新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

7月23日 その2 ダメージ・ジーンズって何のこと

2018-07-23 14:53:47 | コラム
ダメージ・ジーンズを着用だったそうだ:

芥川賞を受賞された高橋弘希なる作家がその記者会見に極めて寛いだ服装で出てきたと、テレビのニュースで採り上げていた。そこで記者が尋ねたことは「その服装に何か意味があるのか」だったと記憶するが、答えは「家にあったものを着てきただけのこと」だった。そういう質問が出てくるのも尤もだと思うが、高橋氏がはいていたのは「ダメージ・ジーンズ」と紹介されたからだった。大方の読者はこれが意味することというか、着衣が何であるかお解りだと思うが、私は問題が二つあると思った次第。

先ずはカタカナ語としての問題点。細かいことと言うか固いことを言うようだが、ダメージ・ジーンズでは全く意味を為していないし、文法的には出鱈目なのである。これが日頃指摘している「カタカナ語を作る際に日本語にはない観念の言葉は、全て元の英語を無視したものにしてしまう」の典型的な例なのである。ここまで私が何を言いたいかをお解り頂ける方がおられると希望的に考えている。

何処が宜しくないのかと指摘すれば「ダメージ」(damage)だけでは動詞の原形で、「ジーンズ」の前に来る形容詞の役割を果たせないのである。恐らく学校ではこういう場合には「過去分詞の形容詞用法」で damaged とせよと教えたはずであると思っている。ところが、そのようなチャンとした英語教育を受けて有名大学を経てアナウンサーなりキャスターになったはずの者が何ら躊躇うこともなく原稿にあったのだろう「ダメージ・ジーンズ」と読み上げてしまうのだ。

私は経験上もここで文法的にも正確なカタカナ語にして「ダメージド・ジーンズ」と読んだとしても上司から叱責され、挙げ句の果てに職を失うような事態にはならないだろうと思うのだ。言いたいことはまともに学業を終えてきたのだったならば「ダメージ・ジーンズではおかしい、文法的に誤りである。私の信念で訂正して読み上げる」くらいのことが出来ないのかと思うのだ。何時も同じ事を言うが「我が国に学校教育における英語の教え方の至らなさがここにも現れた」のである。

これは余談めいた話だが、私自身がこれまでの人生でブルージーンズ乃至は和製語の「ジーパン」は似合わないと思っているので、一度だけしか買ったことがなく、しかも予想通り似合わなかったこともあって、ジーンズについては詳しい知識がない。従って damaged jeans という英語の表現があるか否かは解らないのだ。彼らが blue jeans という表現は使うか、簡単に denim (デニム)か時たま Levi’sと言うのを聞いたことがある。

次はデニムの生地を使ったズボンである。私は何が正式な名称かは解っていないのだ。30年ほど前に、一度だけ次の目的地に行く前にジーンズをはいた姿を見た上司が First time to see you in jeans. と言ったのを未だに覚えている。であるから、英語ではもしかして damaged blue jean か、damaged Levi’s か、damaged jeans かも知れないなと思っている程度だ。私が危惧している点は、もしかして「ダメージ・ジーンズ」は我が国だけに通用する造語かも知れないということである。




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