新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

Brexit

2016-07-02 08:39:01 | コラム
UKは未だ公式に離脱宣言も申請もしていない:

私は軽佻浮薄なマスコミが投票結果が出るやいなやいち早く新語の”Brexit”に飛びついた辺りで「矢張り連中はダメだな」と痛感していた。彼らはオオカミ少年で明日にも天地がひっくり返るような大騒ぎまでして、UKの国民投票の結果で悪い面ばかりを取り上げて報道し、罪なき深い知識なき一般人を不安に陥れて楽しんでいたが如きだった。肝腎のUKではキャメロン首相は9月一杯在任し、後継首相に離脱宣言させると言い切っていたにも拘わらずだ。付和雷同して一般人を驚かすのかマスコミの使命のようだった。

私はそのマスコミ報道のおかしさを指摘してきたつもりだったが、あれから1週間以上も経って7月になってもUKでは未だ後継首相となるべき顔ぶれが立候補するとかしないとか騒いでいる状態で、何時誰が宣言するのかさえ見通しが立っていない。しかも、世界中で騒ぎ立てた結果で株価は激しく上下に変動し、為替も大いに不安定になってしまった、恰も離脱が終わってしまったかのように。この政治・経済の不安定な状態をもたらした責任が誰にあるのかを考えると、虚しさが残る。

私が最も気に入らなかったことは「空騒ぎがUKに進出している1,000を超える日本の企業がEUが賦課する関税で大いなる不利な状態に立ち至る」との、識者とマスコミの予想だった。その議論のおかしな点は既に指摘したが、識者の中には「スターリングポンドが下落すれば、UKからの輸出が不振に陥ることは避けられるのではないか」と指摘した人が出てきた。この程度の予測が出来ない連中が騒ぎ立てたのかと思うと、虚しいなどという程度では収まらない腹立たしさを感じる。

私にもUKの離脱が一大事だということくらいは解る。だが、状況を見極めず、貿易等の実務面を何ら勘案することなく騒ぎ立てる連中は、実務の経験がなく実務面では何がどういう手順で起きるのかを全く考えずに「全世界的な広い視野から、高い立ち位置から警告を発したのだろう」と考えるようにしている。その警告がUKが実際に離脱するだろう今年の10月以降に生じるだろう事態に対して今から備えておけるという貢献をすることだけは認めて感謝しておこう。

UKには「まさか離脱という結果になるとは思わなかった」と告白した離脱に一票を投じた者がいたとの報道があった。それほどの不測に事態が生じたのだから、迂闊に訳知り顔で最悪の事態の予測などを述べるものではないのではなかったか。私は今では「何処かに離脱のよって生じる最善の事態の解説をして下さる方」の登場を待っているのだ。あの離脱という投票の結果には何らの「メリット=”merit”」(=賞賛に値する利点)はなかったのかが知りたいのだ。