ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

狩立ダム

2019-07-18 17:17:47 | 佐賀県
2019年7月11日 狩立ダム 
 
狩立ダムは佐賀県武雄市山内町宮野の松浦川水系狩立川にある佐賀県県土整備部が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
1982年(昭和57年)に佐賀県は狩立川への多目的ダム建設を軸とした河川総合開発事業に着手します。
同事業においては地理的要因から狩立川と支流の日ノ峯川合流地点に、それぞれ狩立ダム・日ノ峯ダムを建設し両者を連絡水路と連結洪水吐で結び一体運用する方法がとられました。
両ダムは建設省(国交省)の補助を受けて建設された補助多目的ダムで、狩立川の洪水調節、安定した河川流量の維持と既得取水権への用水補給、武雄市山内町地域への上水道用水の供給を目的として2001年(平成13年)に竣工しました。
両者は延長148メートルの連絡水路トンネルと116メートルの連結洪水吐で結ばれ洪水吐は狩立ダムにだけ設置されており2ダム一体運用が行われています。
 
狩立・日ノ峯ダムの位置関係
赤マルが連結洪水吐で、これにより両ダムの水位は同一に保たれています。
 
狩立ダム下流から。
非常用洪水吐として4門の自由越流式クレストゲート、常用洪水吐として自然調節式オリフィスゲート1門を装備。
朝までの雨の影響でオリフィスゲートから越流しています。
 
天端は車両の通行が可能
奥に隣接する日ノ峯ダムとの間に管理事務所があります。
 
上流面
対岸に日ノ峯ダムとの連結洪水吐が見えます。
 
天端から。
 
総貯水容量は133万立米。
 
左岸の艇庫とインクライン。
 
窯業が盛んな地域らしく天端高欄には有田焼の陶磁器が填め込まれています。
 
下流面
横長の減勢工。
 
上流面
ゲート右手が取水設備。
 
金箔仕様の竣工記念碑。
 
連結洪水吐と管理事務所。
運河のようです。
 
2ダム1事業で建設されたダムとしては兵庫県南あわじ市の北富士ダム成相ダムがありますが、あちらは両者ともに洪水吐を備えています。
一方狩立・日ノ峯ダムは連結洪水吐により狩立ダムにのみ洪水吐が装備され日ノ峯ダムは非越流堤体となっています。
 
(追記)
狩立・日ノ峯ダムには洪水調節容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。  
 
2559 狩立ダム(1469) 
佐賀県武雄市山内町宮野
松浦川水系狩立川
FNW
28.4メートル
177メートル
1330千㎥/1243千㎥
佐賀県県土整備部
2001年
◎治水協定が締結されたダム

有田ダム

2019-07-18 14:24:40 | 佐賀県
2019年7月11日 有田ダム
 
有田ダムは佐賀県西松浦郡有田町白川の有田川水系白川川にある佐賀県県土整備部が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
建設省(国交省)の補助を受けて建設された補助多目的ダムで、有田川上中流域の洪水調節、安定した河川流量の維持と既得取水権への用水補給、有田町への上水道用水の供給を目的として1961年(昭和36年)に竣工しました。
有田ダムは佐賀県営ダム第1号となっています。
 
有田中心街から白川川沿いを北に進むと有田ダムに着きます。
ダム便覧には有田ダム下流からの写真はなくてっきりダム下にはゆけないと思っていましたが、職員さんに伺ったら難なく到着です。
ダムはゲートレスで非常用洪水吐として3門の自由越流式クレストゲート、常用洪水吐としてハウエンバンカーバブルを備えています。
 
竜門ダム岩屋川内ダムなど古い佐賀県営ダムではおなじみ、ハウエルバンカーバルブが常用洪水吐となります。
 
ダムサイトに上がってきました。
堤体はずいぶん苔むしています。
 
竣工プレートと概要板。
 
上流面
三角屋根の取水設備建屋が目を惹きます。
 
天端は立ち禁。
 
今回職員さんのご配慮で天端に立ち入りさせていただきました。
減勢工と副ダム。
 
ダム湖の名前は『秘色の湖』
総貯水容量188万立米です。
池の背後は黒髪山で山の向こうに竜門ダムがあります。
 
ダム湖右岸上流にある艇庫とインクライン。
 
上流面
とんがり屋根の取水設備建屋が目立ちます。

ダム便覧等によれば日本で最初にクレスト自由越流頂を採用したのは1973年(昭和58年)竣工の鳥取県の百谷ダムとされています。
当ダムは1961年(昭和36年)竣工でゲートレスダムとなっています。
当初はゲートダムとして建設され、その後に改修されたということでしょうか?
 
2526 有田ダム(1468) 
佐賀県西松浦郡有田町白川
有田川水系白川川
FNW
27.5メートル
108メートル
1880千㎥/1580千㎥
佐賀県県土整備部
1961年

竜門ダム

2019-07-18 11:40:43 | 佐賀県
2019年7月11日 竜門ダム
 
竜門ダムは佐賀県西松浦郡有田町広瀬山の有田川水系広瀬川にある佐賀県県土整備部が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
建設省(国交省)の補助を受けて建設された補助多目的ダムで、広瀬川および有田川下流域の洪水調節、安定した河川流量の維持と既得取水権への用水補給、伊万里市及び旧西有田町(現有田町)への上水道用水の供給を目的として1976年(昭和51年)に竣工しました。
有田川水系では1961年(昭和36年)に有田ダムが建設されており、竜門ダムの完成により上下流域での洪水対策が可能となりました。
有田から広瀬川沿いに東に進むと竜門ダムに到着します。まずはダム下へ。
クレストには非常用洪水吐として真っ赤なローラーゲートが2門、ダム下部には常用洪水吐となるハウエルバンガーバルブが備わっています。
ダム便覧にはこの位置からの写真はなく、貴重なショットと自画自賛。
 
広瀬川左岸沿いを進むと左手に竜門ダムが見えてきます。
ダム一帯は『竜門峡』として紅葉の名所になっている景勝地です。
屹立する流紋岩の大岩壁とダムが並ぶ眺めは絶景の一言。
流紋岩だから竜門峡というわけではないでしょうが。
 
堤体は右岸側がわずかに湾曲しています。
 
下流面。
 
上流面
堤体から管理事務所へと続く道路は橋梁となっており、地形の峻嶮さが伺えます。
 
竣工記念碑
金箔がかなり剥げ気味。
 
導流部と減勢工
右手が利水放流設備、左手はハウエルバンガーバルブ。
 
右岸の管理事務所
ダム湖は総貯水容量235万立米
奥の三角錐の山が黒髪山で周辺は流紋岩特有の断崖が続いており紅葉期には絶景が広がるそうです。
黒髪山の向こうには有田ダムがあります。
 
天端は車両通行可能ですが、ダム湖は時計回りの一方通行。
手前のクレーンはゴミや流木の吊り上げ用。
 
管理時事務所から見た上流面
橋の下に浮桟橋があり巡視艇が係留されています
上流面は右から取水設備、クレストローラーゲート、バルブ用のコースターゲートが並びます。
 
流紋岩の断崖に寄り添うように建設されたダムは、人工物でありながら絶景に溶け込んでいます。
できれば紅葉期に再訪したいダムですが混雑するんだろうなああ・・・・。
 
2535 竜門ダム(1467) 
佐賀県西松浦郡有田町広瀬山
有田川水系広瀬川
FNW
42.2メートル
150メートル
2350千㎥/2220千㎥
佐賀県県土整備部
1976年