ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

鳴見ダム

2019-07-26 17:42:39 | 長崎県
2019年7月12日 鳴見ダム
 
鳴見ダムは長崎県長崎市鳴見町の多以良川水系二股川にある長崎県土木部が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
多以良川は流路延長4キロ、流域面積8.6平方キロの小河川ですが、河口の畝刈・三重地区は1972年(昭和47年)の新長崎漁港の完成を契機に右岸の氾濫原に市街地が拡大し洪水リスクが高まりました。
一方畝刈・三重地区周辺の丘陵地帯では大規模宅地開発が進められ山林造成に伴う雨水流出量増加への対処や急増する上水道需要を賄うための水源確保が迫られていました。
そこで1978年(昭和53年)に長崎県は多以良川右支流二股川源流部への多目的ダム建設を軸とした多以良川総合開発事業に着手、1985年(昭和60年)より本体工事が進められ1991年(平成3年)に竣工したのが鳴見ダムです。
鳴見ダムは多以良川中下流域の洪水調節および長崎市北西部への上水道用水の供給を目的としています。
 
鳴見台の分譲地西端を北に向かうと鳴見ダムに到着します。
市道が通るダム天端を横断してダム右岸から見学を始めます。
自由越流式クレストゲート4門、自然調節式オリフィスゲート1門のゲートレスダムです。
 
ゲート上だけわずかに天端が高くなっています。
またゲート両端からまっすぐに下りた堤体導流壁は、中断から堤趾導流壁となります。
 
左岸に管理事務所とインクライン、艇庫があります。
背後の擁壁上は造成された鳴見台の住宅地です。
 
金箔仕様の感謝の碑
竣工記念碑にあたるものでダム建設により移住を余儀なくされた住民への感謝の碑となっています。
 
減勢工と放流設備
残念ながらダム下へ通じる道はなく、ダムを下から見ることはできません。
 
ダム湖は総貯水容量225万立米と長崎市内のダムでは最大規模となっています。
 
天端は市道が通っていますが離合ができないので信号による交互通行となっています。
 
左岸から
上段は堤体導流壁、下段が堤趾導流壁。
 
左岸からはこれが目いっぱい。
 
左岸上流に中空ダムのようなフィレットがあります。
ダム基礎部に小規模な断層破砕帯が分布しているため、堤体を安定させるために上流面にフィレットが作られました。
ある意味ここが鳴見ダムの肝です。
 
(追記)
鳴見ダムには洪水調節容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。
 
2641 鳴見ダム(1485) 
長崎県長崎市鳴見町
多伊良川水系二股川
FW
53.5メートル
180メートル
2250千㎥/2190千㎥
長崎県土木部
1991年
◎治水協定が締結されたダム

式見ダム

2019-07-26 11:36:55 | 長崎県
2019年7月12日 式見ダム
 
式見ダムは長崎県長崎市向町の式見川水系式見川上流部にある長崎県土木部が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
建設省(国交省)の補助を受けて建設された補助多目的ダムで、式見川の洪水調節と長崎市北西部への上水道用水の供給を目的として1980年(昭和55年)に竣工しました。
 
式見ダムへは上流からのアプローチになります。
左手に管理事務所があり自由越流式のクレストゲートと自然調節式のオリフィスゲートが見えます。
 
右岸から
導流壁はV字の斬縮型堤体導流壁で自由越流式クレストゲート2門、自然調節式オリフィスゲート2門を備えたゲートレスダムです。
折りよくオリフィスから放流されています。
 
上流面
ゲート手前に取水設備があります。
 
天端は車両通行可能
左手は取水設備操作建屋。
 
導流部と減勢工。
 
アングルを変えて
右手は放流設備。
 
ダム湖は総貯水容量215万立米
小規模な貯水池が多い長崎県営ダムとしては大きな類です。
 
廃墟感あふれる??管理事務所
サーチライトがまるで砲門のようで、トーチカにも見える。
 
天端親柱に填め込まれた銅版の諸元表。
 
対岸の水路は??
取水設備からのラインではなさそうですが?
 
V次の斬縮型導流壁にオリフィスからの放流とダム下から拝めばなかなか絵になったと思われますが、残念ながらダム下への道は関係者以外立ち入り禁止でした。
 
(追記)
式見ダムには洪水調節容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。
 
2628 式見ダム(1484) 
長崎県長崎市向町
式見川水系式見川
FW
45.5メートル
136メートル
2150千㎥/2050千㎥
長崎県土木部
1980年
◎治水協定が締結されたダム