とにかく書いておかないと

すぐに忘れてしまうことを、書き残しておきます。

映画『窓辺にて』を見ました。

2022-11-06 06:47:41 | 映画
 今泉力哉監督作品『窓辺にて』を見た。会話に引き込まれる作品だが、私には理解しがたい作品だった。

監督       今泉力哉
脚本       今泉力哉
出演者   稲垣吾郎 中村ゆり 玉城ティナ 若葉竜也 志田未来 佐々木詩音

 小説家であった市川茂巳は、1作だけ小説を書いた後、小説を書いていない。今はフリーライターである。妻、紗衣は編集者であり、売れっ子小説家である荒川円と浮気している。茂巳はその妻に対して怒りも何も感じないことを悩んでいる。

 私にはそもそもそのこと自体にリアリティを感じない。妻を愛しているならば怒りを覚えるだろうし、愛していないならば悩みはしないのが当然だ。どうもドラマの設定自体が無理があるのだ。

 もしかしたらこういう人間がいるかもしれない。しかしこういう人間がいるとすれば、それを納得させるような展開があるはずだ。しかしこの映画を見る限り、私を納得させる描写はなかった。それがあるとすれば高校生小説家との関係の中であったのだろうが、だとすれば結局は理屈っぽい映画になってしまう。それはつまらない。

 茂巳は妻に怒りを感じないという悩みを高校生小説家の叔父に打ち明ける。世捨て人のようなその人物に相談するというのはまだわかる。しかし次に自分の友人夫婦に打ち明けるのは理解しがたい。友人に相談するまではわかるが、その妻にまで言うだろうか。しかもそばでは幼い子供が遊んでいるのだ。これはその友人が不倫をしていて、それを妻もわかっていたという設定があるからこその展開であり、完全にリアリティを失している。

 妻の不倫相手の小説家が、茂巳に言う。「書いてしまうと、過去のものとなる。」 これは小説や小説家を馬鹿にしているようにも感じた。この映画監督の勝手な思い込みのようにしか思えない。

 リアリティある会話劇でありながら、ストーリーがパズル的であざとさしか感じられず、分裂感しかないのだ。

 おそらく私の見方が浅いのだとは思うが、今のところ理解しがたい映画である。この監督の他の作品も見て勉強してからもう一度チャレンジしたい。
コメント
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