ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

古木場ダム

2019-07-17 19:48:56 | 佐賀県
2019年7月11日 古木場ダム
 
古木場ダムは佐賀県西松浦郡有田町古木場の有田川水系有田川源流部にある灌漑・上水道用水目的のアースフィルダムです。
農水省の補助を受けて1973年(昭和48年)に着手された佐賀県のかんがい排水事業に水道事業者として有田町が加わり、1998年(平成10年)に竣工しました。
運用開始後は国見土地改良区が受託管理を行い、国見地区の農地874ヘクタールへの灌漑用水を供給、有田町へ上水道用水の供給を目的としています。
 
『有田ボーセンリンパーク』の北側を有田川に沿って東に進むと右手に古木場ダムが見えてきます。
堤高26.8メートルのアースフィルダムで、西日本の溜池としては珍しく7月のこの時期に草が刈られています。
堤体左岸(向かって右側)に洪水吐導流部があり、ダム下には利水放流設備や揚水機場などが並びます。
 
右岸ダムサイトに建つ金箔文字の竣工記念碑。
 
天端は車両通行可能ですが、対岸先で行き止まり。
左岸法面上は焼き物のテーマパーク『有田ポーセンリンパーク』。
 
左岸の洪水吐を遠望
上流面はロック材で護岸されています。
 
ダム下の眺め。
広場はヘリポートかな?
 
貯水池は総貯水容量117万2000立米。
 
左岸の斜樋。
 
洪水吐斜水路と減勢工
奥に放流設備が見えます。
 
横越流式洪水吐。
 
左岸から上流面。

2542 古木場ダム(1465) 
佐賀県西松浦郡有田町古木場
有田川水系有田川
AW
26.8メートル
193メートル
1172千㎥/1098千㎥
国見土地改良区
1998年

野々川ダム

2019-07-17 15:58:56 | 長崎県
2019年7月11日 野々川ダム
 
野々川ダムは長崎県東彼杵郡波佐見町の川棚川水系野々川川にある長崎県土木部が管理する治水目的の重力式コンクリートダムです。
建設省(国交省)の補助を受けて建設された補助治水ダムで、川棚川上中流域の洪水調節と、安定した河川流量の維持と既得取水権への用水補給を目的として1972年(昭和47年)に竣工しました。
 
一方、野々川ダム完成後も川棚川中下流域では洪水被害が続き、さらに慢性的な水不足に悩まされていた佐世保市水道事業の水源確保を目的として左支流石木川へのダム建設事業が採択されました。
しかし同事業は近年では珍しく激しい反対運動が続いておりいまだ本格的な建設着手には至っていません。
 
野々川ダムは県道104号線沿いにあります。
ダム下への門扉は閉じられ車での進入はできませんが、ダムサイトからの歩道伝いに歩いてダム下に行けます。 
堤高24メートルの小ぶりなダムで、非常用洪水吐としてクレストにラジアルゲートが2門、常用洪水吐として自然調節式のオリフィスゲートが1門あります。
手前の建屋は利水放流設備。
 
堤体の大きさこそ違いますが、同時期に建設された佐世保の猫山ダムとゲートの配置が酷似しています。
 
ラジアルゲートをズームアップ。
 
堤体に直接触れられます。
程よく生した苔が年代感を醸し出しています。
 
右岸ダムサイトの銘板。
竣工記念碑が見当たらなかったのでこれがそのかわりになるんでしょうか?
 
諸元が記された銅板プレート。
長崎県営ダムではおなじみ。
 
導流部と減勢工。
 
長崎と言うことでゲートは佐世保重工製。
 
貯水池は総貯水容量105万立米
折からの雨でずいぶん水位が上がっています。
 
天端は車両通行可能ですが、左岸はダートのため一般車の通行はほとんどなさそう。
ゲート部分だけ上流側に張り出しクランクになっており、このあたりはいかにも昭和40年代のダムと言った風。
 
同じ川棚川水系の石木ダム建設事業はいまだに激しい反対運動が繰り広げられておりニュースソースとしてたびたび登場しています。
そのため同じ水系の野々川ダムも折に触れて注目されることが多くなっています。
 
(追記)
野々川ダムには洪水調節容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。  
 
2642 野々川ダム(1465) 
長崎県東彼杵郡波佐見町湯無田郷
川棚川水系野々川川
FN
24メートル
86メートル
1050千㎥/980千㎥
長崎県土木部
1972年
◎治水協定が締結されたダム 

