新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

何故、自由民主党は石破茂氏を選んだのだろう

2024-10-05 07:24:28 | コラム
「何故、自由民主党は石破茂氏を選んだのだろう」と思った:

滅多にしないことだが、所信表明演説を聞いてみた。多くの政治ジャーナリストや評論家が「党内の反発を恐れて、石破氏独特のカラーを封印した」と論評していた。マイクが拾っていたヤジは「ルールを守れ」や「約束を守れ」というのが多かったと聞こえた。やじっている野党の連中は「何故そうなってしまったか」の背景を十分に承知の上で言っているのだろうと疑っているが。

このヤジを聞いて思いだしたのが2001年に発足した内閣で、小泉純一郎総理が国会で公約を守らなかったと追及され「公約の二つや三つを守らなかったというのは大した問題ではない」と言い切った事だった。小泉純一郎総理は個性豊かな方だったが、ここまで言い切ってしまったのと比較すれば、同じ慶應義塾大学出身の石破首相とは好対照だった。

幾つかのテレビ局は、石破首相が挨拶に回られたときに前原誠司氏に激励されて「言い出すと叩かれるのです」と既に本音を吐いておられたのを報じていた。所信表明演説でも本音を封印しておられたと聞いたし、そういう趣旨の論評が多い。

この封じ方が自ら選ばれた党内の党四役の幹部以下の空気を読んだ上でのことか、実際に釘を刺されたから禍かなどは知る由もないが、本当の所信を言わせないように管理するのであれば、石破氏は御し易いと選んだのかなと疑いたくもなる。

石破茂氏が五度目の挑戦をすると決意を表明されたときに、何となく閃いたことは「石破氏が勝ってしまうのではないか」だったが、勿論何らの理論的かつ具体的な裏付けなどない。同時に「来た事」は「石破氏を選ぶことが最悪の選択にならなければ良いのだが」だった。マスコミ論調では「岸田文雄氏では選挙の顔にならないという党内の声が」だったが、石破氏が小泉進次郎氏よりも良い顔という事か。

青山和弘氏は石破首相が「選挙は予算委員会の後でも良かったと思っている」と言っておられたと、地方局で述べていたと報じられていた。石破茂氏を選んだのは、小泉進次郎氏や高市早苗氏よりも選挙の顔に相応しいという選択だったのかも知れない。

だが、敢えて選んだはずの石破氏を押さえつけて(あるいは自発的に選挙中の主張を封印させて)マスコミに叩かせるのが、27日の投票日を前にして最善の策だったのだろうか。党の四役以下は「それでも勝てる戦略の用意と自信はある」と言うのだろうか。一有権者としては不可思議な選挙対策ではないのかと思って見ている。

余談の部類であるが、NHKのニュースでは「政治資金規正法の収支報告書不記載」と言って「裏金」は使っていない。石破首相の所信表明演説では「収支報告書不記載」と表現しておられた。私は先日も論じたが、この問題で「裏金」という表現は適切ではないと思うのだ。野党が「僚友の朝日新聞が使ったので、これ幸いにとばかりに自由民主党を非難攻撃する際の有力な材料に使うのは上品でない」と思うのだ。