子が見られる。
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親に餌をもらおうとする雛 1/2(2022.10.3 撮影)
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親に餌をもらおうとする雛 2/2(2022.10.3 撮影)
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エサをもらおうと親に近づく雛(2022.10.9 撮影)
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ようやくエサをもらうことができた(2022.10.9 撮影)
10月も中ごろになると、雛は自ら潜水して餌を採り始める。このころには雛はどんどん親から離れて池を自由に動き回る。渡ってきたばかりのマガモのペアに近づくこともあり、もう親子5羽が揃った姿も撮影できなくなってきた。
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潜水するカイツブリの雛(2022.10.15 撮影)
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自分で潜水して採った餌を食べるカイツブリの雛(2022.10.14 撮影)
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北から渡ってきたマガモのペアに近づくカイツブリの雛(21022.10.14 撮影)
次は今朝見かけた2羽のカイツブリである。左は親鳥、右が雛だが大きさは同じくらいになった。しかし、雛の鳴き声はまだ「ピーピー」と池に響いている。
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カイツブリの親鳥とすっかり成長した雛(2022.10.20 撮影)
雛の初見から約50日が過ぎた。母親の背中にいた雛は今では広い池を自由に泳ぎ回るようになり、餌も自分で採ることができるようになってきた。カイツブリ親子の観察・撮影はまだ続けようと思うが、ひとまずここで区切りをつけることとした。
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