矢筈ダム

2019-07-17 13:38:00 | 佐賀県
2019年7月11日 矢筈ダム
 
矢筈ダムは佐賀県武雄市西川登町神六の六角川水系六角川源流部にある佐賀県県土整備部が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
建設省(国交省)の補助を受けて建設された補助多目的ダムで、六角川上流部の洪水調節、安定した河川流量の維持と既得取水権への用水補給、武雄市への上水道用水及び工業用水の供給を目的として1993年(平成5年)に竣工しました。
 
ダムのすぐ下流を武雄と波佐見を結ぶ県道102号線が走っています。
ダム下には野球場、洪水吐導流部には壁画とちょっとよそでは見られない光景です。
非常用洪水吐として自由越流式クレストゲートを5門、その右手に常用洪水吐として自然調節式オリフィスゲートを装備しています。
 
野球場とダムの間は親水公園になっています。
導流部に描かれているのは川のせせらぎとそこを泳ぐ魚。
壁画のあるダムはいくつかありますが、導流部に描かれているダムは初めて見ました。
 
ダム左岸よりのオリフィスゲート
ここだけ切り取っても一つのダムのよう。
 
上流面。
 
右岸に建つ金箔仕様の竣工記念碑。
 
ダム湖は総貯水容量139万立米
西九州自動車道が跨いでいます。
 
右岸管理事務所
艇庫とインクラインが併設されています。
 
減勢工と副ダム
左手は利水放流設備。
 
ダム下を広角で撮ると
横長の減勢工と野球グランドに目が行っちゃいます。
 
下流面
減勢工は横長で左岸寄りに導流路が続くのが特徴です。
 
中規模なダムですが、導流部に描かれた壁画、ダム下の野球場、ダム湖を跨ぐ高速と特色が多い矢筈ダムです。
 
(追記)
矢筈ダムには洪水調節容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。  
 
2558 矢筈ダム(1464) 
佐賀県武雄市西川登町神六
六角川水系六角川
FNWI
32.5メートル
199メートル
1390千㎥/1310千㎥
佐賀県県土整備部
1993年
◎治水協定が締結されたダム

岩屋川内ダム

2019-07-17 11:18:43 | 佐賀県
2019年7月11日 岩屋川内ダム
 
岩屋川内ダムは佐賀県嬉野市嬉野町の塩田川水系岩屋川内川にある佐賀県県土整備部が管理する治水目的の重力式コンクリートダムです。
塩田川水系では出水が多く、1962年(昭和37年)7月豪雨を契機に主要支流岩谷川内川への治水ダム建設が進められ、1973年(昭和48年)に岩谷川内ダムが竣工しました。
建設省(国交省)の補助を受けて建設された補助治水ダムで、塩田川水系の洪水調節・安定した河川流量の維持と既得取水権への用水補給を目的としてしています。
しかし、1976年(昭和51年)にも大きな洪水被害が発生したことで、新たに塩田川支流吉田川への治水ダム建設が着手され、2001年(平成13年)に横竹ダムが竣工しました。
両ダムの完成により塩田川水系での治水能力は大きく改善しました。
 
嬉野温泉から岩屋川内川沿いに県道6号を南に進むと岩屋川内ダムに到着します。
ダム下から。
非常用洪水吐としてクレストにラジアルゲート2門を備え、常用洪水吐としてハウエルバンガーバブルがあります。
佐賀県営ダムでラジアルゲートを装備しているのは当ダムだけ、佐賀県内のダムの中でも他には北山ダムがあるのみです。
 
左岸から下流面。
 
天端は車両通行可能です。
 
天端からの眺め。
 
右手は利水放流および灌漑用水ゲートです。
岩谷川内ダムには新規灌漑用水容量の設定はなく。不特定利水容量から既得取水権として灌漑用水が補給されます。
 
ダム湖は総貯水容量250万立米。
 
右岸から下流面
対岸は管理事務所
いかにも昭和40年代のダムといった風情。
 
上流面。
 
上流から
グリーンのゲートが鮮やかです。
左手は常用洪水吐(ハウエルバンガーバルブ)の予備ゲート。
水位が低く思えますが、治水ダムということでこれが常時満水位です。
 
佐賀・長崎ではおなじみの金箔仕様の竣工記念碑ですが、文字がずいぶん剥げています。
 
2533 岩屋川内ダム(1463) 
佐賀県嬉野市嬉野町岩屋川内
塩田川水系岩屋川内川
FN
59.5メートル
192メートル
2500千㎥/2280千㎥
佐賀県県土整備部
1973年