英語の発想は日本語とは違うのだと認識しよう:
戦後間もなくから英語で話すことを覚えてきたが、実際にアメリカ人の中に入って仕事をして、彼等と語り合ってみると「なるほど。こういう場合にはそういう表現になるのか。知らなかった」と感心させられたことが多かった。そういうnative speakerたちが日常的に使う表現を思い付くままに取り上げていこう。
“Give me a break.”:
解説)これだけ見れば「休ませてくれ」と言うようだ。だが、実際には「勘弁してよ」、「ウンザリだ」、「呆れた」と言いたいときに使うのだ。例えば“Give me a break. You are kidding me.”と言えば「冗談でしょう、勘弁してよ」となるような具合。”You are too much. Give me a break.“と言えば「あんたにはウンザリだ」となる。
“Hang in there!”:
解説)「そこでぶら下がっていろ」ではない。中国語にすれば「加油」(ジャヨウ)の「頑張れ」という意味になる。
“Look me up”:
解説)昔の話になるが、ワシントン州の南部にある工場に行ったときに、市内のホテルにチェックインした。すると、そこに日系人の洗濯屋さんが納品に現れた。その名字が私と同じだったので、思わず声をかけて、暫く語り合った。彼が別れ際に“Be sure to look me up, next time you will be in town.”と言った。
これは「次に来たときには見上げてくれ」と言うのではなくlook one upで「尋ねてくれ」という意味になるのだ。英語はやさしい単語を使って、全く別な意味を表現するのでややこしいのだ。
“put up with ~”:
解説)これは「〜を我慢する」と言うときに使うのだ。例えば“How come you are putting up with such situation.”と言えば「何故、この状況を我慢しているのか」のようになる。“I can’t put up with it any moreとすれば「もう、これ以上我慢できない」となる。
”misplace”:
解説)「~を何処に置いたか忘れた」という長い一節を一言で表してしまう単語。例えば“I have misplaced my sunglasses.”で「サングラスを何処にしまったか忘れてしまった」になる便利さだ。
“That’s the way things happen.”:
解説)これで「世の中とはこういうものだ」という事を表している。日本語の発想とは違いすぎるので困る。これとは反対に「この日本語を英作文して下さい」という題を出して、正解できた人はいなかった。最も近い答えが“Things happen that way.”だった。高校3年の時に懸命に取り組んだ佐々木高政・一橋大学名誉教授の名著「英文構成法」の表現を借りれば「ここまでの発想が出来れば、立派な英語力の持ち主になれるでしょう」と言えると思う。