ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

渕の尾ダム(再)

2019-07-19 15:47:04 | 佐賀県
2019年7月11日 渕の尾ダム(再)
 
渕の尾ダム(再)は佐賀県武雄市武雄町武雄の六角川水系武雄川牛流(河川名未確認)にある上水道用水目的の重力式コンクリートダムです。
旧武雄市では1928年(昭和3年)に浅井戸を水源とした町営水道が開始され、戦後の高度成長を受けた水需要増大に対応して1958年(昭和33年)に初の本格的水源として踊瀬ダムが竣工、さらに第4次拡張事業として1973年(昭和48年)に竣工したのが渕の尾ダムです。
しかしその後も需要の増加が続いたため、第5次拡張事業として渕の尾ダムの嵩上げ再開発が進められ1980年(昭和55年)に竣工、翌1981年(昭和56年)より運用開始となりました。
なお2020年(令和2年)4月に武雄市を含む3市3町1企業団の水道事業が統合され現在は佐賀西部広域水道企業団が管理を行っています。
 
国道35号線に渕の尾浄水場の標識があり、これに従って南に折れると渕の尾ダム(再)に到着します。
上水道水源と言うことでガードは固く、ダムの手前の門扉から遠望するのみ。
市町村管理の上水ダムらしく洪水吐は自由越流式ゲート1門のみ。
 
実はダム下は地域コミュニティのゲートボール場になっています。
じいちゃんばあちゃんがプレイしていたらダム下まで行けるかも?
 
右岸を走る道路から上流面が見れます。
上水ダムではよくみられる円形の取水設備。
 
ズームアップ。
 
嵩上げ工事の竣工記念碑。
金箔文字です。
 
渕の尾ダムの嵩上げ以後も武雄市の慢性的水不足は解消せず、県営の本部ダム矢筈ダム狩立日ノ峯ダムの完成によりようやく武雄市の上水道は十分な供給能力を持つに至りました。
 
2556 渕の尾ダム(再)(1471) 
佐賀県武雄市武雄町武雄
六角川水系武雄川
29メートル
138メートル
585千㎥/560千㎥
佐賀西部広域水道企業団
1973年竣工
1980年嵩上げ再開発

日ノ峯ダム

2019-07-19 01:45:14 | 佐賀県
2019年7月11日 日ノ峯ダム 
 
日ノ峯ダムは佐賀県武雄市山内町宮野の松浦川水系狩立川左支流日ノ峯川にある佐賀県県土整備部が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
1982年(昭和57年)に佐賀県は狩立川への多目的ダム建設を軸とした河川総合開発事業に着手します。
同事業においては地理的要因から狩立川と支流の日ノ峯川合流地点に、それぞれ狩立ダム・日ノ峯ダムを建設し両者を連絡水路と連結洪水吐で結び一体運用する方法がとられました。
両ダムは建設省(国交省)の補助を受けて建設された補助多目的ダムで、狩立川の洪水調節、安定した河川流量の維持と既得取水権への用水補給、武雄市山内町地域への上水道用水の供給を目的として2001年(平成13年)に竣工しました。
両者は延長148メートルの連絡水路トンネルと116メートルの連結洪水吐で結ばれ洪水吐は狩立ダムにだけ設置されており2ダム一体運用が行われています。
 
狩立・日ノ峯ダムの位置関係
赤マルが連結洪水吐で、これにより両ダムの水位は同一に保たれています。
 
狩立ダムから連結洪水吐沿いに西に進むとすぐに日ノ峯ダムです。
ダム下から
日ノ峯ダムには洪水吐はなく、水位が上昇した際には連結洪水吐を経由して狩立ダムの洪水吐から放流される仕組みです。
 
左岸から下流面。
 
上流面
対岸に管理事務所と狩立ダムとの連結洪水吐が見えます。
 
日ノ峯ダムは非越流式のためダム下には減勢工はありません。
右手の建屋は日ノ峯川の利水放流設備。
 
ダム湖の総貯水容量は46万立米。
両ダム湖は水路トンネルでもつながっておりは狩立・日ノ峯合計で179万立米の貯水池が一体運用されています。
 
狩立ダムの天端と同じくこちらも車両通行可能。
 
狩立ダムとの連結洪水吐と管理事務所。
 
天端親柱の銘板と装飾。
 
上流面。
 
連結洪水吐越しの上流面。
 
連絡水路トンネルと連結洪水吐で接続しており両ダムの貯水池を一つの貯水池とみなせば、実質的には狩立ダムが主堤、日ノ峯ダムが副堤という解釈もありかも。
 
(追記)
狩立・日ノ峯ダムには洪水調節容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。  
 
2560 日ノ峯ダム(1470) 
佐賀県武雄市山内町宮野
松浦川水系日ノ峯川
FNW
28.4メートル
112メートル
460千㎥/447千㎥
佐賀県県土整備部
2001年
◎治水協定が締結されたダム