『なつぞら』はそれなりにおもしろかったので最後まで見ることができたが、北海道の話と東京の話が完全に分離しているので、「なつ」が東京に来てからは興味が半減した。岡田将生や山口智子、比嘉愛実などの演技に無理があり、無理な台本をなんとかこなしているという演技だった。
この原因はモデルになったアニメーターの実際のエピソードを、製作者側が作り出した「なつ」というキャラクターに無理矢理に当てはめようとしたためである。例えば東京に来てからアニメ制作会社で「なつ」が毎日違う服を着ていったというエピソードがあった。これはモデルになった奥山玲子さんの実際のエピソードのようなのだが、北海道から来た木訥な娘には似合わない。このような無理な設定の時に、無理なつじつま合わせを見せられなければならない。東京編はこのような視聴者にとってつらい展開が多かった。
そもそも「なつ」のモデルは仙台出身でどちらかというとお嬢さん育ちだったようである。東北大学にも在籍するほどのインテリだし、北海道で木訥に育った「なつ」とは違いすぎる。
また、北海道の大自然でのびのびと生きてきた「なつ」がアニメに強い興味を持ったというのも無理があった。どうしてもつじつま合わせのプロットを考えなくてはならない。それがドラマの無理矢理感につながってしまったのだ。
そんな中、最初から最後まで変わらずにいてくれたのが草刈正雄だった。草刈正雄に戻れは『なつぞら』は『なつぞら』になる。そんな貴重な存在だった。高畑淳子とのふたりの場面はプロの仕事を見せつけられた。
考えてみれば朝ドラは週90分、それが6か月続くのだ。これを作るのは大変なことなのだろう。その苦労を考えると一視聴者が偉そうなことは言えないよな。十分楽しませていただきました。